床面制限を超えた1個口貨物は差し戻しで数十万円の損失です。
航空機の重量制限は、機体構造と燃料搭載量のバランスで決まります。ワイドボディ機のB747F(貨物専用機)は最大100トンまで搭載可能ですが、B777は20トン、B787は10トン程度に制限されます。
参考)https://nippon47.co.jp/column/koukubin-yusousaizu/
どういうことでしょうか?
航空機は貨物重量が増えるほど燃料消費が増加し、輸送距離が遠いほど必要な燃料も多くなります。とくに1個あたり4,500kgを超える比重の大きい貨物は、輸送距離に応じて厳しい制限がかかります。
ナローボディ機のB737やB757は機体幅が狭いため、最大搭載重量は5トン程度です。貨物専用機と旅客機の下部貨物室(ベリー)では搭載可能な貨物サイズも異なり、高さ150cmを超える大型貨物は旅客機への搭載が不可能な場合があります。
参考)航空貨物として輸送できないもの、特別な条件が付くもの:日本
輸送距離と機材の組み合わせを事前に確認すれば、重量オーバーによる差し戻しを防げます。フォワーダーや航空会社に機種と路線を伝えて搭載可否を確認するのが原則です。
航空貨物輸送では、ULD(Unit Load Devices)と呼ばれる専用コンテナやパレットが使用されます。ULDには種類ごとに最大積載重量が設定されており、例えば96インチパレット(PMC)は最大6,800kg、20フィートパレット(PGE)は最大13,600kgまで搭載可能です。
参考)ULD ~世界の物流を支える航空機用コンテナ~ - N-av…
つまり6,800kgが上限です。
航空機に搭載する際には、底辺(接地面積)の面積あたりの最大重量が「床面制限重量」として定められています。B747の場合、Lower DeckおよびMain Deckは約970kg/m²、Main Deck特殊エリアは約1,950kg/m²が目安です。
参考)航空ULDの種類とサイズ|商船三井ロジスティクス株式会社
1個口の貨物が1,100kg以上になると、ULD内で貨物が移動しないようタイダウン(固定)が必要になります。床面制限を超える貨物は搭載できないため、事前に接地面積と重量の比率を計算し、必要に応じてパレット分散や特殊手配を検討します。
参考)航空貨物あれこれ
航空ULDの詳細スペックと搭載制限(商船三井ロジスティクス)
ULDの種類別サイズ・重量制限、機種別搭載可能なコンテナタイプを確認できます。
航空運賃は実重量(Actual Weight)と容積重量(Volume Weight)を比較し、大きい方が課金対象になります。容積重量は以下の計算式で算出します。
参考)航空運賃の計算方法を解説!貨物の実重量と容積重量を正しく計算…
容積重量(kg)= 体積(縦cm × 横cm × 高さcm)÷ 6,000
例えば、縦100cm × 横80cm × 高さ60cmの貨物は、100 × 80 × 60 ÷ 6,000 = 80kgが容積重量です。実重量が50kgでも、容積重量80kgで課金されます。
軽くてかさばる貨物ほど注意が必要です。
輸入時に貨物重量が予想より増えた場合、輸送費や保管費について追加請求が発生することがあります。業界では一般的に3%程度の誤差が許容範囲とされていますが、航空貨物の場合は重量に応じて料金が設定されているため、予定外のコスト負担が生じやすいです。
参考)【通関トラブル回避】輸入時の5トン差200kg問題を解決する…
事前に梱包サイズと実重量を正確に測定し、容積重量を計算しておけば、見積もり段階でコストを正確に把握できます。
爆発性・易燃性のもの、人に危害を与えるもの、機体に損傷を与えるおそれのある物品は危険物として扱われ、輸送できないものと、適切な梱包と数量制限により輸送可能なものがあります。
旅客機による輸送が許可されている危険物は正味重量25kgを限度とし、それに加えて非引火性ガスの場合は正味重量75kgを限度として搭載できます。貨物専用機では一部の危険物について無制限に輸送可能ですが、CAOラベルが貼付された包装物は接近不可能な方法での搭載が求められます。
参考)https://www.jacis.or.jp/image/addendum/addendum_2014-1-j.pdf
リチウムイオン電池単体およびリチウム金属電池単体は、旅客機にて航空貨物として輸送することが禁止されています。貨物専用機では正味量2.5kgまたは35kgの制限内で輸送可能です。
参考)https://www.anacargo.jp/ja/dom/regulations/pdf/index/Lithium_guide.pdf
無申告危険物は航空法違反です。
無申告危険物が混入され目的地まで航空輸送されてしまう事象は、航空機の安全運航を阻害する重大な航空法違反として扱われます。商法改正により、危険物を無申告で発送した場合は法令違反となり罰則の対象となります(商法第572条)。
参考)内容品に航空危険物が含まれていませんか? - 日本郵便
関税法では、許可を受けないで輸出入する等の罪として5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科されます。当該犯罪に係る貨物の価格の5倍が1,000万円を超えるときは、罰金は当該価格の5倍以下とされます。
参考)関税を免れる等の罪、及び許可を受けないで輸出入する等の罪につ…
危険物を扱う際は、IATA危険物規則書(DGR)に基づく適切な梱包・ラベリング・申告を行い、必要に応じてフォワーダーや通関業者に専門的な助言を求めることが不可欠です。
航空貨物として輸送できないもの、特別な条件が付くもの(JETRO)
危険物の定義、梱包要件、機材制限などの公式情報が確認できます。
通関業務では、貨物の重量申告が税関申告内容と一致しない場合、検査対象となりやすくなります。重量の誤差が大きいと、申告内容の信頼性が疑われ、追加検査や書類提出を求められることがあります。
どうなりますか?
通関業者が税関や関税に関する法令に違反したときは、通関業法に基づき財務大臣が通関業の許可の取り消し等の行政処分を行うことができます。荷主側も関税を免れる等の罪で5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金対象となる可能性があります。
参考)『通関業法における「罰則」と「行政処分」』 : 貿易ともだち
輸入通関の取扱料は一件あたり10,000~30,000円程度で、業者によってばらつきがあります。重量差が3%以上になると追加費用が発生しやすく、航空貨物では重量に応じた運賃設定のため、予定外のコスト負担が生じます。
参考)通関代行業者に委託した際の手数料はどれくらい?通関にかかる費…
重量申告の精度を高めるには、出荷前に専用スケールで実重量を測定し、梱包材を含めた総重量を記録することが基本です。また、インボイスや船積書類に記載する重量単位(kgまたはlbs)を統一し、容積重量の計算結果も併記しておくと、航空会社や通関業者とのやり取りがスムーズになります。
通関業務従事者が航空貨物の重量制限を正確に管理するためには、事前の確認作業が欠かせません。以下のチェックリストを活用することで、差し戻しやコスト増のリスクを最小限に抑えられます。
✅ 出荷前の確認項目
✅ 危険物関連の確認項目
✅ 書類・申告の確認項目
業界では3%が許容範囲です。
これらの項目を出荷前にチェックすることで、通関トラブルや追加費用の発生を未然に防げます。とくに危険物や重量物の取り扱いでは、専門知識を持つフォワーダーや通関業者と連携し、最新のIATA規則や航空会社の独自規定を確認する習慣をつけることが重要です。