FOB価格に運賃を加算すると申告違反です。
日本の輸出通関では、契約条件がCIFやその他の建値であっても、税関への申告価格は必ずFOB(Free on Board)価格で記載することがルールです。
これは輸出実績集計の統一性を保つためです。
外貨獲得の正確な把握と統計データの比較可能性を確保するため、すべての輸出取引を同じ基準で評価する必要があります。各企業が異なる建値(CIF、CFR、EXWなど)で申告すると、国全体の輸出額が正しく算出できません。
FOB価格は輸出港で本船に積み込まれた時点までの価値を示すため、輸出国側のコストを正確に反映します。海上運賃や保険料は輸入者側の負担または国際輸送の変動要素であり、輸出実績の本質的な価値ではありません。
これがFOB建て申告の原則です。
参考)課税価格の考え方 2
税関は輸出申告書に記載されたFOB価格を基準に、輸出統計や外為管理を行います。実際の契約がCIF条件であっても、運賃と保険料を除外したFOB金額に換算して申告する義務があります。
FOB価格には商品代金だけでなく、船積みまでに発生する一切の費用が含まれます。具体的には、輸出するための輸送費、梱包費、通関費用、通信費などです。
参考)貨物を外国へ輸出する際の手続き「輸出通関」を正しく理解しよう…
つまり商品が工場を出てから輸出港の本船に積み込まれるまでのコストがFOB価格の範囲ということですね。輸出者の倉庫から輸出港までの国内運送料、港湾での荷役費用、輸出通関に必要な書類作成費、検査費用なども含まれます。
参考)https://www.a-ha.io/questions/441573d064c88250be5ea2b7427a0c09
一方で、本船に積み込まれた後の海上運賃や航空運賃、海上保険料はFOB価格に含めません。これらは輸入者負担または別途計算される項目です。CIF条件で契約した場合でも、輸出申告では運賃と保険料を差し引いたFOB金額を記載します。
参考)輸出する貨物の申告価格(インボイス価格)が不明な時はどうすれ…
国内の輸送費は東京から横浜港まで3万円、梱包費が1万円などと具体的に積み上げて計算します。製造原価に通常の利潤と一般管理費を加え、船積みまでの諸経費を合算した額がFOB価格です。
FOB価格の計算は、商品価格+積載費用+通関費用+輸出関連費用という式で行います。例えば商品価格が10万円、国内運送費が5千円、通関費用が1万円、その他輸出経費が1.5万円なら、FOB価格は12万円です。
計算時に最も注意すべきは、運賃と保険料の扱いです。インボイスがCIF建てやCFR建ての場合、そこから運賃と保険料を引く必要があります。税関への提示が求められることもあるため、運送会社や保険会社の領収書を準備しておくと安心ですね。
価格が確定していない貨物の場合は、製造原価に通常の利潤と一般管理費を加えた価格、または過去3ヶ月以内の同種貨物の市況価格を暫定価格として申告できます。輸出後に正式価格が決まったら、その時点で調整します。
為替レートの変動も考慮が必要です。外貨建て契約の場合、申告時点の適正なレートで円換算します。FOB価格に含めるべき費用を漏らさず、含めてはいけない費用を誤って加算しないことが原則です。
申告価格に誤りがあると、修正申告や税関による更正の対象になります。輸入申告の場合、過小申告は追徴課税や延滞税が発生し、アンダーバリューとして脱税とみなされる重大なペナルティのリスクもあります。
輸出申告でも価格の不正確さは統計の歪みや外為法違反につながる可能性があります。実際の契約価格とFOB価格の換算を誤ると、輸出実績が正しく集計されず、企業の信用にも影響します。
誤りに気づいた場合は、速やかに修正申告を行うことで、ペナルティを回避または軽減できる可能性があります。インボイスや契約書などの証拠資料を基に、正しい価格を再計算して税関に申告します。
通常要すると認められる運賃や保険料を使った場合でも、実際の額が判明した後は修正が必要で、延滞税や過少申告加算税の免除対象にはなりません。どういうことかというと、やむを得ない理由とは認められないということですね。
FOB価格の正確な管理には、費用項目ごとの明細を記録することが基本です。商品代金、国内運送費、梱包費、通関費用、港湾諸費用、銀行手数料などを個別に把握します。
エクセルやシステムで原価計算テンプレートを作成しておくと、計算ミスを防げます。輸出するたびに同じ項目を確認できるため、運賃や保険料を誤って加算するリスクが減ります。
参考)FOB?EXW?輸出時の価格設定と価格表作成【テンプレ付き】…
CIF条件で契約する場合は、契約時点でFOB価格を別途算出しておくと申告がスムーズです。見積段階から輸出港までのコストと、その後の国際輸送コストを分けて管理する習慣をつけましょう。
参考)FOB(Free On Board)とは?CIF(Cost …
関税法や通関実務の最新情報を定期的にチェックすることも重要です。税関のウェブサイトや通達を確認し、申告ルールの変更に対応します。不明な点があれば、通関業者や税関に早めに相談すれば大丈夫です。
参考)https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/kanzeihyouka/hyokajirei/jireishu.htm
税関の課税価格に関する質疑応答事例(具体的な加算・控除の判断基準)
JETROの輸出価格算定方法の解説(EXWやFOB価格の設定方法)