優遇措置 意味とは?通関業務で知るべき関税制度の種類と活用

優遇措置とは通関業務でどのような意味を持つのか、特恵関税やEPAとの違い、関税割当制度など多様な優遇税率の仕組みを解説。申告ミスで生じる延滞税リスクも含め、実務で損しないための知識を網羅しています。あなたの業務に活かせる内容はどれでしょうか?

優遇措置の意味と通関業務での種類

Form Aを取得していても、直送要件を満たさないと優遇税率が適用されず後から延滞税が課される可能性があります。

この記事の要約
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優遇措置の基本的意味

優遇措置とは関税上の特別待遇を指し、一般特恵関税やEPA税率など複数の制度が存在する

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制度ごとの対象国と品目

GSPは開発途上国全般、LDCは後発開発途上国、EPAは協定締結国が対象で適用条件が異なる

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申告時の注意点

原産地証明書と直送要件の両方を満たさないと優遇税率が失効し追徴課税のリスクがある

優遇措置が意味する関税上の特別待遇


優遇措置とは、特定の国や地域から輸入される貨物に対して、通常の関税率よりも低い税率や無税を適用する制度のことです。関税法関税暫定措置法に基づき、開発途上国の経済発展支援や貿易促進を目的として設けられています。
参考)特恵関税制度(GSP):日本


通関業務では、この優遇措置を正しく理解し適用することで、輸入者のコスト負担を大幅に削減できます。例えば、ベトナムから輸入するコーヒー豆に一般特恵関税を適用すると、通常税率12%がゼロになるケースもあります。つまり100万円分の輸入で12万円の関税が免除されるということですね。
参考)特恵関税とは 概要やメリット、活用法について分かりやすく解説…

ただし優遇措置には複数の種類があり、対象国・品目・適用条件がそれぞれ異なります。通関士は輸入貨物ごとに最も有利な制度を選択し、必要書類を整えて税関に申告する責任があります。制度の選択を誤ると、本来受けられる優遇が受けられず輸入者に損失を与えることになります。

優遇措置の主な種類と対象国の違い

優遇措置には大きく分けて3つの制度があります。

一般特恵関税制度では、タイやインドネシアなど約140の開発途上国が受益国として指定されています。対象品目は農水産品約400品目、鉱工業品約3300品目です。一方、特別特恵関税制度は最貧国向けで、対象品目が一般特恵よりも広範囲になります。
EPA税率は最恵国(MFN)税率よりも低い税率を二国間で定めるもので、協定締結国間でのみ適用されます。例えば日本とオーストラリア間のEPAでは、牛肉の関税率が段階的に引き下げられています。協定ごとに原産地規則や必要書類が異なる点に注意が必要です。
参考)https://www.jcci.or.jp/gensanchi/201005-3.pdf


これらの制度は重複適用できないため、通関時には最も税率が低い制度を選択します。選択を誤ると数十万円単位で関税負担が変わるため、慎重な判断が求められます。

優遇措置適用に必要な原産地証明書の種類

優遇措置を受けるには、輸入貨物が対象国の原産品であることを証明する書類の提出が必須です。
一般特恵関税および特別特恵関税では、「特恵用原産地証明書(GSP Form A)」が必要です。この証明書は輸出国の商工会議所などが発給し、発給日から1年以内のものでなければなりません。Form Aには貨物の品名、数量、原産地基準を満たす根拠などが記載されています。
EPA税率を適用する場合は、各協定で定められた原産地証明書が必要です。協定によっては第三者証明方式、認定輸出者自己証明方式、輸出者または輸入者の自己申告方式など、証明方法が異なります。例えば日EU・EPAでは自己申告制度が採用されており、輸出者または輸入者が自ら原産性を申告できます。​
証明書の記載内容に誤りや不備があると、優遇税率が適用されず通常税率での課税となります。その結果、輸入許可後に税関から修正申告を求められ、追加の関税と延滞税が発生するリスクがあります。通関業務では書類の事前確認が極めて重要です。
参考)No.9205 延滞税について|国税庁

優遇措置が失効する直送要件の落とし穴

原産地証明書を取得しても、もう一つの重要条件である「直送要件」を満たさなければ優遇措置は適用されません。
直送要件とは、対象国から日本へ直接輸送されることを求める条件です。ただし、輸送上の理由で第三国を経由する場合でも、以下の条件を満たせば直送とみなされます。​


  • 経由国で積替えまたは一時蔵置のみが行われたこと

  • 経由国で貨物が税関管理下に置かれたこと

  • 経由国で加工など商業的な処理が行われていないこと

例えば、ベトナムから日本への貨物がシンガポール港で積替えされる場合、シンガポールで単に別の船に積み替えただけなら直送要件を満たします。しかし、シンガポールで梱包の変更や品質検査などの加工が行われると、直送要件違反となります。
この要件違反は税関の事後調査で発覚することが多く、輸入許可から数年後に延滞税を含めた追徴課税を受けるケースがあります。延滞税は年利最大14.6%で計算されるため、100万円の関税なら3年後には約44万円の延滞税が加算される計算です。直送要件の確認は書類だけでなく、船荷証券(B/L)の経由地記載も精査する必要があります。​

優遇措置と関税割当制度の組み合わせ活用

関税割当制度とは、一定数量内の輸入品に低税率(一次税率)を適用し、数量超過分には高税率(二次税率)を適用する制度です。この制度は優遇措置とは別の仕組みですが、組み合わせて使うことで更なるコスト削減が可能になります。
参考)https://www.customs.go.jp/kyotsu/yogosyu.htm


例えば、豚肉の輸入では関税割当制度により年間一定量までは無税または低税率が適用されます。この割当枠内であれば、EPA税率を使わなくても既に低い税率が適用されているため、EPAの適用は不要です。一次税率が無税なら問題ありません。
参考)https://www.customs.go.jp/shiryo/kanzei_shikumi.htm

逆に、割当数量を超えた輸入では二次税率が適用されるため、この時点でEPA税率を検討すべきです。EPA税率が二次税率より低ければ、EPAを適用することで関税負担を軽減できます。ただし、EPA原産地証明書の取得コストと時間も考慮する必要があります。
通関業務では、割当数量の残量を事前に確認し、一次税率期間内に輸入を完了させる計画を立てることが重要です。財務省や税関のウェブサイトでは、主要品目の割当状況が公開されています。情報収集を怠ると、予想外の高税率適用で輸入者に損失を与えることになります。
税関「関税のしくみ」には関税割当制度の詳細な説明と対象品目リストが掲載されています
通関業務で優遇措置を正しく活用するには、制度ごとの対象国・品目・必要書類を正確に把握し、直送要件などの適用条件を厳密に確認することが不可欠です。書類不備や要件違反による追徴課税は輸入者の信頼を損なうだけでなく、通関士としての評価にも直結します。各制度の最新情報は税関や財務省のウェブサイトで定期的に更新されるため、継続的な情報収集が求められます。
税関「一般特恵関税マニュアル」は実務で必要な詳細情報が網羅されており、通関業務の参考資料として有用です




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