CIF価格に送料を含めても関税込みではありません。
関税込み価格とは、DDP(Delivered Duty Paid:関税込持込渡し)条件で取引される場合の価格を指します。この条件では、輸出者が輸入国側で発生する通関費用や関税、さらには買主が指定する場所まで商品を運ぶ際の輸送費のすべてを負担します。インコタームズの11規則の中で、売主の負担がもっとも大きい条件です。
参考)DDP(関税込持込渡し)とは何か?貿易取引を成功に導く鍵を徹…
DDPでは、輸入者は商品を受け取るだけで追加の費用負担が発生しません。
つまり関税込み価格です。
一方、買主にとっては輸入手続きの手間がなく、予算管理がしやすいメリットがあります。ただし売主は輸入国の税制や通関実務に精通している必要があり、VATや関税の改定で予期せぬコスト負担が発生するリスクもあります。特に国の政策によって税制が突発的に変更されると、その影響を売主が全て受ける形になります。
参考)DDP取引を始める前に知るべきことは?インコタームズ実務ガイ…
通関業務従事者としては、DDP取引の見積もり時に輸入国の関税率やVAT率を正確に把握し、価格に反映させることが重要です。税率変更のタイミングを見逃すと、売主に大きな損失が出ます。
日本の通関実務では、輸入者が関税を納付するケースが一般的ですが、DDP条件の場合は輸出者が日本の税関に納付する形になるため、通関手続きの流れも通常と異なります。
参考)関税込持込渡し - 貿易用語集 - - 内外トランスライン…
CIF価格は「Cost(貨物代金)+Insurance(保険料)+Freight(運賃)」の頭文字をとったもので、輸入品が本船に積み込まれた港から輸入者の港までにかかる費用を含んだ価格を意味します。日本で輸入通関を行う際、関税や消費税の課税対象となる「課税価格」は、原則としてこのCIF価格に基づいて算定されます。
参考)https://abeoffice.or.jp/blog/cif
CIF価格と関税込み価格の最大の違いは、関税を誰が負担するかです。
結論は明確です。
CIF価格は税関での課税価格の計算基準になりますが、関税そのものは含まれていません。税関での輸入申告では、このCIF価格をもとに関税率をかけて関税額を計算し、関税を含めた金額に対して消費税が課されます。例えばCIF価格が100万円で関税率が15%の場合、関税額は15万円となり、消費税は(100万円+15万円)×10%=11.5万円となります。
参考)輸入税額の計算方法:日本
通関業務では、仕入れ価格だけでなく送料や保険料も含めたCIF価格を正確に申告する必要があります。送料や保険料を除いて申告してしまうと過少申告とみなされる可能性があります。税関は同じ商品を他の業者がいくらで申告しているか、過去の申告履歴、市場価格との比較などで価格の妥当性をチェックしています。
参考)海外からの輸入で「仕入れ価格」を申告すると過少申告になる?税…
過少申告が発覚すると関税追徴や商品差し止めのリスクに直結するため、CIF価格の構成要素を漏れなく確認することが通関業務の基本です。
DDU(Delivered Duty Unpaid)は仕向地持込関税抜き渡しと呼ばれ、DDP条件との違いは輸入地における関税の支払いです。DDP条件では輸入地における関税も輸出者が支払いますが、DDU条件では輸入者が支払いの義務を負います。
参考)インコタームズのDDP・DDU・DAPの違いについて解説!輸…
DDUは関税なし、DDPは関税ありです。
ただし、DDUはインコタームズ2000で使われていた条件で、インコタームズ2010以降はDAP(Delivered at Place)に置き換えられています。DAPでは、指定された仕向地までの輸送費用とリスクを売主が負担しますが、関税や輸入通関費用は買主負担となります。
参考)https://www.digima-japan.com/knowhow/world/17424.php
DPU(Delivered at Place Unloaded)も似た条件ですが、荷降ろし作業までの責任を売主が負う点が特徴です。DDPでは売主が関税や税金の支払いを負担しますが、DPUでは売主がそれらの費用を負担することはありません。
通関業務従事者は、契約書に記載されたインコタームズの条件を正確に理解し、誰が関税を負担するのかを明確にする必要があります。条件の解釈を誤ると、輸入者・輸出者間でトラブルになります。
また、DDPとDDUを混同すると、輸入時に想定外の関税支払いが発生し、輸入者が困惑するケースがあります。見積もり段階で条件を明確にすることが重要です。
関税額は「課税価格×関税率」の計算式で求められます。商用目的の輸入の場合、課税価格は原則として「商品の価格+送料+保険料」の合計、つまりCIF価格が基準になります。
参考)関税とは?仕組み・計算方法から免税範囲までわかりやすく解説
課税価格が基本です。
関税を計算する際は、CIF価格に関税率をかけて関税額を算出し、100円未満を切り捨てます。例えばCIF価格が105,000円で関税率が15%の場合、105,000円×15%=15,750円となり、切り捨てて関税額は15,700円になります。
参考)輸入消費税とは?関税との違いや計算方法、免税・非課税措置も解…
その後、輸入消費税はCIF価格に関税額を加えた金額に対して課税されます。先ほどの例では(105,000円+15,700円)×10%=12,070円が消費税となります。このように、CIF価格が高くなれば、関税・消費税の納付額も増えるため、価格の構成を事前にしっかり確認しておくことが大切です。
DDP取引で輸出者が販売価格を設定する際は、この関税額と消費税額を見込んで価格に上乗せする必要があります。関税分をカバーできるよう調整することが可能です。
参考)米国向け取引におけるDDP発送必須化について
通関業務従事者は、輸出者に対して輸入国の関税率や消費税率を正確に伝え、適切な販売価格設定をサポートする役割が求められます。関税率は商品分類(HSコード)によって異なるため、事前に税関のデータベースで確認することが必須です。
個人輸入では、課税価格が16,666円以下の場合、関税と消費税が免除されます。
ただし16,666円ルールです。
参考)個人輸入の関税を徹底解説!仕組みから計算方法、節約のコツまで…
ただし、酒類・タバコ・香水などの嗜好品は価格に関係なく関税が発生します。また、革製のバッグ、パンスト・タイツ、手袋・履物、スキー靴、ニット製衣類なども、課税価格が1万円以下であっても免税にはなりません。
商用輸入の場合は、課税価格の合計額が1万円以下の物品の輸入について、関税及び消費税が免税されます。ただし、消費税以外のその他の内国消費税(酒税、たばこ税等)が課せられるものは免税対象外です。
通関業務では、免税範囲を正確に把握し、申告価格を適切に設定することが重要です。同じタイミングで複数の商品を注文すると税関で合算される可能性があるため、購入日や発送日をずらす工夫も必要です。
DDP取引で輸出者が販売価格を設定する際、輸入国の免税範囲を考慮して価格を調整することで、買主の負担を軽減できます。ただし、免税を狙って故意に価格を分割する行為は、税関から問題視される可能性があるため注意が必要です。
税関公式サイト:課税価格の合計額が1万円以下の物品の免税適用について
税関での価格申告ミスは関税追徴や商品差し止めなどのリスクに直結します。仮に仕入れ価格が正しくても、送料や保険料を除いて申告してしまうと過少申告とみなされる可能性があります。
過少申告は厳禁です。
税関は同じ商品を他の業者がいくらで申告しているか照合し、過去の申告履歴や市場価格・通関データベースとの比較を行い、必要に応じて追加書類の提出を求めます。契約書、請求書、送金証明などの書類を準備しておくことが重要です。
DDP取引では、輸出者が申告価格を決定するため、通関業務従事者は輸出者に対してCIF価格の構成要素を正確に説明する必要があります。特にインボイス価格と実際の課税価格が異なるケースでは、追加費用の発生を事前に伝えることが求められます。
参考)『課税価格=輸入申告価格=(CIF価格)』 : 貿易ともだち
また、DDP取引で販売価格に関税や送料を含めた場合、ebayなどのプラットフォームでは取引総額に対して手数料が課されるため、手数料計算にも注意が必要です。申告価格を商品価格のみにするか、送料や保険料を含めるかについても、プラットフォームのルールを確認する必要があります。
参考)DDPの場合の申告課税金額について - 出品 - eSCJ …
通関業務従事者は、価格申告の正確性を確保するため、輸出者・輸入者双方と密にコミュニケーションを取り、書類の不備や矛盾がないかをチェックすることが重要です。過少申告が発覚すると、追徴課税だけでなく、今後の通関審査が厳しくなるリスクもあります。
参考記事:海外からの輸入で「仕入れ価格」を申告すると過少申告になる理由