カルネ通関で担保金を預けずに担保措置料だけで済ませると、返金がないため損します。
ATAカルネの発給料金は2023年10月から基本料金が18,000円に改定されました。この金額は通過回数やカルネ総枚数によって変動します。YouTube
通過回数とは、物品が国境を越える回数のことです。例えば日本からイギリスに行き日本に戻る場合、通過回数は4回となります。通過回数が8回を超えると、超過1回につき250円が加算されます。YouTube
つまり超過分の計算が必要です。
カルネ総枚数が20枚を超える場合は、超過1枚につき30円が加算される仕組みです。複数の国を巡回する展示会や、物品点数が多い場合は、事前に総通過回数と必要枚数を計算しておくことで、正確な費用を把握できます。YouTube
申請から発給までは一般利用者の場合、審査完了から2営業日、協会有料会員の場合は審査完了翌日に発給されます。通常、利用登録から発給まで約7営業日を要しますが、あらかじめ利用登録が完了している場合は最短3営業日で発給が可能です。
参考)ATAカルネとは?申請・通関方法 丸わかりガイド!
急ぎの案件では事前登録が鍵です。
カルネ発給時には、発給手数料とは別に担保金を預けるか、担保措置料を支払う必要があります。この2つの選択肢には大きな違いがあります。YouTube
担保金は、物品が一時輸入国に残留した場合に輸入税等の支払いに充てるための保証金です。カルネを正常に使用し物品を全て持ち帰った場合、預けた担保金は全額返金されます。担保金の額は貨物価格の約50%が目安とされています。
参考)【海外展示会・商談の必須知識】ATAカルネとは?メリット、取…
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一方で担保措置料は40,000円の定額です。こちらはカルネ返還後も返金されません。YouTube
返金なしは確定コストですね。
担保金を預ける資金的余裕がない場合、担保措置料を選択することで申請が可能になります。しかし、物品価格が低い案件や確実に全品持ち帰れる案件では、担保金を選択する方が最終的な費用負担は少なくなります。
例えば物品価格が100万円の場合、担保金は約50万円ですが、無事に持ち帰れば全額返金されます。それに対し担保措置料40,000円は確定費用です。
短期の展示会出展で物品管理が確実な案件では、一時的に資金を拘束されても担保金方式を選ぶことで、実質的な費用を発給手数料のみに抑えられます。逆に長期間の巡回展示や現地での消耗リスクがある案件では、担保措置料で確定させる判断もあります。
ATAカルネの申請は2021年6月からオンラインのみで受け付けられています。初回申請者は日本商事仲裁協会のウェブサイトで仮登録を行います。YouTube
仮登録後に受信したメールのURLから登録申請書入力画面にアクセスし、必要事項を入力します。法人の場合は会社名、住所、代表者名、担当者情報などを、個人の場合は氏名、住所、連絡先を入力します。
オンライン申請が基本です。
物品情報の入力では、品名、数量、単価、シリアル番号などを詳細に記載する必要があります。特に電子機器や高額品は、シリアル番号の記載が識別のために重要です。YouTube
審査完了後、発給予定日と発給料金が確定します。発給予定日までに協会指定口座へ料金を振り込むと、発給日以降にカルネが着払宅配便または協会窓口で受け取れます。
これらの申請手続きは代理人に委託することも可能です。フォワーダーや通関業者がカルネ申請代行サービスを提供しているため、初めての利用や複雑な案件では専門家のサポートを活用することで、記入ミスや書類不備を防げます。
日本商事仲裁協会のATAカルネ公式サイトでは、申請方法の詳細ガイドや利用可能国の最新情報、よくある質問が掲載されており、申請前の確認に役立ちます。
カルネ通関で最も多いトラブルは、物品の持ち帰り忘れや残留です。展示会終了後に物品を現地で譲渡、販売、紛失、盗難に遭った場合、一時輸入国の税関から輸入税等が請求されます。
参考)一時輸入国税関からの輸入税等の請求
このようなケースでは、日本の保証団体が税関に立て替え払いを行いますが、その後カルネ名義人に対して担保金からの支払いが行われます。つまり最終的には荷主負担となるため、物品管理は徹底する必要があります。
参考)ATAカルネとは?展示会・一時輸出入で役立つ国際通関制度のす…
全品持ち帰りが鉄則です。
実際の事例として、ドイツ・フランクフルト空港で15年ほど前、バイオリニストがストラディバリウス(評価額6億円)をATAカルネなしで持ち込もうとし、関税約1億2千万円を課税され楽器が差し押さえられた事件がありました。
参考)カルネを取らずに大騒動
カルネ使用者による記入ミスも頻発します。カルネ申告内容の未記入や誤記入、通関記録の記入漏れは、後日の証明に支障をきたします。
またタイの税関のように、複数企業が関わるケースで使用者欄の記載に厳格な国もあります。タイでの事例では、現地で通関手続きを行う業者と荷受人が異なる場合、両方の名前を使用者欄に記載し、それぞれに委任状を発行することで解決しました。
参考)【事例で学ぶ】カルネ手帳を使用する際の注意点について - 物…
国ごとの運用ルールは異なります。
再輸出通関を忘れると、物品を日本に持ち帰っていても証明できず、輸入税等を請求されるリスクがあります。出国時には必ず現地税関でカルネに出国記録(ストランス通関)のスタンプを取得する必要があります。
このようなトラブルを防ぐには、出発前にカルネの記入方法を確認し、現地での通関手続きを確実に行うこと、物品リストと現物を照合して全品持ち帰ることが重要です。また各国の税関規定や使用者欄の記載ルールを事前に調査することで、現地でのトラブルを未然に防げます。
ATAカルネを利用する最大のメリットは、一時輸入国での輸入税等の免税と、通関手続きの簡素化です。通常の輸出入では相手国ごとに通関書類を作成する必要がありますが、カルネがあれば提示のみで済みます。
参考)https://logistics.shinwart.co.jp/glossary/ata-carnet
複数国を巡回する展示会では、各国での書類作成時間を大幅に削減できます。例えば3カ国を巡る展示会の場合、各国で通常通関を行うと書類作成と税金の一時支払いに多大な時間と資金が必要ですが、カルネ1冊で全てカバーできます。
参考)ATAカルネとは?カルネを使用した通関のメリットと手順を解説
時間削減効果は大きいです。
費用面では、発給手数料18,000円と担保措置料または担保金が必要です。一方で現地での輸入税が免税になるため、物品価格が高額な場合や複数国を回る場合は、カルネの費用を上回る節税効果があります。YouTube
ただしカルネが利用できない国や物品もあります。消耗品、食品、販売目的の物品、修理や加工を施す物品などは対象外です。また医薬品や化粧品は、一時持ち込みでも一部の国で認められない場合があります。
対象外物品には注意が必要です。
カルネ利用を判断する際のポイントは、物品価格、滞在国数、滞在期間、物品の種類です。物品価格が高く複数国を巡回する案件では費用対効果が高くなります。逆に単一国への短期持ち込みで物品価格が低い場合は、通常の一時輸入手続きの方が簡便な場合もあります。
有効期間は発給日から1年間で、この期間内であれば同一物品について複数回の出入国が可能です。長期プロジェクトや定期的な展示会出展が予定されている場合、1年間の有効期間を最大限活用することで、費用対効果を高められます。
参考)ATAカルネ申請代行
税関のATAカルネ情報ページでは、利用可能国や対象物品の最新情報が確認でき、カルネ利用の適否判断に役立ちます。