著作権が切れた楽曲でもCD音源の輸入は違法になります。
音楽の著作権保護期間は、原則として著作者が死亡した年の翌年1月1日から70年間です。2018年12月30日のTPP整備法施行により、それまでの50年間から20年間延長されました。
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たとえば2024年に作曲家が亡くなった場合、2025年1月1日から数えて70年後の2094年12月31日まで保護されます。つまり約70年間ということですね。
ただし2018年12月29日までに50年間の保護期間が終了していた作品については、さかのぼって著作権が復活することはありません。著作権法には一度消滅した権利を後から復活させない原則があるためです。
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この変更により、国際的な調和が図られました。ベルヌ条約加盟国の4割以上が70年以上の保護期間を採用しているため、日本もこれに合わせる形となったのです。
無名・変名の楽曲や団体名義の作品では、計算方法が異なります。これらは著作者の死亡時期ではなく、公表された年の翌年から70年間保護されます。
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公表されなかった場合は創作後70年が保護期間です。どちらの基準が適用されるかは楽曲の性質で決まります。
参考)301 Moved Permanently
映画の著作物は延長前から70年間の保護期間でした。そのため2018年の改正による変更はありません。
クラシック音楽について「著作権がない」という誤解が広まっていますが、これは正確ではありません。作曲家の死後70年が経過していない楽曲は、クラシックとして認識されていても著作権保護期間内にあります。
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楽曲の著作権が消滅していても、CD音源には別の権利が残っている場合があります。それが著作隣接権です。
著作隣接権は実演家、レコード製作者、放送事業者に認められる権利です。実演家は演奏を行ったとき、レコード製作者は音を初めて固定したときに権利が発生します。
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保護期間は実演を行った年、またはレコードに最初に音を録音した年の翌年から70年間です。つまり作曲家の著作権とは別にカウントされます。
たとえばベートーベンの楽曲は著作権が切れていますが、2020年に録音されたCDには2090年まで著作隣接権が存在します。演奏家やレコード会社ごとに利用許可の確認が必要です。
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著作隣接権には複製権や送信可能化権が含まれます。無断でサーバーにアップロードしたり、コピーを作成することは禁止されています。
通関業務では音楽レコードの輸入に特有の制限があります。それが「音楽レコード還流防止措置」です。
参考)https://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/qa_004.htm
この制度は日本で販売される音楽CDが海外で安く販売され、それが日本に逆輸入されることを防ぐための規定です。一定の要件を満たした音楽レコードの輸入は、著作権または著作隣接権の侵害行為とみなされます。
参考)https://www.ipaj.org/bulletin/pdfs/JIPAJ3-3PDF/3-3_p067-088.pdf
韓国で販売されている日本の音楽CDであっても、還流防止期限表示内での輸入は禁止されています。正規品であっても輸入できません。
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税関は著作権侵害品の輸入を厳しく取り締まっています。偽造品や海賊版と判断されれば差し止めの対象となり、著作権者は輸入差止申立書を提出することで保護を受けられます。
参考)https://www.customs.go.jp/mizugiwa/content/C5840chosaku.pdf
輸入業務を行う場合は、まず対象となる音楽CDが還流防止措置の対象かどうか確認が必要です。対象製品には期限表示がされており、その期間内の輸入は違法となります。
著作権が切れた楽曲を安全に利用するには、複数の権利関係を確認する必要があります。まず楽曲自体の著作権保護期間を計算します。
次に利用する音源について著作隣接権の有無を確認します。CDやデジタル音源には演奏家とレコード製作者の権利が存在するためです。
輸入業務では還流防止措置の対象製品かどうかを確認します。日本の音楽著作権協会(JASRAC)のウェブサイトで対象製品を検索できます。
JASRAC公式サイト
著作権の保護期間や楽曲の権利情報を検索できる公式データベースです。
著作権者から正規ライセンスを取得すれば、保護期間内でも合法的に利用できます。ライセンス契約を結ぶことで正規品として輸入・販売が可能になります。
参考)輸入ビジネスと著作権侵害
不明な点がある場合は、著作権に詳しい弁護士や専門家に相談するのが確実です。意図しない著作権侵害を防ぐには、事前の確認が最も重要な対策となります。
| 権利の種類 | 権利者 | 保護期間 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 著作権 | 作詞家・作曲家 | 死後70年 | 楽曲そのもの |
| 著作隣接権(実演) | 歌手・演奏家 | 実演後70年 | 演奏・歌唱 |
| 著作隣接権(レコード) | レコード会社 | 録音後70年 | 音源 |
これらの権利は独立して存在するため、一つが消滅しても他の権利は残り続けます。通関業務に携わる方は、特に還流防止措置と著作隣接権の二重チェックを習慣化することで、法的リスクを大幅に減らせます。