納期限延長 リアルタイム口座の仕組みと包括延長の活用ポイント

通関業務で納期限延長とリアルタイム口座を組み合わせる際の注意点や申告方法を解説します。包括延長や個別延長の違い、担保提供の実務、残高不足時の対応策など、実務担当者が知っておくべき知識を網羅的にまとめています。あなたの通関業務の効率化につながる情報が見つかるでしょうか?

納期限延長とリアルタイム口座

包括延長にリアルタイム口座を使っても、個別延長科目は直納で払えません。


この記事のポイント
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納期限延長にリアルタイム口座が利用可能に

個別延長・包括延長・特例延長すべてで、納期限日に自動引き落としが可能。申告後の納付方法変更や任意タイミングでの引き落としにも対応しています

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混在申告では納付方法の統一が必須

1つの申告で複数の納税方式がある場合、異なる納付方法を選択できません。包括延長と個別延長が混在する場合、すべてリアルタイム口座かすべて直納のいずれかに統一が必要です

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残高不足時は再引き落としか納付方法変更で対応

自動引き落とし時に残高不足でエラーになると、納付書は出力されません。残高を補充して再引き落とし、または直納・MPNに変更して納付する必要があります

納期限延長制度にリアルタイム口座対応が追加

納期限延長制度を利用する輸入申告でも、リアルタイム口座振替による納付が可能になりました。個別納期限延長、包括納期限延長、特例納期限延長のすべてで利用できます。


参考)https://www.naccs.jp/archives/7g_naccs/wg/20220915/16godowg_shiryo08.pdf


これまで納期限延長制度では直納またはMPNしか選択できませんでした。リアルタイム口座が使えなかったため、輸入者や通関業者は納期限日までに手動で納付手続きを行う必要があり、事務負担が大きかったのです。

新たな仕様では、輸入申告事項登録(IDA業務)の際に納付方法としてリアルタイム口座振替を選択すれば、納期限日に自動で引き落としが実行されます。これで担当者が納期限を管理して個別に納付処理する手間が省けます。


参考)https://bbs.naccscenter.com/_files/00159982/24godowg_shiryo04.pdf


包括納期限延長で例えると、5月中の輸入許可分をまとめて8月末日までに納付する場合、従来は一括納付書が出力されていましたが、リアルタイム口座を選択すれば納付書出力なしで自動引き落としされます。


つまり完全自動化です。


納期限延長とリアルタイム口座の申告時の注意点

申告項目入力時に納付方法を選択しますが、1つの申告で複数の納税方式がある場合には異なる納付方法を選択できない仕様です。


具体的には、包括延長と個別延長が混在する申告で、包括延長分だけリアルタイム口座振替、個別延長分は直納という選択はできません。個別延長と即納が混在する場合も同様に、個別延長分をリアルタイム口座、即納分を直納に分けることはできません。


参考)https://www.naccs.jp/archives/7g_naccs/wg/20231122/24godowg_shiryo04.pdf


この制約は申告単位での納付方法統一を目的としています。すべてリアルタイム口座か、すべて直納か、すべてMPNかのいずれかに統一する必要があります。

混在申告をする場合は、あらかじめどちらの納付方法に統一するか決めておくとスムーズです。リアルタイム口座を基本にすれば、自動引き落としのメリットを最大限活用できます。


なお、直納およびMPNの納付方法もこれまでどおり利用可能です。リアルタイム口座は選択肢の1つとして追加されたものです。


納期限延長の包括方式と個別方式の違い

納期限延長には包括延長方式と個別延長方式があり、それぞれ延長期間や担保提供のタイミングが異なります。

包括延長方式は、特定月の輸入申告をまとめて延長する方式です。特定月の前月末日までに申請書を提出し担保を提供すると、特定月末日の翌日から3ヶ月以内の納期限延長が認められます。たとえば5月分の輸入許可が5月1日、15日、30日とバラバラでも、すべてまとめて8月31日までに納付すればよいことになります。

個別延長方式は、個々の輸入申告ごとに納期限を延長する方式です。申告ごとに申請書を提出し担保を提供すると、輸入許可日の翌日から3ヶ月以内の納期限延長が認められます。


申告件数が多いと手続きが煩雑です。



包括延長は担保を据置きにして継続使用できるため、輸入者・税関双方にとって担保提供や解除の手続き負担が軽減されます。定期的に輸入を行う事業者なら包括延長が効率的です。

ただしいずれの方式も、税額に相当する担保の提供が条件となります。


これが原則です。



参考)https://nisseigrp.co.jp/chinese/service/images/doc.pdf


納期限延長リアルタイム口座の残高不足時の対処法

納期限日の自動引き落とし時に口座残高が不足すると、引き落としエラーとなります。この場合、システムは納付方法を自動変更せず、納付書も出力しません。


エラー後の対処方法は2つあります。1つ目は、残高不足を解消してから「納付方法変更(KZH)」業務で再度引き落としを実施する方法です。2つ目は、「納付書再出力(RNF)」業務などで納付方法を直納またはMPNに変更して納付する方法です。


引き落としエラーが発生すると「納期限延長口座引落とし結果通知情報」で残高不足の旨が通知されます。この通知を見逃さないようにすることが重要です。


納期限を過ぎると延滞税が発生する可能性があるため、エラー通知を受けたら速やかに対応しましょう。


残高管理を徹底しておけば問題ありません。


なお、担保回復の観点からはPay-easy(ペイジー)で納付すると即座に担保が回復しますが、銀行窓口だと1週間程度かかります。


急ぎの場合はペイジーがおすすめです。


納期限延長リアルタイム口座の申告後の納付方法変更

申告時に直納を選択した場合でも、申告後にリアルタイム口座振替へ変更できます。新たに追加される「納付方法変更(KZH)」業務を利用します。


変更可能な期間は、一括納付書などの帳票出力後から納期限日の前日までです。この期間内であれば、一括納付書および受入科目単位で納付方法を変更できます。


直納からリアルタイム口座へ変更する場合のみ、税関の確認業務が設けられており、確認が終了しないと引き落とし処理が実行されません。出力済みの納付書の扱いは税関の指示に従う必要があります。

引き落としは即時に行うか、納期限日に行うかを選択できます。納期限を待たずに早期納付したい場合は即時引き落としが便利です。キャッシュフローに余裕があるなら、納期限ギリギリまで待つ選択もできます。


MPNからリアルタイム口座への変更も可能です。


柔軟性が高いですね。


納期限延長制度の3つの方式と特例延長の特徴

納期限延長制度には個別延長、包括延長のほかに特例延長方式があります。特例延長方式は、特例輸入申告制度を利用する特例輸入者または特例委託輸入者が利用できる方式です。

特例申告書の提出期限内に納期限延長申請書を提出すると、提出期限から2ヶ月以内の納期限延長が認められます。他の方式と異なり、特例輸入者が利用する場合は原則として担保提供が不要です。


これだけは例外です。



ただし関税等の保全に必要な場合は担保提供を求められることもあります。あくまで原則不要というだけで、個別事情によります。

特例延長方式でもリアルタイム口座振替が利用可能です。包括延長や個別延長と同じく、納期限日に自動引き落としされます。


特例輸入者は通関手続きの簡素化と納期限延長の両方のメリットを享受できます。AEO制度の認定を受けた事業者であれば、特例輸入者の承認取得を検討する価値があります。


税関公式サイト「関税等の納期限延長制度の概要」では、3方式それぞれの詳細な要件や手続きが説明されています