一時輸入免税日本で申請ミスすると追徴課税

一時輸入の免税制度は通関業務に不可欠ですが、適用条件や期限を誤解すると、想定外の課税や追徴金が発生します。ATAカルネの活用や再輸出免税の手続き、対象物品の制限など、実務で見落としがちなポイントを具体的に解説しますが、あなたは本当に正しく理解していますか?

一時輸入免税日本

ATAカルネがあれば職業用具は無条件で免税と思っていませんか?

この記事の3つのポイント
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ATAカルネで免税通関が可能

展示品、商品見本、職業用具を対象に、担保や関税納付なしで一時的に輸入できる国際制度

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再輸出免税は1年以内が原則

輸入許可日から1年以内に輸出することで関税が免除される制度だが期限管理が重要

⚠️
カルネ不使用で追徴リスクあり

職業用具でもカルネを取得せずに持ち込むと輸入税や罰金の対象となる事例が発生

一時輸入免税の基本要件と対象物品

一時輸入免税制度は、展示会や商談のために外国から物品を持ち込む際、関税や消費税を免除する仕組みです。


参考)展示品を保税・免税扱いで搬入・輸入するための手続きおよび販売…

対象となるのは「展示用物品」「商品見本」「職業用具」の3つが代表的です。展示会の出品物、営業活動で使うサンプル、業務で使用するパソコンや楽器などがこれに該当します。


ただし、持ち込もうとする国がATA条約に加盟していることが前提となります。加盟国でも、すべての物品が免税対象になるわけではありません。


参考)https://www.customs.go.jp/kaigairyoko/atacarnet.htm


免税を受けるためには、輸入後に一切の加工をしないこと、そして必ず再輸出することが条件です。つまり日本国内で消費したり販売したりする物品には適用されません。


参考)一時輸入制度:EU

また、有効期間は1年以内と定められています。期限を超えて物品を日本に留めると、免税措置が無効になるリスクがあります。


参考)https://www.customs.go.jp/kaisei/zeikantsutatsu/kihon/TU-S47k0103-s05.pdf


一時輸入ATAカルネの申請手続きと注意点

ATAカルネとは、物品の一時輸入のための通関手帳に関する条約(ATA条約)に基づく国際的な通関書類です。

カルネを使用すると、通常必要な担保の差し入れや関税の納付をせずに、簡易的な手続きで輸出入が可能になります。カルネの有効期限内であれば、何回でも輸出入できる点も便利です。


参考)一時輸入制度:米国

手続きは、日本商事仲裁協会(JCAA)でカルネを取得し、輸入先の税関に提出するという流れになります。カルネ正本があれば、複雑な書類を何度も準備する必要はありません。

しかし注意したいのは、カルネを取得していても、輸入する国によっては職業用具や展示品の一部が免税対象にならない場合があることです。通関士試験では「全加盟国で同じ」と理解しがちですが、実際は国ごとに扱いが異なります。


参考)ATAカルネは便利だが・・・

また、カルネには有効期限が記載されており、期限を過ぎた物品は免税措置が受けられません。


期限管理は輸入者の責任となります。



カルネの輸入税請求に関する詳細(日本商事仲裁協会公式サイト)
カルネの再輸出漏れや期限超過による税関からの輸入税請求のリスクについて、実務的な対応方法が記載されています。


一時輸入の再輸出免税制度と期間管理

再輸出免税とは、加工される貨物や加工材料となる貨物を輸入し、輸入許可日から原則1年以内に輸出する場合に、関税が免除される制度です。


参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1610_jr.htm


免税を受けるためには、輸入申告の際に当該貨物の輸出許可書または税関の証明書を提出する必要があります。


これがないと免税適用は認められません。



参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1609_jr.htm

期間は「輸入許可の日から1年以内」という点が重要です。この期限を超過すると、免税措置が適用されず、後から関税や消費税を追徴される可能性があります。

ただし、輸入許可後に免税適用を申請しても受け付けられません。輸入時に免税申請をしていないと、納付した消費税の払戻しはできないということです。


参考)https://www.customs.go.jp/yokohama/notice/sodankan_shitsumon.html

また、海外で改造や修理を行った貨物や、破損により形状が著しく変わった貨物は、再輸入免税の対象外となります。性質や形状が変わっていない場合のみ適用されます。


参考)再輸入免税を適用するための条件と必要資料 │ TARIFFL…

輸入から1年という期限は、展示会の準備から撤収まで余裕がある一方、修理や調査で時間がかかる案件では注意が必要です。たとえば東京ドーム5つ分の展示会場でも、撤収が遅れると1年を超えることがあります。


一時輸入職業用具でカルネ取得を怠った場合のリスク

職業用具には、出張時に持参するパソコンや、音楽家が持ち歩く楽器が含まれます。


参考)カルネを取らずに大騒動

楽器は高額なものが多く、手荷物であっても通関手続きは省略できません。ATAカルネを持っていれば出入国時の手続きが簡単になりますが、カルネを取得せずに持ち込むと大きなトラブルになる可能性があります。

実際、職業用具をカルネなしで持ち出した事例で、輸入国の税関から多額の輸入税や罰金を請求されるケースが複数発生しています。こうした事態を受けて、日本の文化庁も職業用具持出しの際は注意するよう呼びかけています。

カルネがないと、通関時に担保を差し入れたり、関税を一旦納付したりする必要が生じます。さらに、再輸出時に税関で証明を受ける手間もかかります。

音楽家の楽器なら、1台で数百万円から数千万円の価値があるため、担保金額も相当な額になります。これは個人のクレジットカード限度額(例:100万円程度)をはるかに超えるでしょう。


職業用具だからと油断せず、海外に持ち出す前にカルネを取得しておくことが安全策です。


職業用具持出しで発生したトラブル事例(グローバルビズゲート)
音楽家が楽器をカルネなしで海外に持ち出し、税関トラブルに巻き込まれた実例が紹介されています。


一時輸入手続きで見落としやすい例外規定

一時輸入制度には、一般にはあまり知られていない例外規定や特殊なケースがあります。


たとえば、EUでは販売促進用の少額サンプルで、穴を開けるなどの方法で恒常的に使用できなくされた物品は、一時輸入扱いではなく免税扱いとなります。見本市で消費されるか破棄される物品も同様です。

つまり商品見本でも、破損させることで完全に免税になるわけです。これは一時輸入ではなく、最初から輸入税がかからない扱いになります。


また、課税価格の合計額が1万円以下の物品は、関税と消費税が免税されます。ただし、関税定率法施行令第16条の3に記載された特定の物品は除外されます。

さらに、遭難した船舶等の解体物や、事故によって戻された貨物も、再輸入免税の対象になります。これは通常の商業取引とは異なる特殊な状況ですが、実務では稀に発生します。

中国の場合、一時輸入の延期は最高3回、1回につき6カ月延長できるため、最大18カ月まで可能です。展示会開催期間が24カ月以上に及ぶ場合は、税関に報告し審査を受ける必要があります。

こうした例外規定を把握しておくと、通関業務でイレギュラーな案件に遭遇した際も、適切な対応ができます。結論は状況に応じた柔軟な判断が必要ということですね。