保税地域で輸入許可を受けた貨物を販売するとあなたは課税される
保税地域に蔵置された外国貨物は、輸入許可を受ける前の状態であるため、消費税法上は免税取引として扱われます。外国貨物とは、関税法上の定義で輸入許可を受けていない貨物を指し、日本国内に物理的に存在していても「国内で消費される貨物」とはみなされないためです。
参考)保税地域の消費税は免税対象?輸入時のルールと税の発生タイミン…
この免税のしくみにより、保税地域内で外国貨物を譲渡した場合、売主は消費税を請求する必要がありません。たとえば、A国から輸入した貨物を保税地域で別の事業者に転売する「保税転売」を行った場合、転売した外国企業は日本で消費税を納税する必要がなく、最終的に輸入する日本の顧客が納税義務者となります。
参考)301 Moved Permanently
つまり免税ということですね。
保税地域内で外国貨物に対して行われる役務提供は、消費税法上の輸出免税の対象となります。ここでいう役務とは、外国貨物の積み上げ、荷下ろし、保管、鑑定などの作業を指します。
国税庁の消費税基本通達では、指定保税地域などにおける役務の提供は免税とされることが明確に定められています。この免税措置により、保税地域を利用する事業者は関税や消費税の支払いを留保したまま簡単な仕分けや加工、値札付けなどの作業ができ、経費を抑えられるメリットがあります。
免税が条件です。
ただし、役務提供が免税になるのは外国貨物に対するものに限られます。輸入許可後の内国貨物に対する役務提供は課税取引となるため、通関業務従事者は貨物の状態を正確に把握する必要があります。
保税地域内の売買であっても、輸入許可を受けた貨物の譲渡は国内において行った資産の譲渡等に該当するため、消費税の課税対象です。これは通関業務従事者が最も誤解しやすいポイントの一つです。
参考)保税地域における譲渡~消費税課否判定 - 税金Lab税理士法…
どういうことでしょうか?
輸入許可を受けた時点で、その貨物は外国貨物から内国貨物に変わります。たとえ保税地域内に物理的に置かれていても、法的には「日本国内の貨物」として扱われるため、その後の譲渡には消費税が課税されます。
参考)No.6563 輸入取引|国税庁
具体的には、保税蔵置場で輸入許可を受けた後にその場で別の事業者に販売した場合、売主は消費税込みの金額で請求する必要があります。仕入税額控除の適用を受けるためには、適切な請求書等の保存も必要です。
この違いを理解していないと、消費税の申告漏れや過大納付につながるリスクがあります。
保税運送とは、国内にある保税地域から別の保税地域まで外国貨物を保税状態(関税や消費税が未納)のまま運送することです。この保税運送には消費税が課税されません。
参考)保税地域間の輸送に消費税はかからない!?「保税運送」を知って…
保税運送が免税となる理由は、運送される貨物が外国貨物のままであり、日本国内で消費されるものではないためです。たとえば、横浜港から内陸部のインランド・デポ(内陸保税拠点)への運送は保税運送となり、運送業者は消費税を請求しません。
消費税は無料です。
実務上の注意点として、保税運送は税関長の承認を受けて行う必要があり、承認を受けずに外国貨物を移動させた場合は関税法違反となります。また、保税運送中に貨物が紛失した場合、関税や消費税の納付義務が発生する可能性があるため、運送業者は貨物管理を厳格に行う必要があります。
保税地域から外国貨物を引き取る者は、原則としてその引取りの時までに輸入申告書を提出し、消費税を納付しなければなりません。消費税の納付先は保税地域を管轄する税関長です。
参考)輸入品は保税地域から引き取る際に課税
国内での仕入れの場合は仕入先に消費税を支払いますが、輸入の場合は税関長に納付する点が異なります。納付する消費税額は、課税標準額(CIF価格+関税額)に消費税率を乗じて計算します。
税関長に納付するのが原則です。
輸入業者は輸入消費税の控除を忘れないよう注意が必要です。輸入許可書などの証明書類を適切に保管し、仕入税額控除の要件を満たすことで、納付した輸入消費税を控除できます。控除を失念すると、実質的に二重課税となり、企業の利益を圧迫します。
消費税には「不課税」「免税」「非課税」という3つの異なる概念があり、保税地域での取引を正しく理解するにはこれらの違いを把握する必要があります。
不課税取引とは、消費税の課税要件である「国内」「事業者」「対価」「資産の譲渡等」のいずれかを満たさない取引を指します。たとえば、国外で行われる役務提供は「国内」の要件を満たさないため不課税です。
参考)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/aramashi/pdf/004.pdf
免税取引は、課税要件を満たすものの税率が0%に設定されている取引です。外国貨物の譲渡や保税地域内の役務提供がこれに該当します。免税取引の重要な特徴は、仕入税額控除が適用できる点です。
参考)No.6205 非課税と免税の違い|国税庁
非課税取引は、政策的配慮から課税対象外とされた取引で、土地の譲渡や住宅の貸付けなどが該当します。非課税取引には仕入税額控除が適用できません。
仕入税額控除が条件です。
通関業務従事者にとって実務上重要なのは、免税取引と非課税取引の違いです。保税地域内の外国貨物に関する取引は「免税」であり、仕入税額控除が可能なため、還付を受けられる可能性があります。
参考)非課税と不課税と免税。何が違うの?<3分で読める税金の話>|…
国外で購入した貨物を国内の保税地域に陸揚げし、輸入手続を経ないで再び国外へ譲渡する場合には、消費税法上の輸出免税の対象となります。これは比較的知られていない特例です。
参考)https://contents.8zei.or.jp/view.php?page=news-contents_8773
意外ですね。
この特例が適用される理由は、関税法の内国貨物を輸出する場合の手続規定が準用されるためです。たとえば、A国で購入した貨物をいったん日本の保税地域を経由してB国の企業に譲渡した場合、日本での輸入手続を経ていなくても、その譲渡は輸出免税の対象になります。
参考)http://contents.kap-tax.jp/view.php?page=news-contents_8773
実務上、この取引形態は貿易業において中継貿易と呼ばれ、日本を物流拠点として活用する戦略で利用されます。ただし、保税地域を経由する事実を証明する書類(保税蔵置証明書など)を適切に保管する必要があります。
税関への申告が必須です。
この特例を活用することで、輸入消費税を一時的に立て替える必要がなくなり、キャッシュフローの改善につながります。通関業務従事者は、顧客の取引形態に応じて適切にアドバイスできる知識が求められます。
保税地域における消費税の課否判定でミスを防ぐには、貨物の状態(外国貨物か内国貨物か)と取引の性質(譲渡か役務提供か)を常に確認する習慣が重要です。
実務上よくあるミスとして、輸入許可後の貨物を外国貨物と誤認して免税で処理してしまうケースがあります。これを防ぐには、輸入許可書の日付を必ず確認し、許可後の譲渡は課税取引として処理する必要があります。
厳しいところですね。
もう一つのミスは、保税地域内の役務提供をすべて免税と判断してしまうことです。免税となるのは外国貨物に対する役務提供のみであり、内国貨物に対する役務提供は課税対象となります。
納税申告に誤りがあった場合、修正申告または更正の請求により訂正できます。過少申告の場合は修正申告を、過大申告の場合は更正の請求を税関に提出します。ただし、更正の請求には期限があるため、早期に誤りに気づくことが重要です。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1305_jr.htm
誤り防止のために、社内チェックリストを作成し、貨物の状態確認、輸入許可日の記録、取引形態の分類を標準化することが有効です。また、定期的に税理士や通関士と連携し、最新の通達や実務動向を把握することも重要です。
国税庁の消費税基本通達では、輸出免税等の範囲について詳細な規定が掲載されており、保税地域における役務提供の具体的な範囲を確認できます。
税関の修正申告手続に関するページでは、納税申告に誤りがあった場合の訂正手続について具体的な様式と方法が説明されています。
通関業務従事者は、これらの公的資料を定期的に参照し、正確な消費税処理を行うことで、顧客の信頼を獲得し、自社のコンプライアンスリスクを低減できます。