輸入申告名義人じゃないと仕入税額控除が使えません。
税額控除と所得控除は、どちらも税負担を軽減する制度ですが、控除の仕組みが根本的に異なります。
参考)税額控除とは?所得控除との違いや種類についてわかりやすく解説…
所得控除は課税所得を減らす仕組みで、所得金額から控除額を差し引いた後に税率をかけて税額を計算します。例えば、所得税率が20%の人が10万円の所得控除を受けた場合、実際の節税額は2万円(10万円×20%)になります。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-kakuteishinkoku/deduction/
一方、税額控除は計算された所得税額から直接控除額を差し引く仕組みです。つまり同じ10万円でも、税額控除なら10万円がそのまま税額から引かれるため、節税効果が高いのです。
税額控除は控除額がそのまま節税額です。
所得控除は全15種類(2025年度税制改正で基礎控除の拡大により実質16種類)あり、医療費控除、社会保険料控除、扶養控除などが含まれます。これらは年末調整や確定申告で申請することで適用されます。
参考)所得控除は全16種類!2026年最新の控除額を一覧で総整理
個人が利用できる税額控除は23種類あり、それぞれ異なる条件と控除額が設定されています。
参考)No.1200 税額控除|国税庁
代表的な税額控除には以下のようなものがあります。住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを組んで住宅を取得した場合に年末のローン残高の0.7%が最長13年間控除されます。配当控除は、国内株式の配当所得がある場合に適用され、二重課税を調整する目的で設けられています。
外国税額控除は、外国で所得税を納めた場合に国内での二重課税を避けるための制度です。申告分離課税を選択した配当所得でも外国税額控除を受けることができますが、上場株式等の譲渡損失との通算後の金額を調整国外所得金額として計算します。
参考)外国税額控除と配当所得(申告分離課税で外国税額控除は使える?…
控除の適用は確定申告が必要です。
その他の税額控除として、住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除(バリアフリー改修や省エネ改修)、認定住宅新築等特別税額控除などがあります。これらは特定の目的で住宅改修を行った場合に適用される控除です。
参考)住宅の耐震改修で使える「住宅耐震改修特別控除」
政党等寄附金特別控除、認定NPO法人等寄附金特別控除なども税額控除に含まれ、寄附金控除として所得控除を選ぶか税額控除を選ぶかを選択できます。
個人事業主やフリーランスの方は、通常の給与所得者よりも活用できる税額控除の範囲が広がります。
参考)【フリーランスの税金】種類と控除一覧!節税対策やいつ払うのか…
青色申告を選択している個人事業主は、青色申告特別控除(最大65万円)を受けられますが、これは所得控除に分類されます。しかし青色申告者は事業に関連する税額控除も受けやすい立場にあります。
事業用の設備投資を行った場合、中小企業投資促進税制などの税額控除を受けられる可能性があります。また、研究開発を行っている場合は試験研究費の税額控除も検討できます。
事業所得が290万円以下なら個人事業税はかかりません。
参考)個人事業主・フリーランス・自営業が納める税金の種類…
個人事業税には事業主控除として年間290万円が控除されるため、事業所得がこれを下回る場合は課税されません。営業期間が1年に満たない場合は月割りで約24万円が控除されます。
個人事業主向けの節税対策として、iDeCoや小規模企業共済の掛金は全額が所得控除の対象となり、支払った金額がそのまま課税所得から差し引かれます。これらは税額控除ではなく所得控除ですが、フリーランスにとって効果が大きい節税手段です。
通関業務に従事している方には、輸入消費税の仕入税額控除について特に注意すべき点があります。
輸入申告名義人のみが輸入消費税の仕入税額控除を適用できるという原則があります。保税地域から引き取る外国貨物に係る消費税は、輸入申告名義人が納税義務者となり、その名義人である事業者のみが仕入税額控除の対象とすることができます。
単に通関業務を代行する者は輸入申告者とはなれず、輸入消費税の仕入税額控除もできません。これは通関業務従事者が業務として輸入手続きを行う場合でも同様で、実際の輸入者ではない場合は控除を受けられません。
実質的な輸入者が別にいる場合の特例もあります。
消費税法基本通達11-1-6では、実質的な輸入者と輸入申告名義人が異なる場合でも、一定の要件を満たせば実質的な輸入者が仕入税額控除を受けられる特例が定められています。この要件を満たすことで、輸入代行を利用した場合でも適切に控除を受けることが可能です。
参考)あすか税理士法人|あすかコンサルティング株式会社
通関業務を委託する側の企業が輸入者となる輸入申告を行い、その手続きを通関業者に代行させる場合は、委託企業が輸入消費税を仕入税額控除の対象とできます。この関係性を正しく理解し、輸入申告名義を適切に設定することが重要です。
参考)輸入代行事業者を利用した場合の消費税の仕入税額控除 - 大阪…
住宅ローン控除と医療費控除は併用可能であり、適切に申請することで節税効果を最大化できます。
参考)https://allabout.co.jp/gm/gc/14850/
住宅ローン控除は税額控除、医療費控除は所得控除という異なる種類の控除です。医療費控除を申告することで課税される所得金額が減り、その結果算出された所得税額から住宅ローン控除を差し引くことができます。
参考)住宅ローン控除と医療費控除、両方申告してもムダなの? - 家…
具体的な計算の流れとして、まず所得金額から医療費控除などの所得控除を差し引いて課税所得を算出します。次にその課税所得に税率をかけて所得税額を計算し、最後に住宅ローン控除などの税額控除を差し引きます。
併用で住民税の軽減額も増えます。
住宅ローン控除で所得税が引ききれない場合、控除しきれない分は住民税から差し引かれますが、住民税からの控除には上限(97,500円)があります。医療費控除を申請することで所得税額を減らせば、住宅ローン控除の住民税への振り向け分を増やせる可能性があります。
参考)「住宅ローン控除と配偶者控除の併用について」
配偶者控除との併用も同様の考え方で有効です。住宅ローン控除が所得税をほぼゼロにしている場合でも、配偶者控除により住民税の課税所得を減らせるため、住民税の負担軽減につながります。
国税庁の税額控除公式ページでは、各種税額控除の詳細な要件と計算方法が解説されています。
税額控除を受けるためには、確定申告での適切な申請手続きが必要です。
年末調整で対応できる控除と確定申告が必要な控除を区別することが重要です。給与所得者の場合、多くの所得控除は年末調整で適用できますが、医療費控除、雑損控除、寄附金控除の3種類は年末調整の対象外で確定申告が必要です。
住宅ローン控除は初年度のみ確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で対応できます。初年度の確定申告時には、住宅の登記事項証明書、売買契約書の写し、住宅ローンの年末残高証明書などの書類が必要になります。
e-Taxなら自宅から申告できます。
2026年(令和8年)提出分の確定申告では、2025年度税制改正により基礎控除が最大95万円に引き上げられています。この改正は2025年分の所得から適用されるため、2026年2月から3月に行う確定申告で反映されます。
参考)基礎控除とは?最大95万円に拡大!2026年提出の確定申告で…
確定申告書の作成には、国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すると、必要な控除項目を選択しながら自動計算で申告書を作成できます。マイナンバーカードとICカードリーダーがあれば、e-Taxによる電子申告も可能です。
弥生の税額控除解説ページでは、確定申告での具体的な記入方法や注意点が詳しく説明されています。