手数料の勘定科目|個人事業主の経費処理と仕訳の注意点

個人事業主が支払う各種手数料は、どの勘定科目で処理すれば正しいのでしょうか。通関業務で発生する手数料や振込手数料など、混同しやすい科目の違いを解説します。知らないと税務調査で指摘されるリスクもあるのでは?

手数料の勘定科目と個人事業主の経費処理

手数料は「支払手数料」で処理すると雑費が膨らまない

この記事のポイント
💰
支払手数料と雑費の違い

頻度の高い手数料は支払手数料、単発・少額は雑費で処理するのが基本です

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通関業務手数料の処理方法

通関手数料は仕入高または支払手数料で計上し、原価に含めるのが原則です

⚠️
仕訳時の注意点

手数料の負担者が自社か取引先かを必ず確認し、正確に計上する必要があります

手数料の支払手数料と雑費の使い分け基準


個人事業主が事業で発生した手数料を経費として計上する際、勘定科目として「支払手数料」と「雑費」のどちらを使うか迷うケースが多いです。


参考)勘定科目「支払手数料」とは?雑費との違いや仕訳、消費税などを…


適切な勘定科目を選ぶ基準は、発生頻度と金額の重要性にあります。銀行振込手数料やクレジットカード決済手数料など、事業で定期的に発生する手数料は「支払手数料」で処理するのが基本です。


参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-journal/commission-paid/


一方、雑費は他の勘定科目に分類されない少額の費用を処理するための科目です。頻度が少なく金額的に重要性のないものは雑費として扱えます。


参考)支払手数料とは?対象となる経費や仕訳例を紹介

ただし雑費の金額が多いと、税務調査で詳しく調査される可能性があるため注意が必要です。つまり支払手数料を適切に使うことで、経理の透明性を高められます。

勘定科目を一度決めたら、同じ種類の費用については継続的に同じ科目を使う必要があります。


継続性の原則ですね。



参考)支払手数料とは?仕訳や間違えやすい経費との違いを解説

通関業務従事者が知るべき手数料の勘定科目と原価計上

通関業務で発生する手数料は、個人事業主として輸入業を営む場合に正しく処理する必要があります。


通関手数料やフォワーダー手数料は、仕入高または支払手数料のどちらかで計上できます。ただし仕入に付随する費用(仕入諸掛)として扱う場合は、仕入原価に含めるのが原則です。


具体的には、輸入通関料は商品総額201,000円以上の大額貨物で11,800円、201,000円未満の少額貨物で8,600円が目安です。輸入取扱料金は10,000~30,000円程度が相場となっています。


通関手数料を仕入原価に含める仕訳例は、「(借方)仕入高 585,750円/(貸方)未払金 585,750円」のように、運送費や保険料と合わせて一括計上します。


原価に含めることがポイントです。



これにより、売上原価が正確に算出され、利益計算も適切になります。


振込手数料と個人事業主の経費処理ルール

振込手数料は個人事業主にとって頻繁に発生する経費の一つです。事業運営上必要な支出として、支払手数料で経費計上できます。


参考)個人事業主の給料振込手数料は誰が負担する?経費処理や節約のコ…


ただし手数料の負担者が自社か取引先かを必ず確認することが重要です。自社負担の手数料のみを正確に計上し、先方負担の場合は誤って仕訳しないようにしましょう。


例えば売掛金100,000円で振込手数料550円が差し引かれて入金された場合、税込経理方式では「(借方)普通預金 99,450円、支払手数料 550円/(貸方)売掛金 100,000円」と仕訳します。


手数料分を経費に計上ですね。



逆に買掛金100,000円を支払う際に振込手数料550円を自社で負担するケースでは、「(借方)買掛金 100,000円、支払手数料 550円/(貸方)普通預金 100,550円」となります。

給与を銀行振込で支払う際に発生する振込手数料も、事業の遂行に必要な支出とみなされ経費計上が可能です。


少額でも毎月の固定費として積み上がります。


税理士報酬や専門家への支払いと源泉徴収の処理

税理士や司法書士などの専門家に報酬を支払った場合、その金額も支払手数料で計上できます。ただし源泉所得税が発生するため、処理方法に注意が必要です。


参考)【個人事業主向け】支払手数料とは?消費税区分・仕訳方法など


報酬額から源泉徴収分を差し引いた金額を専門家に支払い、源泉徴収分は「預り金」で計上します。


これが基本の仕訳パターンです。



参考)勘定科目「支払手数料」の基礎知識〜正しい仕訳の方法や消費税の…

具体例として、税理士に13,000円の報酬を支払い、源泉所得税1,327円を差し引いて11,673円を振り込んだ場合、「(借方)支払手数料 13,000円/(貸方)普通預金 11,673円、預り金 1,327円」と記帳します。

なお従業員を雇っていない個人事業主であれば、税理士の報酬について源泉徴収をする必要はありません。源泉徴収義務は従業員を雇用している場合に発生します。

専門家報酬を「支払報酬」や「採用費」として計上する場合もありますが、一度決めた勘定科目は継続適用する必要があります。


継続性が重要ですね。


消費税の扱いと税込経理・税抜経理の違い

支払手数料の消費税区分は、基本的に「課税」となります。ただし税込経理方式と税抜経理方式で仕訳方法が異なるため、自社の経理方式を確認する必要があります。

税込経理方式では、手数料の金額に消費税を含めてそのまま計上します。例えば振込手数料550円なら「(借方)支払手数料 550円」です。

税抜経理方式では、消費税を分けて計上します。振込手数料550円の場合、「(借方)支払手数料 500円、仮払消費税等 50円」と仕訳する形です。


クレジットカード決済手数料も課税対象となるため、消費税分を分けて計上することが重要です。決済代行会社からの明細書に基づいて正確に計算しましょう。


参考)勘定科目、支払手数料のわかりやすい解説!仕訳、区分、混同しや…

また2029年9月30日までの時限措置として、基準期間の課税売上高が1億円以下、かつ特定期間の課税売上高が5千万円以下の事業者は、金融機関の振込手数料について適格請求書がなくても仕入税額控除が可能です。特例終了後に備えて対応を把握しておく必要があります。


参考)勘定科目「振込手数料」の仕訳は場面ごとに変わる!具体例を紹介

個人事業主が陥りやすい手数料の仕訳ミスと対策

個人事業主が手数料を仕訳する際、いくつかの典型的なミスがあります。


一つ目は、取引先負担の手数料を自社の経費として誤って計上してしまうケースです。売掛金が満額入金された場合は、振込手数料は取引先負担なので、自社は支払手数料として計上しません。


二つ目は、事業とは関係のない個人的な手数料を事業用口座から支払った場合、経費にあたらないため「事業主貸」で仕訳する必要がある点です。事業用と私的用途を混同しないことが大切ですね。


参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-journal/iIntroduction-fee/

三つ目は、販売手数料など売上に直接関わる経費を「支払手数料」で処理してしまうミスです。これらは「販売促進費」などの勘定科目となるため注意が必要です。

対策としては、手数料発生時に負担者と用途を必ず確認し、証憑書類を保管することが有効です。銀行明細やクレジットカード明細を定期的にチェックし、漏れや誤りがないか確認しましょう。


また、手数料の種類ごとに勘定科目のルールを一覧表にまとめておくと、迷わず処理できます。


例えば以下のような整理です。


📋 手数料の種類別勘定科目一覧

このように用途別に分類することで、仕訳作業の効率が上がり、ミスも減らせます。


税務調査では雑費の内訳を詳しく確認されることが多いため、適切な勘定科目を選び、経費の透明性を確保することが重要です。


日頃から丁寧な記帳を心がけましょう。





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