残業代は月額8.8万円の計算に含まれません。
パート従業員が社会保険に加入するには、大きく分けて2つの基準があります。
参考)パートの社会保険への加入条件とは?種類やリスク、手続きまで分…
**1つ目は「4分の3ルール」です。**正社員の週所定労働時間および月の所定労働日数の4分の3以上働く場合、企業規模や年収に関わらず加入義務が発生します。たとえば正社員が週40時間・月20日勤務なら、週30時間以上かつ月15日以上の契約で加入対象です。
参考)令和7年版|社会保険の加入条件をわかりやすく解説【担当者向け…
2つ目は「短時間労働者の要件」で、以下の条件をすべて満たす必要があります。
参考)【2026年】パートは週20時間が重要ライン!社会保険加入の…
つまり2つの基準です。
月額88,000円の判定で見落としがちなのが「何が含まれて何が含まれないか」という点です。
参考)【パート扶養内&パートで社会保険】”収入”に含まれるもの・含…
この月額賃金は雇用契約書に基づく基本給と定額手当の合計で判断されます。具体的には以下のものは計算に含まれません。
参考)社会保険適用対象となる加入条件|厚生労働省
繁忙期に残業が増えて総支給額が88,000円を超えても、所定内賃金が88,000円未満なら加入義務は発生しません。どういうことでしょうか?
たとえば基本給が月75,000円で残業代が20,000円あっても、判定は75,000円で行われるため対象外です。通関業務のように繁忙期と閑散期の差が大きい職場では、この違いを知っておくと働き方の調整がしやすくなります。
一方で、標準報酬月額(実際の保険料計算)には通勤手当や残業代も全額含まれる点に注意が必要です。加入判定と保険料計算は別の基準ということですね。
参考)通勤手当は社会保険料の計算に含まれる? 適切な処理方法とは
契約上は加入条件を満たしていなくても、実際の勤務状況で加入対象になるケースがあります。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-payroll/social-insurances-20-hours/
**週20時間未満の契約でも、実労働時間が2ヶ月連続で週20時間以上となり、引き続き20時間以上見込まれる場合は3ヶ月目から加入対象です。**これは「雇用期間が2ヶ月を超える見込み」という条件の解釈によるものです。
参考)【2026年改正】社会保険の加入条件とは?基礎情報や改正によ…
通関業務では輸出入の増減により急にシフトが増えることがあります。たとえば9月と10月に週25時間勤務が続き、11月以降も同じペースで働く見込みなら11月から社会保険に加入することになります。
参考)社会保険はいつから加入する?パートやアルバイトもすぐ加入?
さらに2022年の法改正により、最初の雇用契約が2ヶ月以内でも契約更新の見込みがあれば最初から加入対象になりました。契約書に更新の記載がある場合や、同様の契約で更新実績がある職場では注意が必要です。
参考)勤務3カ月目から社会保険の不適用は違法!範囲や例外も紹介
この情報を得た方は、契約内容と実際の勤務状況の両方を確認しておくと安心です。人事担当者に「実労働時間での判定ルール」を事前に確認しておくことが、後のトラブル回避につながります。
2026年10月から社会保険の加入条件が大きく変わります。
参考)【2026年以降】社会保険の加入条件の改正点|今後さらなる適…
最大の変更は**「106万円の壁」の撤廃**です。これまで従業員数51人以上の企業にのみ適用されていた短時間労働者への社会保険適用が、企業規模を問わず全事業所に拡大されます。
参考)まき社会保険労務事務所26年10月、106万円の壁撤廃へ。1…
具体的には以下の要件に変わります。
週20時間以上なら対象です。
これにより、これまで小規模事業所で働いていたパート従業員も、週20時間以上働けば社会保険の対象になります。通関業務のように専門性が高く小規模な事業所も多い業界では、影響を受ける人が増えそうです。
改正後は「130万円の壁」も実質的な意味が変わります。106万円の壁が撤廃されることで、週20時間以上働く人の多くが社会保険に加入するため、130万円の壁を気にする必要があるのは週20時間未満の短時間勤務者のみになります。
政府は事業主の保険料負担増に対して、キャリアアップ助成金(最大75万円)などの支援策を用意しています。厳しいところですね。
参考)【2026年10月から】社会保険の「106万円 年収の壁」が…
パートで社会保険に加入すると手取りは減りますが、長期的なメリットも大きいです。
参考)パート・アルバイトの社会保険の加入条件とは? メリット・デメ…
主なメリットは以下の通りです。
参考)パートで社会保険に入るメリットは?加入条件とデメリットも解説…
デメリットは主に手取り額の減少です。月収88,000円の場合、社会保険料として健康保険料約4,316円、厚生年金保険料約8,052円、合計約12,368円が給与から天引きされます。
参考)パートは社会保険料がいくら引かれる?
どうなりますか?
たとえば年収130万円で働く場合、社会保険に加入すると年間約19万円の保険料負担が発生し、手取りは約111万円に減ります。一方で年収129万円で扶養内に留めた場合の手取りは129万円なので、約18万円の差が生まれます。
ただし国民年金・国民健康保険を自分で払っていた人にとっては、企業が半分負担してくれる社会保険の方が実質的な負担は軽くなります。これは使えそうです。
将来の年金額や病気・出産時の保障を考えると、単純に手取りだけで判断せず、ライフプランに合わせた選択が重要です。通関業務のように専門性が高く長期的なキャリア形成を考える職種では、社会保険加入のメリットは大きいと言えます。
通関業務従事者がパートで働く場合、業務の特性から社会保険加入で注意すべき点があります。
通関業務は輸出入の波により繁忙期と閑散期の差が大きく、月によって労働時間が大きく変動する傾向があります。そのため契約上は週20時間未満でも、実労働時間で2ヶ月連続で週20時間以上になると3ヶ月目から加入対象になる点を理解しておく必要があります。
通関士資格を持つパート従事者の場合、時給が1,800円以上と高めに設定されることが多いです。週20時間勤務なら月収は約144,000円となり、月額88,000円の基準を大きく超えます。2026年9月までは従業員数51人以上の企業でのみ対象ですが、10月以降は企業規模を問わず対象になります。
参考)通関士 パートの求人・お仕事情報|求人ボックス
通関業務の求人では社会保険完備が一般的ですが、小規模な通関業者では現在まだ対象外のケースもあります。2026年10月の法改正で状況が変わるため、現在の雇用契約を確認しておくことが大切です。
資格保有者として長期的なキャリアを考えるなら、社会保険加入による厚生年金の積み増しや傷病手当金の保障は大きなメリットです。一時的な手取り減少だけでなく、専門職としての将来設計も含めて判断することをおすすめします。
自分の勤務先の従業員数や契約内容を確認し、2026年10月の変更に備えて人事担当者と相談しておくと安心です。
<参考リンク>
厚生労働省の社会保険適用拡大の公式情報はこちら
年金社会保険の加入対象の拡大について
社会保険適用拡大の対象となる事業所・従業員の詳細はこちら
社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について