インフレ率日本推移と通関業務の影響

日本のインフレ率は1990年代から2020年代にかけてどう変わったのか?通関業務従事者が知っておくべき物価推移とコスト管理のポイントを、最新データと為替変動の影響を交えて解説します。輸入価格への影響を把握できていますか?

インフレ率日本推移

実は円安局面では関税額そのものも増加します。

この記事で分かる3つのポイント
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日本のインフレ率推移

1990年代のデフレから2020年代のインフレまで、日本の物価動向を時系列で把握

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通関業務への影響

為替変動と関税計算の関係、輸入コストへの影響を具体的に解説

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実務対策のポイント

インフレ時代の通関業務で押さえるべきコスト管理の実践方法

インフレ率日本推移の長期データ

日本のインフレ率は、1990年代から2020年代にかけて劇的な変化を遂げてきました。1990年代半ばから2013年まで、日本は長期にわたるデフレ期間を経験し、消費者物価指数の前年比は−1%から0%の範囲で推移していました。この時期は「失われた20年」と呼ばれ、物価下落と経済低迷が同時進行する厳しい状況でした。
参考)日本のインフレ率の推移 - 世界経済のネタ帳


しかし2013年以降、状況は変わり始めます。アベノミクスによる金融緩和政策により、インフレ率は1%未満のプラス圏に浮上しました。さらに2022年には世界的なインフレの影響を受け、日本のインフレ率は2.50%に達し、2023年には3.27%まで上昇しています。これは約40年ぶりの高水準です。
参考)https://shizuoka.repo.nii.ac.jp/record/2001759/files/30_1-2-0025.pdf


最新のデータでは、2025年12月のインフレ率は2.1%となり、前月の2.9%から低下しました。とはいえ2022年3月以来の最低水準です。一方でコアインフレ率(生鮮食品を除く)は3.0%を維持し、日本銀行の2%目標を44か月連続で上回っています。
参考)https://jp.tradingeconomics.com/japan/inflation-cpi

通関業務に従事する方にとって、この数値は単なる経済指標ではありません。インフレ率の上昇は輸入コストの増加に直結し、通関手続きや関税計算にも影響を及ぼすからです。

インフレ率日本推移における特徴的な時期

日本のインフレ率の歴史を振り返ると、いくつか特徴的な時期が存在します。1974年2月には、石油危機の影響で最高の24.90%を記録しました。これはハイパーインフレーションに近い状態です。逆に2009年10月には、リーマンショック後の需要減退により最低の−2.50%を記録しました。​
2020年以降の動きも注目に値します。コロナ禍の2020年にはインフレ率が−0.03%とわずかにデフレ傾向を示しましたが、2021年には−0.24%とさらに下落。しかし2022年以降、世界的なサプライチェーン混乱とエネルギー価格高騰により、一気にインフレが加速しました。
参考)物価が上がり始めた理由—1つの歴史的偶然と2つの構造的変化—…


この急激な転換が通関業務に与えた影響は深刻でした。特に食料品とエネルギーの価格上昇が顕著で、2025年12月の食品インフレ率は5.1%に達しています。輸入依存度の高い日本では、これらの品目の価格変動が通関業務のコスト計算を複雑化させる要因となります。​
1990年代から2010年代初めまでのデフレ期は、物価安定という点では消費者にメリットがありました。しかし企業にとっては価格転嫁が困難で、賃金も上昇しにくい環境が続きました。この時期の経験が、現在のインフレ局面での価格転嫁の難しさにつながっているという指摘もあります。
参考)https://www.boj.or.jp/mopo/outline/bpreview/data/bpr240405a1.pdf


インフレ率日本推移と為替レートの関係

為替レートの変動は、インフレ率と密接に関連しています。特に輸入依存度の高い日本では、円安が進むと輸入品の価格が上昇し、インフレ圧力が高まります。2020年代のインフレ加速には、円安基調の定着が大きく影響していると分析されています。
参考)【輸入企業向け】為替リスク完全対策ガイド:円安・円高で動じな…


通関業務において、為替の影響は二重に発生します。まず輸入申告価格の計算時に、外貨建ての仕入価格を円換算する必要があります。円安局面では、同じドル建て価格でも円ベースの申告額が増加するわけです。さらに関税は課税価格に対して課されるため、円安時には関税額そのものも増加します。これが冒頭の「驚きの一文」の意味です。
参考)輸入申告価格の通貨の換算に用いる外国為替相場について

輸入企業向けの為替リスク対策ガイドでは、円安による仕入れ価格上昇への具体的な対処法が解説されています。
為替リスクを軽減するには、予約為替の活用が有効です。船積日の属する週の為替レートで換算するケースが一般的ですが、事前に為替レートを確定させることで価格変動リスクを抑えられます。ただし為替予約には手数料が発生するため、コストとリスクのバランスを見極める必要があります。
参考)https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/kanzeihyouka/hyokajirei/hyokajirei4700002.pdf


日本の貿易収支も為替相場に影響します。貿易赤字が拡大すると円安が進行しやすく、逆に貿易黒字が拡大すると円高圧力が高まります。2020年代は資源価格高騰により貿易赤字が続いており、これが円安基調を後押ししている側面もあるのです。
参考)【”輸入”企業向け】日本の為替市場と…

インフレ率日本推移と食料品・エネルギー価格

食料品価格の上昇は、日本のインフレ率を牽引する主要因となっています。2020年以降、食料指数は総合指数を上回る上昇を見せており、2025年12月には前年比5.1%の上昇を記録しました。特に米の価格上昇が顕著で、16か月ぶりに上昇ペースが緩やかになったとはいえ、依然として高い水準です。
参考)令和インフレの特徴 —品目別データによる分析—


エネルギー価格の変動も見逃せません。政府の補助金終了後、電気料金は2025年10月に4か月ぶりの高い上昇率を記録しました。エネルギーCPIは2024年時点で118.7と、前年比で3.8%上昇しています。通関業務では、コンテナ輸送や倉庫保管に係るエネルギーコストの増加が、間接的に業務コストを押し上げます。
参考)日本のCPI(消費者物価指数)およびインフレ(物価高)とデフ…


輸入食料品に関しては、関税措置の影響も考慮する必要があります。米国産の牛肉や穀物は日本市場で重要な位置を占めており、関税率の変更や為替変動により価格が大きく変動します。トランプ政権下での関税政策は、日本からの輸入品に25%の関税を課す可能性が示唆されており、逆に米国からの輸入品価格も上昇リスクにさらされています。
食料品の価格上昇が家計に与える影響は大きく、消費者の購買行動にも変化が見られます。一方で通関業務従事者にとっては、申告価格の適正性確認や関税分類の精度向上がより重要になっています。価格変動が激しい時期には、HSコードの選択ミスが想定外のコスト増につながるリスクがあるためです。

インフレ率日本推移から見る通関業務の課題

インフレ環境下での通関業務には、独自の課題が存在します。まず価格転嫁の難しさです。物価と名目賃金は上昇していますが、実質賃金は下がっており、生活が苦しくなっているという指摘があります。このため輸入コストの上昇分を顧客に転嫁することが困難で、通関業者の収益を圧迫します。
参考)302 Found


関税計算の複雑化も課題です。為替変動に加え、関税率自体が貿易政策の変更により頻繁に改定される可能性があります。トランプ関税のような突発的な政策変更は、通関業務の予測可能性を低下させ、顧客への見積もり提示を困難にします。
日本銀行の過去25年間の経済・物価情勢レポートでは、デフレからインフレへの転換期における経済構造の変化が詳しく分析されています。
システム対応の必要性も増しています。為替レートの自動取得、関税率データベースの定期更新、申告価格の適正性チェック機能など、ITツールの活用が不可欠です。手作業での計算ミスは、過少申告による追徴や過大申告による無駄なコスト負担につながります。
人手不足も深刻です。インフレの構造的要因として人手不足時代の到来が指摘されており、通関業務でも専門知識を持つ人材の確保が難しくなっています。業務効率化とスキル向上を同時に進める必要がありますが、研修時間の確保すら困難な現場も少なくありません。​
これらの課題に対応するには、業務プロセスの見直しと、最新の経済動向への継続的な関心が求められます。為替ヘッジツールの活用や、顧客との価格改定条項の事前合意など、リスク管理の仕組みを整備することが重要です。