意匠権には更新制度がありません。
現行法では、意匠権の存続期間は「意匠登録出願の日から25年」と定められています。
参考)意匠権の存続期間は何年?更新・延長の有無と確認方法を弁理士が…
令和2年(2020年)4月1日以降に出願された意匠に適用されるルールです。登録日が2026年1月1日であっても、満了日は出願日を起点に計算します。
登録日ではなく出願日が起点ということですね。
この制度変更には理由があります。特許法では出願日から20年間としており、意匠法が登録日を起算日としていたため知財管理が煩雑だったのです。企業特有のデザインコンセプトの開発を支援し、ブランド価値の向上を促進する観点から、より長い意匠権の存続期間を設定することが望ましいと判断されました。
参考)意匠権の存続期間について
国際的にも、ヘーグ協定ジュネーブ改正協定に加盟する多くの国で最長25年間の意匠権の存続期間が認められていることが、25年への延長を後押ししました。
参考)https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/kaisetu/2019/document/2019-03kaisetsu/2019-03kaisetsu-02-08.pdf
改正前の制度では、審査に要する期間を考慮すると、改正後は改正前より4年以上は存続期間が長くなりました。
参考)意匠権の存続期間は?弁理士が解説!
意匠権には、商標権のような「更新」や、特許権のような「延長登録」の制度は一切ありません。
25年という存続期間は一度きりで、25年を超えて意匠権を存続させることは法律上不可能です。更新できないからこそ、いつ権利が切れるのか事前に把握しておくことが重要になります。
25年で終わりです。
他の知的財産権と比較すると、特許権は出願日から20年が原則ですが、医薬品や農薬など一部の発明では延長登録制度があります。商標権は登録日から10年ですが、10年ごとに何度でも更新可能です。
意匠権だけは更新も延長もできない点が特徴的です。
特許庁の「第8章 意匠権の存続期間の変更」では、法改正の詳細な経緯と趣旨が説明されています
意匠権の存続期間は、出願時期によって異なるルールが適用されます。
参考)令和元年意匠法改正のポイントと主な実務への影響 - BUSI…
つまり三つの期間ルールが存在します。
通関業務に携わる場合、輸入差止申立の対象となる意匠権がどの時期の出願かを確認する必要があります。平成18年改正により、それまでの15年間から20年間に延長され、令和元年改正により起算日を変更するとともに期間は25年間と延長されました。
古い出願の意匠権については、すでに存続期間が満了している可能性が高いため、権利の有効性を慎重にチェックすることが求められます。
意匠権の存続期間中は、毎年(もしくは数年分まとめて)年金(登録料)を納付する必要があります。
参考)【意匠】権利存続のための登録料(年金)の支払いに関する通知等…
年金を支払わなかった場合、その時点で権利は途中で消滅してしまいます。審査官からの登録査定の謄本の送達を受けた場合には、その送達された日から30日以内に登録料(第1年分)を納付します。
参考)意匠第14回:意匠権の維持と更新管理
特許庁から納付案内はありません。
第2年以降の各年分の登録料は、各納付年分の前年以前に納付します。存続の要否は権利者にゆだねられますので、特許庁から納付期限日の通知等は行いません。
参考)意匠登録料納付書について教えてください。
納付が遅れた場合、6ヶ月間の猶予期間はありますが、その猶予期間内に登録料を納付しない場合、意匠権は納付期限に遡って消滅したものとみなされます。
参考)意匠権の存続期間はどれくらいありますか?
権利者が年金納付を忘れると、通関業務で有効と思っていた輸入差止申立が実は無効になっているケースが発生します。輸入者側としては、意匠権の存続状況を特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で確認することで、不当な差止めを回避できます。
INPITのFAQページでは、意匠権の登録料(年金)支払いに関する詳細な手続きが解説されています
通関業務では、知的財産侵害物品の輸入差止申立に対応する際、意匠権の有効期間確認が必須です。
参考)https://www.customs.go.jp/mizugiwa_search/chiteki/index_5.htm
税関は、意匠権(意匠権についての専用実施権を含む)に関する輸入差止申立を受理していますが、申立時点で権利が有効である必要があります。出願日から25年を経過した意匠権や、年金不納により消滅した意匠権による申立は無効です。
期限切れ申立は受理されません。
実務上、輸入者が通関時にトラブルに遭遇した場合、まず意匠権の存続期間と年金納付状況を確認することで、不当な差止めかどうかを判断できます。特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)では、意匠権の登録状態や年金納付状況を無料で検索できます。
関税法基本通達では、実用新案権、意匠権若しくは保護対象営業秘密に係るものであるとき、または疑義貨物が過去に認定手続や判決等において侵害物品とされた物品と同一と認められるときに、税関が対応すると定めています。
通関士や貿易実務担当者は、意匠権の有効期限を把握することで、スムーズな通関業務と知財リスク管理を両立できます。特に、令和2年4月1日前後の出願では起算日が異なるため、正確な期限計算が求められます。
税関の「知的財産の輸入差止申立情報:意匠権」ページでは、申立制度の概要が確認できます