期限を間違えると承認取消しリスクがあります。
特例輸入申告制度は、税関長の承認を受けた輸入者(特例輸入者)または認定通関業者に委託した輸入者(特例委託輸入者)が、輸入申告と納税申告を分離できる制度です。通常の輸入では申告と納税を同時に行いますが、特例申告では輸入申告(引取申告)によって先に貨物を引き取り、後から納税申告(特例申告書の提出)を行えます。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1903_jr.htm
これは平成13年3月より導入された制度です。AEO認定事業者などコンプライアンスが特に優れている輸入者に対して認められます。
参考)簡易申告制度 - SANKYU-物流情報サービス(CISS)
引取申告時には大幅な手続きの簡素化が認められています。インボイスや保険料明細書などの書類は原則として税関への提出が不要です。他法令手続関係の書類については従来と同様に提出が必要ですが、納税に係る申告項目(課税標準、税額など)の入力は不要になります。
通常の輸入申告では55項目の入力が必要ですが、特例輸入者制度における輸入申告項目は19項目です。引取申告時の納税のための審査・検査も軽減されます。
つまり簡略化が原則です。
納税申告は、1ヵ月中に受けた輸入許可ごとに、またはまとめて特例申告書を作成し、翌月末日までに行います。たとえば2月中に輸入許可を受けた貨物については、3月末日が特例申告書の提出期限です。
申告書の提出先は輸入申告を行った官署またはその本関です。個別の輸入許可ごとに特例申告書を作成することも、当月分をまとめて1つの特例申告書で申告することも可能です。
まとめて申告できるのが便利です。
参考)特例申告貨物を輸入するときの申告書への「付記」と「記載」の関…
関税の減免税を受ける場合は、引取申告書への「付記」と特例申告書への「記載」の使い分けが必要です。変質・損傷減税、加工修繕貨物の減税、商品見本の免税、再輸入免税・減税、再輸出免税、加工再輸入減税の7つの制度では、引取申告書にその旨を「付記」しなければなりません。
一方、特例申告書には関税の軽減、免除を受けたい旨とその適用を受けようとする法令の条項を「記載」する必要があります。付記は税関の審査の参考情報として、記載は納税申告の正式な申告事項として位置づけられます。
どちらも必須です。
正当な理由なく特例申告書をその提出期限までに提出しなかった場合、1年以下の懲役または200万円以下の罰金に処せられます。さらに、特例輸入者承認が取り消されることがあるため注意が必要です。
承認取消しになれば、今後は通常の輸入手続きに戻り、申告のたびにインボイスなど全ての書類提出と納税申告が必要になります。業務効率が大きく低下するため、期限管理は厳格に行うべきです。
罰金刑もありますね。
特例申告に係る納期限を延長する場合は、特例申告書の提出期限内に「関税(内国消費税及び地方消費税兼用)納期限延長(特例申告)申請書」を提出します。納期限は特例申告書の提出期限から2ヶ月以内に限り延長できます。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1309_jr.htm
申請は輸入者自身または代理人としての通関業者のいずれでも行えます。担保の提供が必要ですが、キャッシュフロー改善に有効な制度です。
延長は2ヶ月が上限です。
特例輸入者であっても、すべての輸入申告について特例申告を選択する必要はありません。通常の輸入(納税)申告を選択することも可能です。
参考)https://www.kyokensha.jp/answer%2020240106.html
通常の輸入申告を選択した場合は、普通の輸入者と同様に輸入許可前引取承認を受けることができます。その場合には関税相当額の担保の提供が必要になります。一方、特例申告を選択し輸入(引取)申告を行った場合には、輸入許可前引取承認を受けることができません。
そもそも申請が不要だからですね。
参考)https://www.kyokensha.jp/answer%2020240104.html
NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)では特例申告業務の効率化が図られています。「一括特例申告事項呼出し(TKB01)」業務から引取申告番号を呼び出し、「一括特例申告事項登録(TKA01)」業務で一括して特例申告を作成できます。
参考)https://www.naccs.jp/archives/7g_naccs/wg/20221208/19godowg_shiryo02.pdf
呼び出し時は特例申告済および一括特例申告済の引取申告番号を除外して呼び出せます。他社が取り扱った引取申告分も合わせて一括特例申告を行いたい場合は、該当の引取申告番号を手入力することも可能です。
システムが重複を防ぎます。
NACCS公式サイト
輸出入・港湾関連情報処理システムの詳細情報と業務マニュアルが確認できます。
特例委託輸入者として特例申告を行う場合、認定通関業者への委託が必要です。通関業者は引取申告業務と特例申告業務の両方を代行できます。
輸入者が輸出入者コードを有する場合、輸入(引取)許可時の輸出入者コードを特例申告書にも入力します。通関業者が代理申請する場合でも、納期限延長申請などの手続きを行えます。
代理業務も可能です。
特例申告制度を活用すれば、貨物の引取りを迅速に行いながら、納税申告は月次でまとめて処理できます。これにより通関業務の効率化とキャッシュフローの改善が実現します。
引取申告時の申告項目が55項目から19項目に削減されることで、申告作業の負担も大幅に軽減されます。審査・検査も軽減されるため、貨物の引取りまでの時間が短縮されます。特例申告制度は、コンプライアンスを維持しながら業務効率を高める有効な手段といえます。
ただし期限管理は厳格にしましょう。