認定手続とは|通関業務で知らないと損するAEO制度メリット

認定手続は通関業務で重要な役割を果たす制度ですが、知的財産権侵害物品に関する認定手続とAEO制度における認定通関業者の違いを理解していますか?本記事では通関業務従事者が押さえるべき認定手続の基礎から実務上の注意点まで詳しく解説します。あなたの業務効率は本当に最適化されているでしょうか?

認定手続とは

認定通関業者として10年以上の審査なしで更新されることはありません。


この記事のポイント
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認定手続の2つの種類

知的財産権侵害物品の該否判定とAEO制度における事業者認定の違いを明確に理解できます

実務での時間管理

認定手続における期限設定と対応方法を具体的な日数で把握し業務遅延を防げます

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AEO認定のメリット

認定通関業者になることで得られる具体的な業務効率化とコスト削減効果を知ることができます

認定手続の基本的な意味と通関業務での役割


認定手続には大きく分けて2つの異なる制度が存在します。


1つ目は税関が知的財産権を侵害する疑いのある貨物について、実際に侵害物品に該当するかを判定する手続です。2つ目はAEO制度における認定通関業者としての資格を取得するための審査手続を指します。どちらも「認定手続」という名称ですが、目的も内容も全く異なります。


参考)https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/aeo/broker/index.htm


知的財産権侵害物品の認定手続は関税法第69条の12第1項に基づくもので、輸入貨物または国際郵便物の検査で侵害の疑いがある貨物を発見した際に開始されます。税関は輸入者と権利者の双方に通知し、証拠提出と意見陳述の機会を与えた上で、原則1か月以内に該当・非該当の認定を行います。つまり貨物の通関可否を決める重要な判断プロセスです。

一方、AEO制度における認定通関業者制度は、セキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された通関業者を税関長が認定する仕組みです。認定を受けた業者は特例委託輸入申告や特定委託輸出申告など、通常の通関手続では利用できない特例措置を活用できるようになります。


これは業務効率化です。


認定手続が必要になる具体的な場面

知的財産権侵害物品の認定手続が開始されるのは、税関検査で商標権著作権意匠権などを侵害する疑いがある貨物を発見した場合です。

具体例を挙げると、有名ブランドのロゴが付いた商品や人気キャラクターの図柄が印刷された製品などが該当します。税関職員が外観や表示から知的財産権侵害の疑いがあると判断した時点で、犯則調査を行わないケースについては認定手続に移行します。


この段階ではまだ侵害と確定していません。



輸入者には権利者の情報が、権利者には輸入者や仕出人の情報が通知されます。さらに書類や貨物の表示から生産者が明らかな場合、その情報も権利者に提供されます。


透明性が確保されているんですね。



認定手続開始通知を受け取った輸入者は、証拠提出と意見陳述の期限までに侵害物品ではないことを証明する書類を提出できます。一方で権利者側も侵害を裏付ける証拠を提出可能です。どういうことでしょうか?​
双方の主張を検討した上で税関が最終判断を下す仕組みになっているため、一方的な認定を防ぐ設計です。


認定手続における期限と対応の実務ポイント

認定手続には厳格な期限設定があり、これを守らないと大きな不利益を被る可能性があります。

輸入者と権利者は認定手続開始通知書に記載された「証拠を提出し意見を述べることができる期限」までに対応しなければなりません。この期限は税関が設定しますが、一般的には通知から10執務日から20執務日程度です。執務日とは行政機関の休日を除いた日数なので、実際のカレンダー日数より短くなります。


厳しいところですね。



参考)https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/isho_shoi/document/seisakubukai-04-shiryou/08.pdf


簡素化手続が適用される場合、輸入者が侵害該当性を争う意思表示をする期限は通知を受けた日から10執務日以内とさらに短縮されます。この期限内に争う旨の申出書を提出しなければ、権利者が提出した輸入差止申立書と添付資料のみで税関が認定を行います。


つまり反論の機会を失います。



該当認定を受けた場合でも、不服申立てができる期間は3か月あります。この間に輸入者は貨物の滅却・廃棄・任意放棄・権利者からの輸入同意書取得・切除等の修正といった自発的処理が可能です。3か月経過後も処理されない場合は税関が貨物を没収して廃棄します。

期限管理が成否を分けるということですね。


税関ホームページの認定手続解説ページでは、手続の流れが図解されており実務担当者の確認に役立ちます。

認定通関業者制度のメリットと取得要件

AEO制度における認定通関業者になると、通常の通関業者では利用できない3つの大きなメリットがあります。

1つ目は特例委託輸入申告制度の利用です。これは輸入者の依頼で行う通関手続において、貨物の引取り後に納税申告を行える仕組みです。通常は納税申告と貨物引取りが同時ですが、この特例により輸入貨物を一層迅速に引き取れるようになります。


物流の時間短縮が実現します。



2つ目は特定委託輸出申告制度です。特定保税運送者による運送を前提に、保税地域以外の場所にある貨物について輸出申告が可能になります。保税地域への搬入を省略できるため、リードタイムとコストの大幅削減が期待できます。


これは使えそうです。



3つ目は輸出入申告官署の自由化です。貨物の蔵置場所に関わらず、いずれの税関長に対しても輸出入申告ができます。複数拠点で業務を行う企業にとって事務の効率化とコスト削減につながります。

認定を受けるには「特例輸入者等承認・認定申請書(C-9000号)」を税関のAEO担当部門に提出し、厳格な審査を受ける必要があります。審査では法令遵守規則の整備状況、財務基盤の安定性、セキュリティ管理体制などが評価されます。


参考)https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/aeo/faq/a1-1-5.htm


税関のAEO認定通関業者制度ページでは申請様式と詳細な要件が確認できます。

通関業務で見落としがちな認定手続の落とし穴

実務では認定手続に関する誤解や見落としが重大なトラブルを引き起こすケースがあります。


よくある誤解は「知的財産権侵害の疑いがかけられたら自動的に輸入不可になる」というものです。実際には認定手続は侵害該否を判定するプロセスであり、非該当認定を受ければ直ちに輸入許可が下ります。証拠を適切に提出すれば通関できる可能性があります。


あきらめないことが大切です。



もう1つの盲点は郵便物に関する制限です。一般貨物では該当認定後に輸入者が滅却・廃棄を選択できますが、郵便物についてはこれらの処理方法が認められていません。任意放棄や権利者からの同意書取得などの他の方法を選ぶ必要があります。それで大丈夫でしょうか?​
輸送形態によって対応方法が変わるということですね。


AEO認定通関業者の更新についても注意が必要です。認定は永続的なものではなく、定期的な審査により法令遵守状況やセキュリティ管理体制が継続的に評価されます。認定取消しから3年間は再申請できないため、一度認定を受けた後も継続的な体制維持が求められます。

また通関業の許可を受けてから3年未満の事業者はAEO認定を申請できません。新規参入事業者は最低3年間の実績期間が必要です。


つまり計画的な準備が不可欠です。



通関業務では法令改正も頻繁に行われるため、最新情報を定期的に確認する習慣をつけましょう。税関のウェブサイトや業界団体の情報配信を活用すると、制度変更を見逃さずに済みます。


項目 知的財産権侵害物品の認定手続 AEO認定通関業者制度
目的 輸入貨物の知的財産権侵害該否の判定 優良事業者への通関手続簡素化の付与
対象者 侵害疑義貨物の輸入者・権利者 通関業許可を受けた事業者
主な期限 証拠提出期限10〜20執務日、不服申立期間3か月 申請後の審査期間(個別に設定)
結果 該当認定または非該当認定 認定または不認定
有効期間 個別の認定手続ごとに完結 継続(定期審査あり)




公判前整理手続を活かす〔第2版〕 (GENJIN刑事弁護シリーズ05)