電子化だけでは業務効率は20%も向上しません。
電子化とは、紙媒体の書類をスキャンしたり撮影したりして電子データに変換することを指します。通関業務では、インボイスや納品書などの貿易書類をPDFファイルに変換して保存・提出する作業が電子化の代表例です。
参考)電子化とデジタル化の違いとは?電子化のメリットや導入ステップ…
平成25年10月以降、税関に提出する通関関係書類をPDF等の電磁的記録により提出することが可能になりました。これにより、書類の印刷や郵送にかかるコストと時間を削減できます。
電子化の主な目的は、ペーパーレス化によるコスト削減と保管スペースの削減です。つまり紙からの脱却が基本です。
参考)電子化とデジタル化の違いとは?メリットや注意点も解説 - ナ…
ただし、電子化しただけでは業務フローそのものは変わりません。PDFで保存しても、その後の処理が手作業のままでは効率化の効果は限定的です。単にデータ形式を変えただけですね。
デジタル化は、アナログ形式の情報をデジタル形式に変換するだけでなく、業務プロセス全体を最適化することを指します。電子化が「変換対象」に焦点を当てるのに対し、デジタル化は「目的」と「活用方法」に重点を置きます。
参考)電子化とデジタル化の違いとは?電子化とデジタル化の違いを解説…
通関業務での具体例を見ると、請求書をスキャンして保存するのが電子化であり、そのデータを会計システムに自動連携して入力作業を省くのがデジタル化です。つまり、電子化はデジタル化の第一歩ということですね。
参考)電子化とは?デジタル化との違い・メリット・導入ステップを徹底…
デジタル化の目的は、電子化したデータを効率的に活用し、業務改善や効率化につながるデジタルツールを導入することにあります。結論は業務変革です。
近年では、電子化もデジタル化の一部として考えられており、紙やアナログ形式のものをデジタルデータに変換することを、まとめてデジタル化と呼ぶこともあります。ただし、実務では両者を区別して理解することが重要です。
NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)は、通関業務の電子申告を実現する基盤システムです。輸出入許可・承認申請、税関申告などが電子的に行え、書類作成、印刷、郵送、保管といった手間が省けます。
NACCSを通じて、税関や関連機関とリアルタイムで情報共有ができるため、迅速な意思決定とスムーズな貿易取引が可能になります。これは単なる電子化を超えた効果です。
ただし、NACCS利用時には注意点があります。整数部と小数部の間は「.(ピリオド)」を入力し、整数部の3桁ごとの「,(カンマ)」は入力しないなど、細かいルールが存在します。入力ミスが申告エラーにつながります。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/05_naccs/04_law/03_tsukan_unyo_tsutatsu.pdf
また、PDF等で提出する書類には、複数の書類を一つのPDFとする場合は向きを統一する、可能な限り書き込み可能なファイルとするなどの留意事項があります。細かいですが重要です。
参考)https://www.customs.go.jp/tokyo/info/paperless2-1_202510.pdf
税関への電子申告におけるPDFファイルの詳細情報は、税関の公式サイトで確認できます。
通関関係書類の電磁的記録による提出に係る事務処理要領(東京税関)
日本通運株式会社では、NECの「関税計算書システム」を全社導入し、AI-OCRによる帳票の自動データ化と関税計算を実現しました。これにより、入力作業の負担が大幅に軽減されています。
このシステムでは、明細などの情報が一覧表示されるため、画面切り替えなどの手間を減らせる効果が非常に大きいと評価されています。視認性の向上が鍵ですね。
デジタル化により通関手続きにかかる時間を大幅に短縮できます。手書きで記入していた書類を電子化し、オンラインで提出できるようにすることで、書類作成や提出にかかる時間を削減できます。
さらに、税関職員による書類の確認や処理も電子化によって効率化され、通関手続き全体のスピードアップにつながります。全体最適化が実現します。
従来の紙ベースのシステムでは、情報がブラックボックス化しやすく、手続きの進捗状況や問題発生時の原因特定が困難でしたが、デジタル化は通関手続きの透明性向上にもつながります。トレーサビリティが向上しますね。
AI-OCR(光学文字認識)は、紙書類からのデータ入力作業を自動化する技術です。通関業務では、多種多様な帳票をAI-OCRで自動データ化し、そのデータを用いて関税計算および申告書作成までをトータルで支援できます。
参考)DX推進で業務効率化を実現!具体的な改善事例や効果的なツール…
Cyber PortのI/Vデータを関税計算書システムに取込み、HSコードの自動判定、関税計算処理を行い、関税申告情報をNACCSに申告することで、データ連携による二重入力の防止が可能になります。これが本当のデジタル化です。
参考)https://jpn.nec.com/logistics_service/tsuukan/cyberport.html
埼玉県狭山市役所では、8課の19業務でRPAを活用し、うち8業務についてはAI-OCRを併用して紙書類からのデータ入力作業を自動化しました。通関業務でも応用できます。
輸出入の少量多品種化が進み、扱う品数が急増する中で、品目の詳細登録情報が同じ画面上で一覧表示され、画面切り替えなどの手間を減らせる効果は非常に大きいのです。業務負担が激減しました。
今後は、AIによるチェック機能やデータ転記機能などを拡充し、通関士が本来注力すべき判断業務に力を注げる環境を構築することが期待されています。専門性を活かせますね。
電子化だけを進めて満足してしまうと、業務効率化の効果が限定的になります。PDFで書類を保存しても、その後の処理が手作業のままでは、紙を電子化しただけで業務フローは変わっていません。これでは意味がないですね。
通関業務では、書類をPDF化してNACCSに提出できても、その前後の作業(データ入力、チェック、関税計算など)が手作業のままでは、全体の処理時間は大きく短縮されません。部分最適に留まります。
デジタル化を電子化と同義と考えてしまうと、システム導入の目的設定が曖昧になります。「デジタイゼーション(Digitization)」「デジタライゼーション(Digitalization)」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」と段階があることを理解する必要があります。
参考)電子化の呼び方はなぜ分かれる? デジタイゼーション、デジタラ…
電子化は既存の紙のプロセスを自動化するなど、物質的な情報をデジタル形式に変換することであり、デジタライゼーションは業務プロセス全体をデジタル技術で変革することです。段階を理解すれば迷いません。
電子化とデジタル化の違いを正確に把握せずに業務改善を進めると、投資対効果が低くなるリスクがあります。電子化は手段であり、デジタル化による業務改善が真の目的だと認識することが重要です。
デジタル化の段階について詳しく知りたい場合は、以下の記事が参考になります。
電子化の呼び方はなぜ分かれる?デジタイゼーション・デジタライゼーション・DXの違い(Tradeshift)