該非判定書を社内で作成していたら、実は輸出許可が必要だった
2025年3月28日、経済産業省は外国為替令及び輸出貿易管理令の改正を公布しました。この改正は国際輸出管理レジーム(ワッセナー・アレンジメント等)における合意を国内で実施するためのものです。
施行日は2025年5月28日です。
参考)https://wuwr.pl/wlzp/article/download/15911/14228
改正の主な目的は、重要・新興技術の軍事転用防止にあります。具体的には、関連する特定の貨物及び技術を輸出管理の対象に追加し、技術的な仕様の見直しを行っています。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law_document/seirei/20250403_gaiyo.pdf
通関業務従事者にとって重要なのは、これまで非該当と判定していた貨物が新たに規制対象となる可能性があることです。
該非判定のやり直しが必要です。
経済産業省の改正概要資料(PDF)には、具体的な品目リストと仕様変更の詳細が記載されています
輸出令別表第1に7つの品目が新たに追加または改正されました。
代表的なものは以下の通りです。
5の項(19):先端材料
参考)外為令と輸出貿易管理令の一部改正で何が変わったか(2025年…
6の項(10):金属加工機械
7の項(15の3、24、25):電子部品関連
どういうことでしょうか?
これらの品目は半導体製造や先端材料加工に使われるもので、軍事転用のリスクが高いと判断されました。通関業務では、これらの品目を扱う企業からの輸出申告に対し、該非判定書の提出を求める必要があります。
また、外為令別表では電波等の吸収材に係る規定が改正され、セラミックをコーティングする技術が新たに追加されました。技術提供(図面や仕様書の送付など)も規制対象となります。
2025年4月9日に補完的輸出規制(キャッチオール規制)の見直しに関する政令・省令が公布され、10月9日から施行されました。この改正は産業構造審議会の中間報告を受けたものです。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/anpo/apply-01/20251009_catchminaoshi/20251009catchall.html
従来、キャッチオール規制は特定の国(グループA以外)への輸出に適用されていましたが、改正によりグループA国向けでも通知制度が導入されました。これは懸念国による迂回調達を防止するための措置です。
つまり信頼できる同盟国への輸出でも、用途や需要者によっては経済産業省への通知が必要になります。
通関業務従事者は、仕向地だけでなく「最終需要者」や「用途」の確認をより厳密に行う必要があります。輸出者から提出される書類に、エンドユーザーの情報や使用目的が明記されているかチェックすることが重要です。
経済産業省のキャッチオール規制ページでは、規制範囲や対象品目の詳細が確認できます
外為法違反には厳しい刑事罰が科せられます。無許可で規制対象の貨物を輸出した場合、10年以下の懲役または個人は3000万円以下、法人は10億円以下の罰金が科される可能性があります。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/anpo/seminer/shiryo/anpo_sankou_2022.pdf
罰金額は輸出価格の5倍以下のスライド制です。さらに、3年以内の貨物輸出や技術提供の禁止という行政制裁も受けます。
厳しいところですね。
ただし、経済産業省は「ミスにより違法輸出等となってしまった場合、ましてや自主申告してきた場合にはこれらが科せられることは考えにくい」としています。
悪質な事例が処罰の対象です。
通関業務従事者は、輸出者から提出された該非判定書や用途誓約書の内容を形式的にチェックするだけでなく、不自然な点がないか注意を払う必要があります。例えば、民生用と申告されているのに軍事関連企業への輸出である場合などは、追加確認が必要です。
リスト規制対象の貨物でも、一定の条件を満たせば輸出許可が不要になる特例があります。通関業務で頻繁に利用されるのが少額特例と部分品特例です。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/anpo/apply-01/exception.html
少額特例の条件
| 対象品目 | 金額 | 仕向地の制限 |
|---|---|---|
| 輸出令5~13項、15項の貨物 | 5万円以下 | イラン、イラク、北朝鮮以外 |
| 同上 | 100万円以下 | 同上 |
ただし、用途確認の結果、大量破壊兵器等の開発・製造等に用いられるおそれがある場合や、インフォーム通知を受けた貨物には適用できません。
部分品特例は、規制対象の貨物が他の貨物に組み込まれ、その主要な要素となっていない場合に適用されます。判断基準は、組み込まれた貨物の価額が組込先の貨物価額の10%を超えないことです。
これは使えそうです。
例えば、高性能な電子部品(規制対象)を家電製品に組み込んで輸出する場合、その部品の価格が製品全体の10%以下なら、部分品特例が適用され輸出許可が不要になる可能性があります。ただし、電子部品が半田付けされているなど「分離しがたい」状態であることが条件です。
通関業務では、輸出者がこれらの特例を適切に適用しているか確認することが重要です。金額の積算方法や組込状態を書類で確認し、必要に応じて輸出者に追加資料の提出を求めましょう。
該非判定は輸出しようとする貨物や技術が、リスト規制やキャッチオール規制に該当するかを判断する作業です。2025年の改正により、該非判定の実務で注意すべき点が増えました。
参考)該非判定|安全保障貿易管理上の輸出許可を取得する方法 |東京…
まず、リスト規制の対象外であっても、キャッチオール規制に該当するか確認が必須です。これまで非該当と判定していた貨物でも、用途や需要者によっては規制対象になります。
該非判定で確認すべき項目
どの部分の参考リンクかですが、東京商工会議所の該非判定ガイドには、具体的な判断手順と注意点が詳しく解説されています
2025年10月9日施行の改正では、客観要件確認シートの様式が変更されました。経済産業省のウェブサイトから最新版をダウンロードし、輸出者に提供することが必要です。
該非判定が原則です。
社内で該非判定を行う場合、担当者の知識不足により誤った判定をするリスクがあります。特に新規追加品目や技術的仕様が複雑な貨物については、経済産業省や専門機関(CISTEC等)への相談を検討しましょう。誤った該非判定は外為法違反につながり、重大なペナルティの対象となります。