遅延リスクを甘く見ると、通関前に追加費用が発生します。
2026年現在、海上輸送の遅延が通関業務に深刻な影響を与えています。主要港湾における運航スケジュールの遅延、欠航や抜港、滞貨などが常態化しており、改善の見通しが立たない状況です。
参考)国際物流の混乱と企業の対応状況
コンテナ船のスケジュール順守率は2025年5月以降、60%台で推移しています。つまり4割の船が遅れています。2025年12月の順守率は62.8%で、前年比では9.0ポイント改善したものの、依然として低い水準にあります。
参考)25年5月以降は60%台で推移コンテナ船、スケジュール順守率…
この遅延の主な原因として、港湾側の受け入れ体制が貿易量の伸びに追いついていない点が挙げられます。コンテナ船隊は年率5〜6%で増加する見通しですが、港湾の処理能力の拡張は年率2〜3%程度にとどまると予測されています。需給ギャップが解消されない限り、沖待ち遅延は2026年以降も国際物流における構造的な課題として残ります。
参考)https://x.com/AkiyoshiKawash1/status/2005988852507501026
港湾混雑は輸送の所要時間を3~30日延長させる深刻な問題です。繁忙期や深刻な混雑時にはさらに長くなる可能性があります。
参考)ニュース - 港湾混雑が船積み時間に与える影響と輸入業者の対…
先進国の港湾では平均沖待ち時間が約6.4時間、発展途上国では約10.9時間に達しています。ロサンゼルスやシンガポールなどの人気港では、待機時間が7日から15日以上になることもあり、輸送サイクル全体に直接的な影響を及ぼします。これは大変な長さです。
アジア各港でも混雑が発生しています。上海、釜山、シンガポールなどで1日〜3日くらいの沖待ちがあり、その沖待ちによって積み下ろしが遅れている状態です。北米西岸の混雑も続いており、LA港の平均待機日数が21.5日に達したケースも報告されています。
参考)アジアでも混雑発生!現在の海上輸送 本船遅延について状況を説…
世界各地のコンテナターミナルにおける沖待ち時間は、概ね8~19時間とされていますが、バース占有率の上昇に従い急激に増加する傾向があります。ロッテルダムの一部ターミナルでは沖待ち時間が24.6時間に達したデータもあります。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejoe/77/2/77_I_157/_pdf
通関業務従事者にとって、海上輸送の遅延は業務スケジュール全体に影響します。貨物の到着遅れにより、通関作業の開始が遅れ、結果として納期遅延につながります。
通関作業の遅延は様々な問題を引き起こします。具体的には以下の影響が考えられます。
遅延が発生した場合、最低でも+5営業日を見込んだスケジュール設計が推奨されています。納期リスクを契約書で明確化し、不可抗力条項などを設けることも重要です。
参考)国際輸送のトラブル事例と対処法|遅延・破損・通関トラブルへの…
輸入業務で貨物の到着が遅延しそうな場合、フォワーダーや配送業者へ手続きに必要な情報を提供し、早く引き取りたい旨を事前に伝えておくと良いでしょう。日本には「予備審査制度」があり、貨物が到着する前に税関の審査、検査の要否が受けられます。この制度を活用することも一つの方法です。
参考)貿易輸送で「台風による遅延」が発生したら?遅延発生時に貿易事…
海上輸送の遅延は、コスト面でも通関業務に大きな影響を与えています。路線によってはコンテナ輸送価格が平常の10倍以上になっており、プレミアム料金での優先予約や、一部、法外な価格での売り込みに応じざるを得ない事例も散見されています。
参考)コンテナ輸送費が10倍になった!?急騰する海運コストによる遅…
輸送費高騰の主な要因は以下の通りです。
紅海〜スエズ運河経由のルートから喜望峰経由の迂回での遅延・混乱が各所へ波及し、スケジュール順守率に影響を与えています。こうした状況が輸送ニーズと本船スペース供給との間の需給バランスを崩す原因となり、運賃上昇の要因の一つに繋がっています。
参考)2025年の海運市況をNVOCC担当者が語る - N-avi…
2026年に入ると、前倒し出荷の反動で需要は落ち着く見通しですが、新造船の引き渡しは続くため、船の数は確実に増えます。通常なら余るはずの船腹が地政学リスクによって隠れていた状態が、一気に崩れる可能性があります。調査会社Drewryによると、コンテナ船社全体で100億ドル規模の赤字に転落する可能性があるとされています。
参考)2026年 コンテナ船は一気に厳しくなりそうです - HPS…
通関業務従事者が遅延リスクを最小限に抑えるための対策を、具体的な場面ごとに整理します。
天候不順による遅延への対処
台風が発生すると、ポートクローズ(港の閉鎖)が起こり、入出港禁止となります。台風の予測進路から離れた空港を選択して航空輸送に変更したり、海上輸送するはずだった貨物の一部だけを航空輸送に切り替えるといった手段があります。天候不順を考慮したうえで、余裕のあるスケジュール調整をしておくのも対策方法です。
参考)海上輸送が遅れる原因と対策を徹底解説|世界の状況と日本におけ…
フォワーダーとの連携強化
信頼できる運送会社と協力し、正確な輸送ルートと時間計画を確保することで、輸送の遅延による通関の遅れを回避できます。スケジュール管理ツールや航路追跡(トラッキング)サービスの活用も有効です。遅延がひどい場合でも、どのフォワーダーを使っても状況は同じであるため、適切な情報共有と迅速な対応が鍵となります。
参考)https://hongocean.com/ja/causes-of-customs-clearance-delays-how-to-solve-them/
代替輸送手段の確保
輸送途中でのトラブル発生時には、迅速な情報共有が鍵を握ります。フォワーダーや通関業者と緊密に連携し、状況に応じた代替輸送手段の手配がスムーズにできるよう、事前に緊急代替輸送手段を確保しておくことが重要です。航空便や別ルートへの変更オプションを常に準備しておくと良いでしょう。
参考)運航途中での事件や事故による輸送の遅延とその対策
書類の正確性とHSコードの適切な管理
誤ったHSコードを使用すると、輸出入申告手続きに遅れが生じる可能性があります。税関担当者からコードの確認を求められ、通関の遅延または貨物の通関拒否につながります。企業は重点監視リスト(ハイリスク企業リスト)に登録される可能性があり、今後の輸出入において税関審査がより厳格化され、通関時間の延長や検査頻度の増加が避けられません。これは業務効率や納期遵守に長期的な悪影響を与えます。
参考)HS コード(関税分類番号)とは?輸出入で正しく使う重要性を…
通関遅延保険の検討
通関遅延に関する保険や補償制度は、リスク管理において重要です。通関遅延のリスクを完全に排除することは難しいですが、適切な準備と迅速な対応により、その影響を最小限に抑えることができます。保管料や緊急輸送費用などの予期せぬ追加費用に備えておくことが大切です。