本船 意味|通関業務で知るべき定義と使い分け

通関業務で頻繁に使われる「本船」という言葉には、複数の意味があることをご存知ですか?書類上の定義、現場での使われ方、さらには本船扱いという特殊な通関手続きまで、実務に直結する情報を詳しく解説します。あなたの理解は本当に正しいでしょうか?

本船 意味と通関業務での使い分け

本船扱いで輸入申告したのに全量が別の港で揚がると承認が無効になります。


この記事の3ポイント
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本船の3つの主要な意味

貿易書類上の貨物輸送船、自船を指す一人称、大型船を指す二人称・三人称の使い分けを解説

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本船扱いの要件と例外

保税地域を経由せず船上で通関できる本船扱いの条件、承認が不要になる特定輸出申告の仕組み

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輸入時の重要な制約

本船扱いで輸入許可を得た貨物は、承認を受けた税関の管轄港で全量船卸しする必要がある点に注意

本船の基本的な3つの意味


通関業務で使われる「本船」という言葉には、状況によって異なる3つの意味があります。


第一に、貿易書類上では「貨物を輸送する船舶」を指します。船荷証券(B/L)や貿易関連書類では「Vessel Name(本船名)」として記載され、輸出入貨物を実際に運ぶ船のことです。


つまり書類上の定義ですね。



参考)Vessel

第二に、自分が乗務している船を指す一人称としての使い方があります。国際VHFで「本船、このまま神戸港に向かいます」と通信する場合がこれに該当します。


船員の視点からの呼び方です。



参考)https://ameblo.jp/kambaratugmarine/entry-12791803791.html


第三に、港湾や造船所では「停泊中の大型船」や「何かの行為の対象となる船」を指します。「本船の入港が1時間遅れます」や「本船受取り」という表現がこれに当たります。通関業務では主にこの第一と第三の意味で使われることが多いですね。


参考)本船(ホンセン)とは? 意味や使い方 - コトバンク


本船とFOB条件における船側渡しの関係

貿易条件のFOB(Free On Board)は「本船渡し」または「本船積み込み渡し」と呼ばれ、本船という言葉と密接に関係しています。

FOB条件では、貨物が輸出港で指定された船に積み込まれた時点で、費用負担とリスクが売主から買主へ移転します。船に積み込むまでの輸出通関費用や運搬費用は売主が負担し、船積み後の運賃・保険料・輸入通関費用は買主が負担するのが原則です。


参考)https://www.digima-japan.com/knowhow/world/d-globalbusiness-00031.php


この取引条件は海上輸送および内水路輸送でのみ使用され、コンテナ輸送や複合輸送には適していません。買主は輸送手段の選択や運賃交渉の柔軟性を得られる一方、船積み後のリスクをすべて負うことになります。FOB条件を理解することで、本船という言葉が費用とリスクの分岐点を示す重要な概念であることがわかりますね。

本船扱いという通関手続きの特殊性

本船扱いとは、貨物を保税地域に搬入せず、船に積んだまま輸出入申告を行い許可を得る特殊な通関手続きです。


参考)https://tsukanshi.mhjcom.jp/1point/9951.html


通常の通関では、貨物を指定保税地域に搬入してから税関に申告する必要があります。しかし本船扱いでは、生産者の工場から保税地域を経由せず、直接外国貿易船に積んだ状態で申告できます。これは貨物の形状や性質により保税地域への搬入がふさわしくない場合に認められます。


この制度を利用するには、原則として税関長の承認を受ける必要があります。ただし、特定輸出申告を行う場合は本船扱いの承認が不要です。特定輸出者という優良事業者として認定されると、保税地域への搬入も本船扱いの承認手続きも省略できるということですね。


参考)https://ameblo.jp/rlvvisole/entry-12354964080.html


艀(はしけ)に積んだまま通関する「艀中扱い」も、本船扱いとほぼ同じ要件で認められています。

本船扱い輸入申告の管轄港と全量船卸し要件

本船扱いで輸入申告する場合、外国貿易船の係留場所を所轄する税関長に対して申告を行います。


参考)https://tsukanshi.mhjcom.jp/1point/7542.html

重要なのは、輸入貨物について本船扱いを認めた税関の管轄港で全量が船卸しされることが原則として求められる点です。例えば横浜税関で本船扱いの承認を受けて輸入許可を得た貨物は、横浜港で全量を揚げる必要があります。一部を神戸港で揚げるような場合、承認要件を満たさないことになりますね。

この制約は、税関が貨物の所在を確実に把握し、輸入許可後の追跡を可能にするために設けられています。承認を受けた港以外で貨物を揚げると、税関の管轄外になり監視が困難になるためです。


本船扱いを申請する際は、船卸し港と税関管轄を事前に確認し、全量を同一港で揚げる計画を立てることが必須です。どの港で揚げるかが確定していない貨物には、本船扱いは適用できません。


本船扱いのメリットと通関業務への影響

本船扱いを利用すると、保税地域への搬入・搬出にかかる時間とコストを削減できます。


通常の通関では、貨物をいったん保税地域に搬入し、検査を受け、許可後に再び搬出する必要があります。この一連の流れには荷役作業、保管料、搬出入の手間が発生します。本船扱いではこれらの工程を省略し、船上で完結するため、特に大型貨物や重量物では大幅な効率化につながりますね。


参考)国際輸送における輸入申告と関税のつながりについて詳しく解説

ただし、本船扱いには制約もあります。税関検査が必要な場合、検査官が船上に赴く必要があり、検査環境が限定されます。また、前述の通り輸入時には全量船卸し要件があるため、複数港での荷卸しを予定する貨物には適用できません。

特定輸出者制度と組み合わせることで、本船扱いの承認手続きも不要になり、さらなる簡素化が実現します。AEO制度(Authorized Economic Operator)の一環として、優良事業者には大幅な手続き簡素化が認められているということです。


通関業務従事者としては、貨物の特性、輸送スケジュール、荷卸し港の計画を総合的に判断し、本船扱いの適用可否を見極める能力が求められます。


税関の関税法基本通達では、本船扱いとふ中扱いの詳細な要件が定められています
JETROのサイトでは、保税地域に搬入が難しい貨物の通関手続きについて解説されています




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