仲介貿易では3000万円超の報告義務を忘れると法令違反になります
参考)仲介貿易(三国間貿易)における留意点
間接貿易とは、自社ではなく国内の商社などの仲介業者を通じて海外と取引を行う貿易形態です。日本のメーカーが国内の商社に製品を販売し、その商社が海外の顧客に輸出・販売するという流れが一般的です。
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この取引形態では、商社が商品の所有権を持ちます。輸出者と輸入者の間には直接契約が存在せず、メーカーは海外取引に直接関与しません。商社が輸出手続きを行い、貿易リスクのマネージメントを一括して担当します。
参考)仲介貿易取引とは?二国間・間接貿易との違い、同一国内などご紹…
つまり間接的な取引形態です。
仲介貿易とは、第三国が仲介者として関与し、商品の受け渡しは輸出国と輸入国の二国間で行われる取引形態を指します。
三国間貿易とも呼ばれています。
物流輸送は直接の輸出入国間で行われる点が最大の特徴です。仲介者は商品の所有権を持たず、取引の仲介役として機能し、物流手配や金銭のやり取りを担当します。外為法においては「外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借または贈与に関する取引」と規定されています。
売買契約は、輸出者・輸入者ともに仲介業者と結びます。商品は輸出者から輸入者へダイレクトに輸送されるため、輸送コストを最低限に抑えられます。
両者の決定的な違いは貨物の流れと所有権の扱いにあります。間接貿易では商社が商品の所有権を持ち、貨物は商社を経由して輸送されます。一方、仲介貿易では仲介者は商品の所有権を持たず、貨物は仲介国を経由せず直接輸送されます。
間接貿易は国内の商社が取引を代行する形態であり、仲介貿易は第三国の業者が取引を仲介する形態です。製造業者が国内の商社に販売するのが間接貿易、第三国の仲介者が輸出国と輸入国の間に入るのが仲介貿易です。
これが基本です。
通関手続きの観点からも違いがあります。間接貿易では商社が輸出者として通関手続きを行いますが、仲介貿易では仲介者は本邦において通関手続きを経ないことになります。
間接貿易では商社が輸出者として輸出通関手続きを行います。メーカーから商社への販売は国内取引となるため、消費税が課税されます。商社は買手から消費税を徴収し、通常の納税を行います。
参考)坂田貿易支援事務所
商社は輸出を行ったことが証明できれば、その取引の仕入れにかかった消費税については輸出還付を受けることができます。つまり、商社にとっては消費税の課税仕入れと輸出免税取引が組み合わさる形になります。
輸出還付が受けられます。
間接貿易のデメリットとして、商社のマージン分が上乗せされた仲介手数料が発生し、手数料の影響で価格競争力が低下するリスクがある点に注意が必要です。
仲介貿易では、仲介者は本邦において通関手続きを経ないため、通常の輸出入とは異なる取扱いになります。輸出通関は貨物の実際の輸出国で行われ、輸入通関は実際の輸入国で行われます。
スイッチインボイスとスイッチB/Lという特殊な書類が使用されます。スイッチインボイスは輸出通関用とは別で作成され、仲介業者と輸入者の商取引の請求書として使われ、輸入通関にも使われます。
参考)3国間貿易の流れとメリットを解説!スイッチB/Lやインボイス…
書類作成に注意が必要です。
仲介者が日本の場合、一回当たりの支払い並びに支払いの受領が3,000万円を超える場合は、日本銀行への「支払または支払の受領報告書」提出の義務があります。本邦で通関手続きを伴う輸出代金および輸入代金については支払い報告が免除されますが、仲介貿易は本邦において通関手続きを経ないため、報告書免除の対象にはなりません。
参考)三国間貿易・リバースチャージに係る消費税のポイントを解説しま…
仲介貿易で仲介者が日本の場合、課税対象外となり消費税が課税されません。消費税の課税対象となる条件は4つありますが、仲介貿易ではこれらの条件を満たさないためです。
参考)【図解付】三国間貿易とは?メリットやインボイス作成の注意点を…
具体的には、貨物が日本国内を通過しないため、国内取引として扱われません。仲介者が日本にいても、物流が外国相互間で完結する場合は、消費税の課税対象外になります。
課税されないということですね。
この優遇措置により、仲介者は輸出者との仕入価格にマージン(手数料)を乗せることで売上が上がりますが、そのマージンに消費税が課税されないメリットがあります。通関業務従事者はこの点を理解し、適切な税務処理を行う必要があります。
間接貿易と仲介貿易では消費税の取扱いが大きく異なるため、取引形態を正確に判断することが重要です。間接貿易では国内販売として消費税が課税されますが、仲介貿易では課税されません。
仲介貿易には輸出管理上の規制があります。仲介貿易取引が輸出令別表第1の16項に該当する貨物等を対象とするものとして、仲介貿易取引おそれ省令で定める要件に該当し、または経済産業大臣から許可申請をすべき旨の通知を受けた場合は、事前に経済産業大臣の許可を得る必要があります。
船積地域と仕向地のいずれもが輸出令別表第3に掲げる地域以外の仲介貿易について、キャッチオール規制の客観要件およびインフォーム要件に該当する場合は、経済産業大臣の許可が必要となりました。これは仲介貿易取引規制の強化として導入されたものです。
事前許可が必須です。
通関業務従事者は、取り扱う貨物が規制対象かどうかを慎重に確認し、必要な場合は経済産業大臣への許可申請を行う必要があります。許可を得ずに仲介貿易を行うと法令違反となり、罰則の対象となります。
間接貿易では商社が輸出入の手続きや交渉、リスク対応を全て担います。豊富なノウハウとビジネスネットワークを持つ商社に、貿易取引、販路開拓、国際輸送、貿易リスクのマネージメントを一括してまかせることができます。
これは便利ですね。
しかし商社のマージン分が上乗せされた仲介手数料が発生します。手数料の影響で、自社の価格競争力が低下するリスクがあります。商社を介するため、顧客との直接交渉が難しくなる場合もあります。
通関業務従事者の視点では、商社が輸出者として通関申告を行うため、実際の製造者とは異なる名義で手続きが進む点に注意が必要です。インボイスやパッキングリストの発行者が商社名義になるため、書類の整合性を確認することが重要です。
仲介貿易取引を行う際、最も注意深く立ち回らなければいけないのが仲介者、つまり当取引における商品の売主です。仲介者の買主への販売価格は、輸出者の売値(元値)にマージン(手数料)がプラスされているからです。
参考)「三国間貿易」取引をするときに知っておくべき注意点
価格設定が重要です。
輸出国と輸入国の間で直接貨物が移動するため、仲介者は物流の進捗を直接確認できない場合があります。そのため、輸出者と輸入者双方との密なコミュニケーションが必要です。
また、C国バイヤーがA社(仲介者)に開設する信用状で決済される場合、信用状の条件が輸出者との契約条件と一致しているか慎重に確認する必要があります。書類の不一致があると決済が滞るリスクがあります。
通関業務従事者は、スイッチB/Lやスイッチインボイスの作成において、輸出通関用と輸入通関用で異なる情報を記載する必要があることを理解しておく必要があります。書類の整合性を保ちながら、各国の通関要件を満たす書類を作成することが求められます。
仲介貿易の詳細な留意点と対応策についてはJETROの貿易・投資相談Q&Aが参考になります
三国間貿易のインボイス作成の注意点や消費税の取り扱いについてはサンプランの解説記事が実務者向けに詳しく解説しています