実費精算でも月15万円を超えた新幹線通勤は課税対象になります。
交通費は原則として給与所得に含まれ課税されますが、所得税法施行令により一定額まで非課税となります。通関業務従事者の場合、港湾地区や空港への通勤、さらに入港時の現場対応など業務の性質上、交通費の発生頻度が高い傾向にあります。
参考)交通費と通勤手当の課税・非課税とは?適切な税務処理のポイント…
非課税として認められるのは「通勤のための運賃・時間・距離などの事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路および方法で通勤した場合」に限定されます。この「合理的」という基準が税務調査でのポイントになります。
参考)【図解】通勤手当の非課税・課税ルールと計算方法—通勤手当を設…
公共交通機関を利用する場合、1ヶ月あたりの非課税限度額は15万円です。15万円を超えた分は給与として所得税の課税対象となります。意外と知られていませんが、新幹線の特別急行料金も非課税枠に含まれます。
参考)通勤手当の課税・非課税を徹底解説|交通費の取り扱いや非課税限…
ただし注意が必要なのは、グリーン車の料金は「通常必要と認められる運賃」に含まれず課税対象になる点です。快適さという付加価値は必要経費と見なされません。
参考)新幹線通勤手当の非課税上限 | 浜松市の税理士 小林徹税理士…
マイカー通勤の場合は距離区分ごとに非課税限度額が設定されており、2025年11月の改正で上限が引き上げられました。片道55km以上なら月38,700円まで非課税です。
参考)マイカー通勤手当の非課税限度額完全ガイド2025-2026|…
一律支給の交通費手当は、実際の交通費に関係なく全社員に同額を支給するため、給与の一部として扱われ全額が課税対象です。例えば毎月1万円を一律支給している場合、実際の通勤費が5,000円でも1万円全額が給与所得となります。
参考)交通費って課税されるの?制度の仕組みと非課税範囲を解説
実費精算でも課税されるケースがあります。公共交通機関の通勤費が月15万円を超えた場合、超過分は課税対象です。遠距離から新幹線通勤している通関業務従事者で、定期代が月16万円なら1万円分が給与扱いになります。
参考)なぜ通勤手当に課税されているの?通勤手当と税金の関係を解説 …
タクシー通勤は原則として課税対象です。タクシー移動は「合理的かつ経済的な方法」とはみなされないためです。ただし深夜残業後に公共交通機関が利用できない場合のタクシー代は、業務遂行上の費用として非課税となる例外があります。
参考)交通費や通勤手当は源泉徴収に含まれる?経費精算で注意すべきケ…
これは使えそうです。
私的利用が含まれる交通費も課税対象となります。業務とは無関係な移動を会社が負担した場合、その金額は給与として扱われます。通関業務で港湾視察と称して観光を含めた場合、私的部分は課税されます。
マイカー通勤で非課税限度額を超える支給も課税対象です。片道20kmの通勤者(非課税限度額13,500円)に月2万円支給すると、6,500円が課税されます。
参考)【令和7年(2025年)11月改正】通勤手当の非課税限度額引…
2025年11月19日に所得税法施行令が改正され、マイカー通勤の非課税限度額が11年ぶりに引き上げられました。この改正は2025年4月に遡及適用されるため、年末調整での再計算が必要です。
距離区分ごとの非課税限度額は以下の通りです。片道10km以上15km未満は7,100円から7,300円に、15km以上25km未満は12,900円から13,500円に、25km以上35km未満は18,700円から19,700円に、それぞれ引き上げられました。
最も大きい引き上げ幅は片道55km以上で、31,600円から38,700円と7,100円増額されています。遠距離通勤者にとって大きなメリットです。ただし片道2km以上10km未満は4,200円で据え置きです。
非課税限度額は月額です。
公共交通機関利用の非課税限度額は月15万円で変更ありません。電車やバスの定期代が15万円以内なら全額非課税として処理できます。
複数の交通手段を組み合わせる場合、それぞれの非課税限度額を合算できます。自宅から最寄り駅までマイカー5km(非課税限度額4,200円)、駅から会社まで電車定期5万円(非課税限度額15万円)なら、合計54,200円まで非課税です。
所得税で課税対象となった交通費でも、消費税上は全額が課税仕入れとして扱われます。これは所得税と消費税で取扱いが異なる重要なポイントです。消費税法基本通達11-2-2により、通勤手当は課税仕入れに該当します。
参考)通勤手当の勘定科目まとめ|仕訳・消費税・非課税の考え方 - …
具体例として、片道20kmの通勤者に月2万円を支給した場合を考えます。所得税では非課税限度額13,500円を超える6,500円が課税対象ですが、消費税では2万円全額を課税仕入れ(10%)として処理します。
参考)交通費は非課税・課税?通勤手当のルールを分かりやすく解説
つまり課税対象です。
給与と一緒に通勤手当を支給する場合でも、消費税の処理上は区別が必要です。仕訳は「旅費交通費」として借方に計上し、消費税区分を「課税仕入10%」とします。
住居手当との違いにも注意が必要です。通勤手当は消費税の課税仕入れですが、住居手当は課税仕入れに該当しません。「手当」という名称が同じでも税務上の扱いは全く異なります。
参考)従業員に対する通勤手当 消費税の取扱いは?
通関業務の実費精算で発生した交通費も、所得税の非課税限度額を超えていれば所得税は課税されますが、消費税上は全額が課税仕入れです。経理処理では所得税と消費税の両方の観点から正確に判定する必要があります。
通勤費の実費精算制度を導入すると、非課税限度額内で適切に管理しやすくなります。一律支給は全額課税対象ですが、実費精算なら非課税枠を活用できます。通関業務で港湾地区への不定期な出勤がある場合、実費精算の方が合理的です。
参考)通勤手当を廃止して実費精算にした場合の給与計算
社内規程の整備が税務調査対策の基本です。旅費交通費が課税対象となるかどうかは社内規程による部分が大きいため、明確な基準を文書化しておく必要があります。通勤経路の申請と承認フローを明確にすることで、「最も経済的かつ合理的な経路」という税法上の要件を満たせます。
参考)交通費精算時にかかる税金について課税・非課税の見極め方とは …
深夜残業が多い通関業務では、タクシー利用のルールを明確化しましょう。公共交通機関が利用できない深夜のタクシー代は、業務遂行上の費用として非課税になります。具体的な利用条件(22時以降の退社など)を規程に定めると税務上の説明がしやすくなります。
参考)タクシーの利用料金
これは必須です。
マイカー通勤者の距離測定は税務調査で確認されやすいポイントです。Googleマップなどで測定した通勤距離を記録し、非課税限度額の適用根拠を明確にします。片道の距離が区分の境界線付近(例えば24km)の場合、測定方法の客観性が重要です。
新幹線通勤者にはグリーン車料金が課税対象になることを周知します。快適性は必要経費と認められないため、グリーン車を利用した場合は自己負担または給与課税される旨を雇用契約書や就業規則に明記しておくと、後のトラブルを防げます。
2025年4月からの非課税限度額改正に伴う遡及計算を正確に行います。4月から11月の8ヶ月間について、旧限度額で課税した分を新限度額で再計算し、年末調整で還付する必要があります。通関業務従事者の給与計算担当者は、この遡及処理を忘れずに実施しましょう。
国税庁の公式情報を定期的に確認することも重要です。所得税法施行令の改正情報は国税庁ウェブサイトで公開されています。
国税庁「出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い」では、通勤手当の課税・非課税の基本ルールと最新の非課税限度額が詳しく解説されています