通関審査の日数と審査区分が荷物の行方を決める全知識

通関審査にかかる日数は平均2.6日とされていますが、審査区分や他法令該当の有無、週末の有無によって大きく変動します。通関業従事者として「なぜここまで日数が変わるのか」をきちんと把握できていますか?

通関審査の何日かかるかを左右する全要因と実務対策

週末を挟むだけで、通関審査の日数が平均3.1日も延びて損失が発生します。


この記事の3ポイント要約
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通関審査の平均日数は「条件次第」で大きく変わる

他法令非該当なら平均2.2日、他法令該当なら平均3.6日、週末を含む場合は平均4.4日と、同じ貨物でも状況で所要日数が倍近く変動します。

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審査区分(区分1〜3)が通関スピードの核心

NACCSで申告した瞬間に区分1〜3が決まり、区分1なら即時許可・区分3なら貨物検査で2万〜10万円の検査費用が追加発生するリスクがあります。

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日数を短縮する鍵はインボイスと他法令の事前確認

インボイス記載ミスや他法令の見落としが発覚すると、国際間対応や許可取得だけで数日〜数週間の追加遅延が生じることがあります。


通関審査が何日かかるかの基本データ(輸入・輸出別)

「通関は早ければ1日で終わる」と思っていると、繁忙期に5日以上かかって損失が出ます。


通関審査にかかる日数は、財務省関税局の「輸入手続きの所要時間調査」(第12回・2018年3月)で公式データが示されています。まず大前提として、貨物が日本に到着してから輸入許可が下りるまでの平均所要日数は平均2.6日です。ただし、これは全貨物の平均値であり、実際の現場では条件によって大きく変動します。


輸送手段別で比較すると、海上貨物の場合は入港から輸入許可まで平均2.5日かかります。一方、航空貨物では着陸から輸入許可まで平均0.5日(約12時間) と、海上貨物に比べて圧倒的に速い処理が可能です。さらに通関申告から許可までの純粋な審査時間だけで見ると、海上貨物が2.4時間、航空貨物は0.3時間という数字が出ています。





























輸送手段 入港〜輸入許可(平均) 申告〜許可(純粋な審査時間)
海上貨物(輸入) 2.5日(1〜3日) 約2.4時間
航空貨物(輸入) 0.5日(12時間以内) 約0.3時間
海上貨物(輸出) 3〜5日
航空貨物(輸出) 1〜2日


ここで見落とされがちなのが、輸出通関は輸入通関の倍程度の日数がかかるという点です。海上貨物の輸出通関では3〜5日、航空貨物でも1〜2日の余裕を持って手配する必要があります。輸入ばかりに目がいきがちですが、輸出スケジュールの組み立ても慎重に行うことが基本です。


航空貨物が海上貨物より大幅に速い理由は、空港に税関が常駐して審査をリアルタイムで進められることと、航空機は数時間後に次のフライトが控えているためスピーディーに通関を進める必要があることが背景にあります。つまり、海上貨物はコンテナターミナルの混雑やコンテナヤードへの搬入確認が入るため、本船入港当日に申告が完了しないケースも珍しくありません。


通関手続きにかかる時間はどのくらい?手続きが長くなるケースについてもご紹介(委託運送ニュース)


通関審査の日数を大きく変える「週末・他法令・繁忙期」の3要因

他法令に該当する貨物は、そうでない貨物より通関審査が平均1.4日多くかかります。


通関業従事者が特に把握しておくべきなのが、日数を左右する3つの変動要因です。これらを見落とすと、荷主への説明が後手に回り、クレームや損失保管料が発生します。


① 週末(土日・祝日)を含むかどうか


通関審査の日数は、週末を含む場合と含まない場合で平均3.1日の差が生じます。具体的には、週末を含まない場合の平均は1.3日なのに対し、週末を含む場合は4.4日にまで膨らみます。これはA4用紙1枚よりも薄い書類のやりとりが、週を跨いだだけで処理ラインが3日以上止まるイメージです。税関の窓口業務は基本的に平日(8時30分〜17時)のみで、土日・祝日は原則として通常の申告審査は行われません。EMS(国際スピード郵便)や緊急貨物は例外的に土日も対応しますが、一般の法人貨物はこのルールの対象外です。


週末を挟む日程での入港が見込まれる場合は、荷主に対してあらかじめ日数の見込みを伝えておくのが実務のポイントです。


② 他法令の該当・非該当


食品衛生法植物防疫法動物検疫法など、輸入に関係する「他法令(たほうれい)」は30種類以上に及びます。他法令に該当しない貨物の通関平均は2.2日ですが、該当する場合は3.6日となり、1.4日の差が生まれます。他法令の許可・承認が下りなければ輸入許可自体が下りないため、場合によっては数週間単位での遅延も起こりえます。さらに、申告後に他法令の対象であることが判明した場合は、輸出国への積戻しや廃棄費用が追加で発生するリスクまであります。事前確認が条件です。


③ 繁忙期(年末年始・クリスマス・春節前後)


クリスマスや年末年始は1年で最も輸出入貨物が集中する時期です。税関職員も膨大な数の申告に追われ、書類審査検査が翌日以降に回されることが多くなります。繁忙期には区分3の検査場予約が取れないケース、ドレージやトラックの車両手配が困難なケースも重なり、通常の倍近い日数がかかることも珍しくありません。繁忙期は余裕を持ったスケジュールで対応するのが原則です。


通関手続きにかかる費用と時間の詳細解説(Shippio)


通関審査の日数を決める「区分1・区分2・区分3」の違いと実務影響

区分3になると検査費用が2万円〜10万円追加でかかり、荷主の信頼も失います。


NACCSで輸出入申告を送信した瞬間に、審査区分通関業者に通知されます。この区分は税関のCIS(通関情報総合判定システム)が自動で判定しており、過去の申告実績、申告内容の正確性、輸入者情報などが総合的に評価されます。


区分1:簡易審査(即時許可)


申告と同時に輸入許可が下ります