個人事業主の税務調査は実は意外に身近です。
個人事業主に税務調査が来る確率は、年間でわずか0.9〜2.5%程度です。消費税を申告している個人事業主の場合、約2.5%の確率で調査対象となり、10年以上は調査が来ない場合も多いとされています。つまり年間100人の個人事業主がいれば、1〜3人程度が調査対象になる計算です。
参考)個人の税務調査はいくらから?どこまで調べる?追徴課税の平均や…
しかし注意すべきは、税務調査が実施された場合の指摘率の高さです。調査が入った個人事業主のうち、約83%が申告漏れや誤りを指摘されています。これは東京ドーム5個分の広さ(約25ヘクタール)のうち、約21ヘクタール分に相当する高い割合です。つまり調査が来たらほぼ確実に何らかの指摘を受けると考えておくべきでしょう。
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追徴課税の平均額も深刻です。個人事業主1件あたりの平均追徴税額は約274〜359万円に達しています。これは軽自動車を新車で購入できる金額に相当します。
参考)税務調査はいくら取られる?追徴課税の平均と対象になりやすいケ…
通関業務従事者の場合、輸入事後調査との違いを理解しておくことも重要です。税関による事後調査は通関後の輸出入許可が終わった貨物に対して行われるもので、税務調査とは別の手続きになります。両者を混同しないようにしましょう。
参考)【貿易初級者必見】事後調査とは?目的や輸出入の必要書類、シス…
実際の税務調査体験談から、よくある失敗パターンが見えてきます。ある個人事業主の体験では、税理士を雇っていなかったため初歩的なミスを犯してしまいました。調査は事前通知があり、自宅で10時からスタートし、売上帳と預金通帳、領収書の控えがくまなくチェックされたそうです。
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調査官への対応で失敗する典型例は以下の3つです。
参考)【実録】税務調査体験談|中小企業経営者たちが語る調査の実態と…
📌 経費の計上が適当
📌 調査官への対応が悪い
📌 記録管理の問題
特に危険なのが「適当に処理しました」という発言です。この一言は「杜撰な管理」と受け取られ、架空経費の可能性や売上隠しの可能性があると判断されます。重加算税や青色申告取り消しにつながる可能性があるため、絶対に避けるべきです。
参考)税務調査で「この一言」が命取りに!調査官が引っかかる言葉と正…
調査官は納税者のちょっとした発言や受け答えのニュアンスを鋭くチェックしています。「軽く言ったつもり」の一言が命取りになり、重加算税や追徴課税といった大きなダメージにつながるケースもあります。
税務調査に備えて個人事業主が必ず用意すべき書類は多岐にわたります。基本的には過去3年分(場合によっては5年分や7年分)を準備しておくのが一般的です。
参考)個人事業主のための税務調査必要書類&失敗しない準備術 - 香…
📁 帳簿類
📁 決算・申告関係
📁 収入(売上)関連
📁 経費(仕入・支出)関連
これらの書類を事前に整理しておくことで、調査当日の対応がスムーズになります。資料の準備ができていないと、調査官に悪い印象を与える原因になります。
通関業務従事者で副業収入がある場合、その収入に関する書類も特に注意が必要です。副業収入は税務調査の主な理由の一つとなっています。口座の公私混同も指摘されやすいポイントなので、事業用と個人用の口座は明確に分けておくことをおすすめします。
参考)個人に税務調査が入る理由と気をつけておくポイント - 香川県…
税務調査で言ってはいけないフレーズを知っておくことは、不必要な追徴課税を防ぐために極めて重要です。以下のNGワードは絶対に避けましょう。
参考)絶対NG!税務調査が来たときに言うべきではないセリフとは
❌ 「税理士に任せているのでわかりません」
このフレーズは非常に危険です。事業主としての管理責任を放棄していると見なされ、調査官の追及が厳しくなります。税理士に依頼していても、最終的な責任は事業主にあることを忘れてはいけません。
❌ 「適当に処理したかもしれません」
これは一発アウトです。「適当=杜撰な管理」と受け取られ、架空経費の可能性や売上隠しの可能性があると判断されます。重加算税や青色申告取り消しにつながる可能性があります。
❌ 「そんな話、聞いてません」
「認識不足」と判断される可能性があります。税理士と意思疎通が取れていないと見なされたり、意図的な虚偽申告を疑われる可能性があります。
❌ 「確か…」「たぶん…」「よく覚えてないけど…」
こういった曖昧な表現は、調査官にとって「突っ込みどころ」になります。曖昧な返事や間の悪い返事も調査官に指摘されてしまう原因になります。
❌ 「はい」(安易な相槌)
一番気を付けた方がいいのが「はい」という返事です。相槌としての「はい」も、言うタイミングによっては調査官の言い分を認めることになりかねません。
代わりに使うべき正しいフレーズは以下の通りです。
✅ 「私の認識では○○です」
誤りがあった場合も「意図的ではない」ことを示せます。
✅ 「確認いたします」
即答できないときの万能フレーズです。
✅ 「当時の理解では○○でした」
調査官の追及をやわらげる効果があります。
バレたくない、疑われたくないと思うあまり嘘をついてしまうことは最大のNGです。常に「逃げ道」を作る表現を心がけましょう。
重加算税は、帳簿に虚偽の記帳をして不当に所得を少なくしたり、取引の事実を隠して無申告のままであったりした場合などに課される最も重い処分です。税務調査を通じて重加算税が課される割合はおよそ2割程度とされています。
参考)税務調査が入る確率はどのくらい?個人と法人の確率について解説…
重加算税の税率は非常に厳しいものです。過少申告の場合は35%、無申告の場合は40%が課されます。さらに過去に無申告を繰り返していた場合は、無申告加算税の代わりに課される重加算税40%に、さらに10%が加算され、合計50%にもなります。
参考)重加算税とは?対象や税率、計算方法を解説
具体例で見てみましょう。本来の納税額50万円で無申告が判明し、隠ぺい・仮装の事実があると判断された場合、重加算税は50万円×40%=20万円となります。これに延滞税が加わるため、本税に対して約75%の加算となります。過去に繰り返していた場合は9割以上の加算になります。
申告漏れが発覚し、本税で100万円追加で納税しなければならなくなった場合、悪質性がなければ過少申告加算税となり10万円の加算税ですが、悪質性を判断され重加算税となると35万円とより多くの税金を納めなければなりません。これは軽自動車の年間維持費に相当する金額です。
参考)重加算税の「故意」立証は不要?デメリットや税務調査で指摘され…
申告漏れを防ぐためには、日頃からの帳簿管理が最も重要です。売上や所得を過少申告したことで不当に少ない額を納税していた場合は、修正申告書の提出と不足額の納税を求められます。約8割の確率で何らかの申告漏れが発覚しています。
通関業務従事者で輸入事後調査の経験がある方でも、税務調査は別物として対策が必要です。税関職員が通関業者(通関士)以外の第三者の立ち合いをお断りする場合があるのと同様に、税務調査でも専門家の同席が重要になります。不安がある場合は、税理士に事前相談しておくことをおすすめします。
参考)『税関の「事後調査」における通関士の位置付け』 : 貿易とも…
国税庁ホームページ
税務調査の基本的な流れや申告に関する詳細情報が確認できます。税務署からの通知が来る前に、一度目を通しておくと安心です。