行政処分企業一覧から見る通関業者の監督処分実態とリスク回避

通関業者に対する行政処分企業一覧から、実際の監督処分事例や処分理由、処分期間の実態を解説します。あなたの業務に影響する処分リスクを知っていますか?

行政処分企業一覧と通関業者の実態

軽微なミスでも71日間の業務停止になります。

この記事でわかる3つのポイント
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通関業者の監督処分の種類と基準

業務停止処分は最長71日間に及び、通関業務の全部または一部が停止される行政処分の実例を紹介

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行政処分企業一覧の確認方法

東京税関など各税関が公表する監督処分の公告情報と、検索可能な公式データベースの活用法

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処分を回避するための実務対策

虚偽申告や保税貨物の不適切な取扱いなど、処分理由の上位事例から学ぶコンプライアンス強化策

行政処分企業一覧で確認できる通関業者の監督処分

通関業者に対する監督処分は、各税関が公式サイトで公告として公開しています。東京税関の「通関業者に対する監督処分の公告」ページでは、処分を受けた企業名、処分日、処分内容、処分理由が一覧形式で確認できます。
参考)https://www.customs.go.jp/tokyo/kou/koukoku16/koukoku16.htm

これらの情報は通関業法に基づいて公表が義務付けられており、処分日から一定期間、誰でも閲覧可能です。金融庁や国土交通省など他の省庁と同様に、財務省管轄の税関も行政処分情報を透明性確保のために公開しています。
参考)各種事業者の行政処分歴を検索する方法を徹底紹介!簡単一括検索…

公表される情報には、処分の種類(業務停止または許可取消)、停止期間、対象となった営業所の数と所在地が含まれます。処分理由については、通関業法違反、関税法違反、虚偽申告などの具体的な違反内容が記載されることが一般的です。​

行政処分の主な種類と処分期間の実例

通関業者に対する監督処分には、主に3つの種類があります。​


  • 業務停止処分(全部または一部):1年以内の期間を定めて通関業務の全部または一部を停止

  • 通関業の許可取消処分:通関業の許可そのものを取り消す最も重い処分

  • 業務改善命令:業務体制の改善を命じる行政指導

実際の処分事例を見ると、2017年に郵船ロジスティクスが9営業所で71日間の通関業務全部停止処分を受けました。処分理由は輸入鮮魚の魚種を偽って申告していたことです。2013年4月から2015年7月までの長期間にわたる虚偽申告が通関業法に抵触すると認定されました。
参考)郵船ロジスティクス/9営業所、71日間の通関業務停止 ─ 物…


2025年にはケイラインロジスティックスが6営業所で51日間の通関業務全部停止処分を受けています。保税蔵置中の貨物数量を超過した状態を隠蔽していたことが関税法違反と判断され、通関業法上の監督処分に至りました。
参考)ケイラインロジスティックス、保税蔵置中の貨物数量超過隠蔽で通…


71日間という処分期間は、通関業務に携わる企業にとって収益への深刻な影響をもたらします。停止処分の効果は通関(申告)業務に限定されるため、フォワーディング業務などは継続できますが、通関という中核業務を失う経済的損失は計り知れません。​

行政処分企業一覧から見る処分理由の傾向

監督処分に至る主な理由を分析すると、いくつかの典型的なパターンが見えてきます。
虚偽申告による処分が最も多い事例です。輸入商品の品名、原産地、数量などを偽って申告する行為は、関税逃れや輸入規制回避の意図があるとみなされます。漁獲証明書が必要な魚種を別の魚種として申告していたケースでは、71日間の業務停止処分となりました。​
保税貨物の不適切な取扱いも重大な違反です。保税蔵置場に保管された貨物の数量管理を怠ったり、数量超過を隠蔽したりする行為は、関税法違反として処分対象となります。ケイラインロジスティックスの事例では、2022年に発生した不適切な貨物取扱いが2024年に通告処分を受け、2025年に監督処分に至っています。
参考)ケイラインロジ、関税法違反による監督処分下る

両罰規定の適用にも注意が必要です。従業員個人が関税法違反で処分を受けた場合、企業も両罰規定に基づいて処分対象となります。個人の不正行為であっても、企業の監督責任が問われるということですね。
税関の取締り状況を見ると、令和5年には通告処分が合計349件実施されています。虚偽申告輸出入事犯は10件で、前年比500%増加という深刻な数字です。
参考)令和5年の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況(令和…

行政処分を受けた企業への実務的影響

通関業務停止処分を受けた企業は、処分期間中に通関申告ができなくなります。つまり輸出入貨物の通関を自社で行えません。
処分の公表により、社会的信用も大きく低下します。企業名が税関のウェブサイトで公告されるため、取引先や荷主が処分事実を知ることになります。行政処分や罰則金額よりも、社会的評価の低下のほうが企業にとって深刻な影響を及ぼすケースが多いです。
参考)ニュース「行政庁の事実誤認で企業名を公表されてしまったら…」…

荷主企業は通関業者を選定する際、過去の行政処分歴を確認するのが一般的になっています。ブラック企業リストなどのデータベースでも行政処分情報は掲載されるため、新規取引の獲得が困難になります。
参考)ブラック企業リスト 1万件以上の違反/処分情報を掲載 - 全…


処分期間中の対応として、他の通関業者に業務を委託する必要が生じます。しかし、急な業務移管は荷主との関係悪化や、物流の遅延リスクを招きます。通関手続きは海上貨物で平均2.5日、航空貨物で0.5日かかるため、業務停止による遅延は荷主の事業計画に直接影響します。
参考)通関手続きにかかる時間はどのくらい?手続きが長くなるケースに…


行政処分リスクを回避するための通関業務体制

監督処分を回避するには、法令遵守の内部管理体制を徹底する必要があります。具体的には以下の対策が効果的です。
申告内容のダブルチェック体制を構築しましょう。通関士が作成した申告書を、別の通関士または管理者が確認する仕組みです。品名、HSコード、原産地、数量などの重要項目は特に注意が必要です。
定期的な社内監査も欠かせません。過去の申告内容を抽出してサンプルチェックを行い、誤りや不適切な申告がないか確認します。監査で問題が発見された場合は、自主的に税関へ報告することで、処分の軽減につながる可能性があります。
従業員教育の実施は基本中の基本です。通関業法、関税法の改正内容を定期的に共有し、コンプライアンス意識を高めます。特に新人や経験の浅い担当者には、違反事例を使った研修が効果的です。
保税貨物管理システムの導入を検討してください。貨物の入出庫をシステムで一元管理することで、数量の不一致や不適切な取扱いを防げます。手作業による管理ミスが減少し、監査証跡も自動的に記録されます。
税関からの問い合わせや調査には、迅速かつ誠実に対応することが重要です。調査協力の姿勢を示すことで、税関との信頼関係を維持できます。

行政処分情報を確認できる公式データベース

通関業者の行政処分情報は、複数の公式サイトで確認できます。定期的なチェックをおすすめします。
各税関の公式サイトが最も確実な情報源です。東京税関、大阪税関、名古屋税関など、各管轄区域の税関が監督処分の公告を掲載しています。東京税関のサイトでは「通関業者に対する監督処分の公告」というページで過去の処分情報が閲覧可能です。​
財務省の関税関連ページも参考になります。全国の税関における関税法違反事件の取締り状況が年次報告として公表されており、通告処分の件数や犯則態様の統計データが確認できます。令和5年の報告では、虚偽申告輸出入事犯の通告処分が10件、関税脱税事犯が37件という数字が示されています。​
行政処分検索ツールの活用も効率的です。ロボロボが提供する「RoboRoboコンプライアンスチェック」などのサービスでは、分野横断的に行政処分歴を一括検索できます。通関業だけでなく、取引先企業の他分野での処分歴も同時にチェック可能です。​
国土交通省が運営する「ネガティブ情報等検索サイト」も便利です。宅建業、建設業などの処分情報と合わせて、物流・運送関連の行政処分も検索できます。処分日から5年間の情報が掲載されているため、取引先の与信調査にも活用できます。​
東京税関の通関業者監督処分公告ページ(処分を受けた企業名と処分内容が確認できる公式情報源)
財務省の関税法違反事件取締り状況(年次統計データと処分件数の推移が掲載)