あなたの申告、許可前でも違反です。
関税法第70条は、関税そのものの条文というより、他法令の規制を税関手続に接続するための条文です。貨物について他法令で許可、承認その他の処分が必要なら、輸出申告または輸入申告の際に、その取得を税関へ証明しなければなりません。ここが起点です。
さらに第70条2項は、許可書型だけでなく、検査の完了や条件の具備が必要な貨物まで拾っています。つまり「許可書がないから第70条ではない」とは言えません。結論は広く確認対象です。
実務で誤解されやすいのは、申告後に補えば足りると考えることです。税関資料でも、証明がされない、または確認を受けられない貨物は輸出入を許可しないと整理されています。許可前提の条文です。
無許可輸出の解説でも、第70条の既遂時点は「輸出申告又は輸入申告の際」という文言の重みが大きいと指摘されています。通関業従事者の感覚では「まだ許可前だからやり直せる」と思いがちですが、申告時点の判断がそのまま法的リスクに接続しやすいのです。申告時点が原則です。
第70条本文を確認したいときはe-Govが最短です。条文の読み違いを防ぐ場面です。確認条文の参照先です。
e-Gov法令検索 関税法
他法令確認は、特殊品だけの話ではありません。東京税関の一覧を見ると、外為法、文化財保護法、麻薬及び向精神薬取締法、植物防疫法、家畜伝染病予防法、道路運送車両法など、現場で遭遇しうる法令が並びます。裾野が広いですね。
たとえば中古自動車は道路運送車両法、植物は植物防疫法、肉製品やハムは家畜伝染病予防法の確認が関係します。化粧品や医薬品系では、税関が薬事関係法令の手続実施を確認できなければ輸入を許可しない運用が示されています。品名だけで油断できません。
ここで効くのが、品目だけでなく用途まで見る視点です。化粧品でも販売目的か、個人使用かで必要書類の線引きが変わることがあります。つまり用途確認です。
現場の時短という面では、申告前に「品名・用途・成分・仕向地」の4点を1行メモにして荷主へ返すと、後追い照会がかなり減ります。A4一枚の社内チェック表でも十分です。10センチほどの付箋1枚でも違います。
輸出関係の主要他法令をざっと確認したいときは、東京税関の一覧が使いやすいです。どの法令がどの品目にかかりやすいかを俯瞰できます。品目当たりの参考先です。
東京税関 税関で確認する輸出関係他法令の概要
書類実務では、許可書原本しか使えないと思い込む人がいます。ですが、税関は通関関係書類の電子化・ペーパレス化の観点から、植物防疫法、家畜伝染病予防法、食品衛生法の一部で、許可承認書等の写しで確認できる取扱いを示しています。意外ですね。
もっとも、いつでも写しで終わるわけではありません。通関審査で必要と判断した場合は、税関が原本提示を求める運用も同時に明記されています。写しだけ覚えておけばOKです。
NACCSの強みは、一回の入力・送信で関係行政機関手続を進めやすいシングルウィンドウ機能にあります。厚労省関係の資料でも、検疫や食品衛生、貿易管理手続などを含めた官民共同システムとして説明されています。入力の省力化は大きいです。
ただし、NACCSに入れたから確認済みになるわけではありません。審査で品名、届出者、届書中の品目名称が申告内容と一致しているかを見られます。つまり一致性です。
このリスクに対する対策は単純です。照合漏れの回避を狙うなら、申告前に「書類上の名義・品名・数量」の3点だけを画面と紙で突き合わせる運用に固定することです。無料の表計算テンプレートでも十分回せます。書類整合の参考先です。
他法令確認における許可承認書等の写し取扱い
第70条の確認対象は、許可承認型だけではありません。検査完了や条件具備を必要とする貨物も含まれるので、「許可番号の有無だけ見ればよい」という運用は危険です。ここは盲点です。
また、税関は疑義が出た場合、その都度、関係省庁や地方厚生局へ照会し、輸入許可の可否を判断すると整理しています。現場感覚では軽微な記載差に見えても、主管官庁照会に入ると半日から数日単位で止まることがあります。時間コストが重いです。
通関業従事者がやりがちな失敗は、「同じ荷主の前回実績が通っているから今回も同じ」と考えることです。ですが、規制は用途変更、成分差、仕向地差、制度改正で簡単にズレます。前例依存はダメです。
もう一つ、税関の所管法令等一覧には、第70条関係の通達が非常に多く並びます。医薬品、毒劇物、アルコール、指定薬物、ロシア関連措置など、個別テーマごとに細かな通知がぶら下がっています。つまり個別通達です。
実務メリットを優先するなら、社内ナレッジを「法令名別」ではなく「貨物類型別」に持つと迷いにくいです。たとえば医薬品系、食品系、中古車系、動植物系に分けるだけで、担当者の判断時間をかなり削れます。法令横断の整理です。
税関の所管法令等一覧は文字化けしやすい環境もありますが、第70条関係通達の存在確認には有用です。個別テーマの深掘り導線になります。通達探索の参考先です。
税関 所管法令等一覧(含む改正)
上位記事は条文説明で終わりがちですが、現場では「誰が最初に違和感を拾うか」が成否を分けます。実際には、申告担当より前の、営業、荷主窓口、倉庫手配の時点で違和感を拾えた案件ほど止まりません。そこが実務差です。
おすすめしたいのは、案件受領時に3つだけ確認する方法です。「その貨物は売るのか」「生き物・食品・薬関連か」「中古車や規制国向けか」の3問です。3問だけです。
この3問は、法律論を知らない担当者でも回せます。たとえば化粧品を日本国内で販売する目的なら、薬事系の届出確認に進むべきだと早い段階で気づけます。一次判定が基本です。
通関担当のメリットは明確です。後から主管省庁照会や書類差替えで追われるより、最初の3問で止めた方が、1件あたり数十分から数時間の手戻りを減らしやすいからです。痛いですね。
この場面で使う道具は大げさでなくて構いません。初動漏れの回避を狙うなら、案件登録フォームに3問を追加して、回答が1つでも引っかかったら確認待ちに自動振分けするだけで十分です。簡単な業務フローアプリやスプレッドシートでも回せます。つまり初動設計です。
あなたの申告、5%の資本関係でも崩れます。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
通関実務でいう関連者間取引は、単に親子会社間の売買だけではありません。関税評価では、関税定率法施行令第一条の八により、共同経営者、使用者関係、議決権を伴う社外株式の5%以上保有、支配関係、同一第三者による支配、親族関係まで「特殊関係」に入ります。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
5%が基準です。これは通関担当者が「50%超でなければ大丈夫」と考えがちな点と逆です。 少数持分でも特殊関係に該当し得るため、輸入者ヒアリングの最初に資本関係図と役員兼任の有無を確認した方が早いです。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
特に実務で見落としやすいのは、親会社と子会社だけでなく、同一の第三者に支配される兄弟会社間の取引です。つまりグループ内横取引です。ここを外すと、申告時点では通常売買に見えても、後から価格形成の説明が必要になりやすいです。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
関連者間取引だから直ちに取引価格が否認されるわけではありません。関税定率法施行令第一条の六第三項では、特殊関係があっても価格に影響していないこと、または同一額・近似額であることを証明しようとする場合、輸入申告時に取引価格、同種・類似貨物の課税価格、価格差調整の内容などを記載した書面の提出が必要だと定めています。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
書面提出が条件です。ここが「口頭説明で足りる」という思い込みを崩すポイントです。 しかも記載すべき内容は、単なる関連会社名の表示ではなく、比較対象価格や調整内容まで含むため、インボイス1枚では足りないことがあります。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
通関現場では、NACCS入力の前段で価格決定資料が揃っているかが勝負です。価格表、グループ間契約、リベート条件、ロイヤルティ有無を申告前に1回で確認できれば、事後照会をかなり減らせます。これは時短になります。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
この部分の根拠条文です。輸入申告時に必要な記載事項の考え方を確認できます。
税関|関税定率法施行令(抄)関税評価関係法令等
税関が見ているのは「関連者かどうか」だけではなく、「その関係が価格に影響したか」です。関税定率法施行令第一条の六第二項では、取引段階、取引数量、運賃等、さらに特殊関係があるため売手が負担しない費用との差異による価格差を調整するとしています。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
結論は価格差の説明です。たとえば同じ部材でも、月1,000個と月10個では単価差が出ますし、親会社負担だった販促費や設計費が関連者間だけ買手負担になっていれば、その差は無視しにくくなります。 はがき10枚分くらいの薄い契約書でも、価格条件の一文が抜けるだけで説明難易度は急に上がります。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
ここで重要なのは、安いから危険、高いから安全、という単純な話ではない点です。比較対象とのズレを、価格表その他の適正資料で示せるかが原則です。 そのため、通関部門だけで抱えず、購買、経理、税務の3者で資料の保管場所を固定するだけでも、法的リスクと手戻りをかなり減らせます。整理が基本です。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
関連者間取引では、価格そのものよりも加算漏れの方が危ない場面があります。関税定率法施行令第一条の五では、買手が自ら生産した物品や特殊関係者から直接取得した物品を生産に関連して提供した場合、その生産費用を課税価格に加算する考え方が示されていますし、本邦外で開発された技術、設計、考案、工芸、意匠の費用も対象になります。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
つまり無償支給材と開発役務です。これは「インボイス価格だけ見れば足りる」という実務感覚とぶつかる部分です。 たとえば日本側が金型を無償提供し、海外関連工場がその金型で製造した貨物を輸入する場合、金型コストの按分が論点になります。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
ロイヤルティも注意です。特許権、意匠権、商標権に類するものとして、実用新案権、著作権、著作隣接権、特別の技術による生産方式などが挙げられています。 契約が別建てでも、輸入貨物の生産や販売条件と結び付くなら、通関で無関係とは言い切れません。加算要否のメモを案件ごとに1枚残すだけでも、後から効きます。意外ですね。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
検索上位の記事は、制度説明や条文要約に寄りがちです。ただ、通関業従事者にとって本当に差が出るのは「誰に、いつ、何を聞くか」の順番です。輸入者に対する帳簿保存義務では、品名、数量、価格、仕出人名、輸入許可年月日、許可書番号などの記載が求められており、基礎データの欠落は後段の関連者間取引説明にも響きます。 customs.go(https://www.customs.go.jp/shiryo/chobo.htm)
先に確認票を作るべきです。たとえば初回案件なら、①売手と買手の資本関係、②議決権5%以上の有無、③役員兼任、④無償支給材、⑤設計・技術提供、⑥ロイヤルティ契約、⑦同種品の第三者売買価格、の7点を一気に聞くと整理しやすいです。 7項目なら、現場でも回せます。 customs.go(https://www.customs.go.jp/shiryo/chobo.htm)
このやり方のメリットは、税関照会が来てから社内を走り回る時間を減らせることです。リスクは事後対応の長期化です。関連者間取引の案件数が月1件でもある事務所なら、ヒアリング項目を定型化し、案件管理ツールや共有メモに固定テンプレートとして置いておく候補があります。つまり先回りです。