課税標準と総所得は同じ税金計算の用語なのに全く違う法律で定義されています。
課税標準とは、税額を算定する時の基礎となる金額または数量のことです。関税の場合、輸入申告時の貨物の価格または数量を課税標準として課すると関税定率法第3条で定められています。
参考)No.6301 課税標準|国税庁
消費税における課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額です。この金額には、金銭で受け取るものに限らず、金銭以外の物や権利その他経済的利益の額など、対価として受け取るすべてのものが含まれます。消費税相当額および地方消費税相当額は課税標準に含まれません。
つまり税金ごとに課税標準の定義が違います。
保税地域から引き取られる課税貨物に係る消費税の課税標準は、関税課税価格いわゆるCIF価格に消費税以外の個別消費税の額および関税の額に相当する金額を加算した合計額です。通関業務では、この課税標準の計算を正確に行うことが実務上極めて重要になります。
課税標準の理解を深めるには、国税庁の公式サイトで具体的な計算例を確認するのが有効です。
国税庁|No.6301 課税標準
総所得金額とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、雑所得、総合課税の短期譲渡所得、一時所得及び総合課税の長期譲渡所得(2分の1後)の所得金額を合計した金額に、損益通算や純損失または雑損失などの繰越控除を適用した後の金額のことです。
参考)合計所得金額、総所得金額、総所得金額等の違いについて - 宇…
総所得金額は総合課税のみで構成されます。分離課税の対象となる退職所得、土地・建物等の譲渡所得などは含まれません。源泉分離課税の対象となる退職所得、利子所得、配当所得も含まれません。
参考)合計所得金額、総所得金額、総所得金額等の違いについて - 富…
所得税の計算では総所得金額が原則です。
一時所得の場合、収入から収入を得るために支出した金額と特別控除50万円を差し引いた後、その金額の2分の1だけが総所得金額に算入されます。たとえば懸賞で100万円当たった場合、特別控除50万円を差し引いた50万円の半分、25万円だけが課税対象になります。
参考)課税所得とは?計算式から10種類の所得・節税法までわかりやす…
課税標準と総所得金額は、適用される法律と使用場面が根本的に異なります。課税標準は関税法や消費税法など各税法で独自に定義される税額計算の基礎です。一方、総所得金額は所得税法における概念で、個人の所得税計算に使われます。
通関業務従事者が扱う課税標準は、主に関税の課税価格です。関税額の基本計算式は「課税価格×関税率」で求められます。この課税価格は、輸入貨物のCIF価格(運賃・保険料込み価格)を基準とします。
参考)関税とは?仕組み・計算方法から免税範囲までわかりやすく解説
これは個人の所得計算とは全く別物です。
課税標準は税目ごとに計算方法が違います。所得税では総所得金額から所得控除を差し引いて課税標準(課税所得)を算出しますが、関税では輸入貨物の価格そのものが課税標準になります。この違いを理解していないと、税務申告や通関手続きで重大なミスを犯す可能性があります。
参考)https://www.city.daito.lg.jp/uploaded/attachment/21300.pdf
通関業務では、関税定率法第4条の3第1項の規定により、輸入貨物と同種又は類似の貨物に係る国内販売価格により課税標準を計算する場合があります。この計算問題は通関士試験の実務科目でも頻出です。
参考)『通関士試験(通関実務科目)・課税価格の計算問題』ー③ : …
関税の課税標準となる価格には、貨物本体の価格だけでなく、運賃や保険料も含まれます。たとえば、商品価格が300万円、運賃が50万円、保険料が10万円の場合、課税標準は360万円(CIF価格)となります。この金額に関税率を乗じて関税額を算出します。
CIF価格が課税標準の基本です。
国定税率には基本税率があり、関税定率法により輸入貨物のすべてについて定められています。2022年4月現在、7,658の税率が設定されており、通関業務従事者はこれらの税率を正確に適用する必要があります。課税標準の計算ミスは、過少申告加算税や延滞税の対象となり、企業に金銭的損失をもたらします。
輸入業務に関わる方は、JETROの公式サイトで最新の関税計算方法を確認しておくと安心です。
JETRO|輸入税額の計算方法
総所得金額とよく混同される用語に「合計所得金額」と「総所得金額等」があります。合計所得金額とは、各種所得を合計した金額で、純損失または雑損失などの繰越控除を適用する前の金額です。土地・建物等の譲渡所得など分離課税の所得については特別控除を適用する前の所得金額で計算します。
参考)合計所得金額、総所得金額、総所得金額等の違い - 坂戸市ホー…
総所得金額等とは、合計所得金額に純損失や雑損失等の繰越控除を適用した後の所得すべてを合計した金額です。総所得金額は総合課税のみで構成されるのに対し、総所得金額等は分離所得も含みます。
3つの用語は使用場面が違います。
合計所得金額は基礎控除の適用判定に使われます。たとえば、合計所得金額が2,400万円以下なら基礎控除額は43万円、2,400万円超2,450万円以下なら29万円、2,450万円超2,500万円以下なら15万円です。総所得金額等は所得割の非課税限度額、雑損控除、医療費控除、寄付金控除の判定に用いられます。
参考)合計所得金額、総所得金額、総所得金額等の違い/さつま町公式ホ…
| 用語 | 繰越控除 | 分離所得 | 主な使用場面 |
|---|---|---|---|
| 合計所得金額 | 適用前 | 含む(特別控除前) | 基礎控除の判定 |
| 総所得金額 | 適用後 | 含まない | 所得税の計算 |
| 総所得金額等 | 適用後 | 含む(特別控除前) | 各種控除の判定 |
上場株式等の配当所得や、源泉徴収を選択した特定口座内の上場株式等の譲渡所得は、申告すると合計所得金額に含まれます。申告不要を選択した場合は含まれません。この選択により基礎控除の額が変わる可能性があるため、税務戦略上重要な判断になります。
参考)合計所得金額、総所得金額、総所得金額等の違いについて/摂津市