実は修正が遅れると増加税額の10%の過少申告加算税が発生します。
納税申告とは、輸入貨物に課される関税や消費税などの税額を、輸入者自身が計算して税関に申告し、納税義務を確定させる手続きのことです。
通関業務では、輸入申告と納税申告は同時に行われます。つまり輸入申告書を提出する際に、課税標準や税額も併せて記載するわけですね。
この仕組みを「申告納税方式」と呼びます。
申告納税方式が採用されている理由は、税関の業務効率化と輸入者の自己責任による適正な税額確定にあります。輸入者が貨物の品名、数量、価格、HSコードなどを正確に申告し、それに基づいて関税率を適用して税額を算出します。
参考)関税額の確定方式の一つ「申告納税方式」を詳しく解説! - 通…
この制度では、輸入者の申告内容が正しいことが前提です。誤った申告は後述する修正手続きや加算税のリスクにつながります。
輸入申告は貨物を日本国内に引き取るための許可を得る手続きであり、納税申告は税額を確定させる手続きです。両者は目的が異なりますが、実務上は一体として処理されます。
具体的には、輸入(納税)申告書(C-5020またはC-5025-1)に、貨物情報と課税情報の両方を記載して提出します。この一枚の書類で、輸入許可と納税義務の確定を同時に行うということですね。
参考)https://www.customs.go.jp/kaisei/zeikantsutatsu/kihon/TU-S47k0100-s02-02.pdf
ただし特例輸入者の場合は例外です。特例輸入者は、まず輸入申告書で貨物を引き取り、後日別途「特例申告書」で納税申告を行います。この場合、輸入許可を受けた日の属する月の翌月末日が納税申告の期限となります。
通常の輸入申告では貨物の引き取り前に納税が必要ですが、特例申告では引き取り後にまとめて納税できるため、資金繰りの面でメリットがあります。
申告納税方式とは、関税法第7条に定められた、輸入者の申告によって納税額が確定する制度です。この方式では、輸入者が税関長に対して課税価格やその他必要事項を明らかにして関税の納付に関する申告を行います。
参考)申告納税方式と賦課課税方式について|記事一覧|貿易通関・税務…
申告納税方式が基本です。
対象となる貨物のほとんどがこの方式で処理されます。一方、課税価格が20万円以下の貨物など一定の条件下では、税関が税額を決定する「賦課課税方式」が適用される場合もあります。
申告納税方式のポイントは、税額の確定権限が輸入者側にあることです。税関は申告内容を審査・検査しますが、基本的には輸入者の申告を尊重します。
この制度により、輸入者は自ら正確な情報を収集し、適切なHSコードを選定し、税額を計算する責任を負います。通関業者が代理人として申告する場合も、最終的な納税義務は輸入者本人にあります。
納税申告の実務的な流れは以下の通りです。まず外国貨物を保税地域に搬入した後、輸入者(または通関業者)が必要書類を添付して輸入(納税)申告書を税関に提出します。
申告書には品名、数量、価格、原産国、HSコード、課税標準、税額などを記載します。税関は提出された申告書の内容を審査し、必要に応じて貨物の検査を実施します。
審査・検査で問題がなければ、輸入者は関税・消費税等を納付します。納付方法は、リアルタイム口座振替(リアル口)、納付書による納付、担保提供による延納などがあります。
納付が確認されると税関から輸入許可が下り、貨物を保税地域から引き取れるようになります。この一連の流れを「申告→審査→検査→納税→許可」と呼びます。
通常申告の場合、これらの手続きは貨物の引き取り前にすべて完了させる必要があります。
通常申告と特例申告の最大の違いは、納税のタイミングです。通常申告では輸入申告と納税申告が同時に行われますが、特例申告では引き取りと納税が分離されます。
特例申告を利用できるのは、AEO制度の特例輸入者として承認を受けた事業者のみです。特例輸入者は、輸入申告書で貨物を引き取った後、翌月末日までに特例申告書をもって納税申告を行えます。
特例申告書には、関税の軽減・免除を受ける場合、その旨と法令の条項を記載しなければなりません。これは関税法施行令第4条の2第1項第6号に規定されています。
つまり貨物を先に引き取れるということですね。
一方、輸入申告書(引き取りの申告書)には課税標準や税額の入力が不要で、納税のための審査・検査も基本的に省略されます。これにより通関手続きが迅速化され、物流の効率化が図れます。
納税申告に誤りがあった場合、修正申告または更正の請求という手続きを行います。納税額が少なかった場合は修正申告、多かった場合は更正の請求です。
修正申告は、輸入許可後に計算違いなどで税額が過少だったことに気づいた場合に行います。手続きは、誤っていた申告と正しい申告の両方の内容を記載した書類を税関に提出します。
修正申告のタイミングが重要です。税関からの調査通知を受けた日の翌日以後、更正予知の前に修正申告を行えば、過少申告加算税は増加税額の5%です。しかし更正予知の後や税関による増額更正の場合は、増加税額の10%になります。
更正の請求ができる期間は、原則として貨物の輸入許可を受けた日から5年以内です。税関は請求内容を検討し、納める税金が多いと認めた場合には還付を行います。
誤りに気づいたら速やかに対応することが大切です。
納税申告のミスは、輸入者だけでなく通関業務従事者にも重大な影響を及ぼします。通関業者が代理人として申告を行う場合、過少申告があれば加算税や延滞税が発生します。
過少申告加算税に加えて、納付が遅れた場合は延滞税も課されます。延滞税は修正申告の日が遅れるほど金額が増加します。
さらに重大なケースでは、重加算税の対象になる可能性もあります。隠ぺいや仮装行為があった場合、通常の加算税ではなく重加算税が賦課されることがあります。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/e741cad43efc7a1ce16c4acafc0f9182caeaa0af
例えば中国では、申告不実により国の税金徴収に影響を及ぼす場合、納付漏れの税金の30%以上2倍以下の罰金が科されます。
日本でも同様に厳格な対応がとられます。
参考)税関申告漏れに際して修正自主申告時の罰則等の取扱いについて
通関業務従事者としては、輸入者から正確な情報を入手し、HSコードの選定を慎重に行い、課税価格の計算を正確に実施することが不可欠です。日々の業務での確認作業が、リスク回避の鍵となります。
税関公式サイトでは、修正申告と更正の請求の詳細な手続き方法が解説されています
こちらの記事では、申告納税方式の仕組みと実務上の注意点がわかりやすくまとめられています