輸入許可から1年過ぎても再輸出できていない貨物は、あなたの会社に免除された関税が全額追徴されます。
参考)加工のために輸入して加工後に輸出されるときの免税手続き:日本…
再輸出免税は関税定率法第17条に定められた制度で、輸入許可日から原則1年以内に再び輸出される特定の貨物について、輸入時の関税を免除する仕組みです。この制度は日本の加工貿易の振興や文化学術水準の向上、国内産業に影響を与えない貨物の一時輸入を促進する目的で設けられています。
つまり輸出前提の制度です。
免税を受けるには、貨物が再輸出されるまで本邦内で特定の用途に使われることも要件となります。税関長は輸入者に対し、免除される関税額に相当する担保の提供を命じることができるため、輸入時に一定の資金負担が発生する可能性があります。担保は通常、免除される関税額の100%を現金で提供するケースが一般的です。
参考)通関実務💵 ✅再輸出免税(関税定率法第17条) 輸出許可の日…
この制度を活用することで、一時的な輸入に伴う関税負担を軽減でき、国際的な商取引や学術交流がスムーズに進みます。ただし適用を受けるには厳格な手続きと期限管理が求められるため、通関業務従事者としては正確な知識が必要です。
再輸出免税の対象となる貨物は、関税定率法第17条第1項で具体的に列挙されています。
主な対象貨物は以下の通りです。
参考)https://masterkey.tokyo/re-export17/
参考)再輸出免税(関税定率法17条)
これらの貨物はいずれも、国内で消費されず再び海外へ出ていく性質を持っています。そのため関税を課す必要性が低いと判断されているのです。
対象貨物に該当するかどうかの判断が重要です。
再輸出免税の適用を受けるには、輸入申告時に所定の手続きを行う必要があります。まず輸入申告書に再輸出免税の適用を受ける旨を記載し、輸入の目的や輸出予定地を明記します。
参考)再輸出免税とは - 通関士ブログ
再輸出貨物減免税明細書の提出が必須です。
この明細書には、品名、申告番号、減免税条項該当申告区分、輸出の予定時期、輸出の予定地、輸入の目的、数量などを記載します。明細書は輸入地を所轄する税関長に提出する必要があります。
参考)https://www.customs.go.jp/kaisei/youshiki/form_T/T1340.pdf
税関から担保の提供を求められた場合は、免除される関税額に相当する担保を用意しなければなりません。担保は現金で提供するケースが一般的で、免除される関税額の100%が担保金額となります。現金以外の担保を提供する場合は、免除される関税額の100%に加えて1次加算金3%が追加されることがあります。
担保を提供する理由は、期間内に再輸出されなかった場合に免除された関税を確保するためです。再輸出が完了すれば担保は解除され、現金担保の場合は全額返還されます。
輸入時に同一性確認のため、税関による内容点検が実施される場合もあります。再輸出時に輸入した貨物と同じものであることを証明できるよう、インボイスや仕様書などの輸入関連書類一式を保管しておくことが重要です。
再輸出免税の適用を受けた貨物は、輸入許可の日から原則として1年以内に輸出しなければなりません。この期間内に再輸出されない場合、免除された関税が直ちに徴収されます。
1年が絶対的な期限です。
ただし、やむを得ない理由で1年以内に再輸出できない場合は、再輸出履行期間の延長申請が可能です。延長を希望する場合は、期限が到来する前に税関に対して延長理由を説明し、承認を得る必要があります。延長が認められるかどうかは、個別の事情によって税関が判断します。
再輸出期間を超過してしまうと、免除されていた関税および消費税の全額を納付しなければならず、場合によっては延滞税などのペナルティも発生する可能性があります。そのため輸入時に再輸出予定日をしっかり管理し、社内でスケジュールを共有しておくことが不可欠です。
期間管理を怠ると大きな金銭的損失につながるため、通関業務従事者は輸入許可日と再輸出期限をカレンダーやシステムに登録し、リマインダーを設定するなどの対策が有効です。特に担保を現金で提供している場合、期限超過による追徴と担保没収のダブルパンチを受けるリスクがあるため、細心の注意が求められます。
再輸出を行う際には、輸入時に取得した輸入許可書と再輸出貨物減免税明細書を輸出地の税関に提出する必要があります。この手続きを怠ると、通常の輸出貨物として申告・許可されてしまい、免除された関税等が追徴される可能性があります。
輸入許可書を必ず提出してください。
輸出申告時には、輸出される貨物が輸入時の貨物と同一であることを税関に確認させる必要があります。そのため輸入時のインボイスや仕様書など、同一性を証明できる関係書類を通関業者に渡すことが重要です。
輸出が完了すると、税関から輸入許可書に「輸出済み」の記載を受けます。この記載を受けた後、「再輸出免税貨物の輸出の届出書」を輸入地の税関に提出します。輸入地の税関に届出することで、一連の手続きが完了し、担保を提供していた場合はその解除手続きに進むことができます。
輸出地と輸入地が異なる場合でも、最終的な届出は必ず輸入地の税関に対して行う点に注意が必要です。この届出を忘れると、税関の記録上は再輸出が完了していないことになり、後日確認の連絡が来たり、担保の解除が遅れたりする可能性があります。
参考:税関カスタムスアンサー 再輸出免税貨物の手続
https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1610_jr.htm
再輸出免税を受けた貨物が期間内に輸出されなかった場合、または指定された用途以外に使用された場合、免除を受けた関税が直ちに徴収されます。この追徴は即座に行われるため、企業のキャッシュフローに大きな影響を与える可能性があります。
用途外使用も追徴対象です。
例えば、加工用として輸入した原材料を国内で販売してしまった場合や、展示用として輸入した製品を国内の顧客に売却してしまった場合などが用途外使用に該当します。このような場合、事後的に税関に発覚すると、免除された関税に加えて延滞税や加算税が課される可能性もあります。
納付する関税が少額の場合は、そもそも再輸出免税制度を利用すべきかどうかを検討する必要があります。制度利用に伴う書類作成や担保提供の手間、期間管理のコストを考えると、少額の関税であれば通常通り納税したほうが効率的な場合もあるからです。
通関業務従事者としては、再輸出免税の適用を検討する際に、以下のリスクを依頼者に説明することが重要です。まず期間管理の厳格性、次に用途制限の存在、そして違反時の追徴リスクです。これらを理解した上で制度を利用すれば、トラブルを未然に防ぐことができます。
参考:JETROビジネス短信 加工のために輸入して加工後に輸出されるときの免税手続き
加工のために輸入して加工後に輸出されるときの免税手続き:日本…

日本法令 最終的に輸出となる物品の消費税免税購入についての購入者誓約書(輸出免税物品購入記録票) (一般物品・消耗品混在用)