食品衛生法営業許可不要の業種と届出制度の全体像

食品衛生法では営業許可が不要な業種や届出だけで済む業種があり、通関業務に従事する方にとって輸入業の扱いは特に重要です。知らないと業務に支障が出る可能性はありませんか?

食品衛生法営業許可不要の業種と届出の違い

食品輸入業は営業許可も届出も不要です。

この記事の3つのポイント
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営業許可不要の3パターン

食品輸入業、常温長期保存の包装食品販売業、小規模給食施設(20食未満)などは営業許可も届出も不要。通関業務従事者が扱う輸入食品はこのカテゴリに該当する。

⚖️
許可と届出の明確な区別

飲食店営業や食肉販売業など32業種は営業許可が必要。一方、米穀類販売業や行商など29業種は届出のみで営業可能。リスクレベルで制度が分かれている。

⚠️
違反時の罰則

営業許可が必要な業種を無許可で営業すると2年以下の懲役または200万円以下の罰金。届出漏れも法令違反となり行政処分の対象になる可能性がある。

食品衛生法における営業許可不要の業種の定義


食品衛生法では、公衆衛生に与える影響が少ない営業について、営業許可も届出も不要とする制度があります。令和3年6月の法改正により、営業許可制度が見直され、リスクに応じた3つの区分が明確化されました。
参考)営業許可のいらない食品とは?具体的な品目や食品販売に関する届…


営業許可も届出も不要な業種は、食品衛生上のリスクが極めて低いと判断された以下の6つです。
参考)食品営業の許可・届出


この区分に該当すれば、保健所への手続きは一切不要です。

食品衛生法で輸入業が営業許可不要とされる理由

通関業務従事者が最も関係する食品輸入業は、営業許可も届出も不要な業種に分類されています。これは国際通念として食品等の輸入が原則自由貿易とされているためです。
参考)【コラム】新営業許可と届出制度について | 一般社団法人食品…


ただし、輸入した食品を販売目的で使用する場合は、検疫所への輸入届出が必要になります。食品衛生法第27条により、販売用や営業に使用する食品等を輸入する場合は輸入届出を行う義務があるからです。輸入届出を行わない食品等については、販売または営業上使用することはできません。
つまり、食品輸入業そのものに営業許可は不要ですが、輸入した食品を市場に流通させるには検疫所での輸入届出が別途必要ということです。両者は異なる手続きです。
輸入届出が不要な場合、税関へ輸入申告する際に「確認願」という書類の提出を求められることがあります。これは食品衛生法の輸入届出に該当しない貨物である旨の証明書類です。
参考)https://www.mipro.or.jp/Document/hti0re0000000vi2-att/shokuhinyunyu.pdf

食品衛生法営業許可が必要な32業種の具体例

食品衛生法では、食品衛生上のリスクが高い32業種について営業許可が必要とされています。主な業種は以下のとおりです。
参考)営業許可制度の見直しと営業届出制度の創設について~改正食品衛…



  • 飲食店営業

  • 調理機能を有する自動販売機での販売営業

  • 食肉販売業(未包装品)

  • 魚介類販売業(未包装品)

  • 魚介類競り売り営業

  • 集乳業

  • 乳処理業

  • 複合型冷凍食品製造業

  • 漬物製造業

  • 密封包装食品製造業

  • 食品の小分け業

  • 添加物製造業

これらの業種で営業許可を取らずに営業すると、2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処されます。営業許可には期限があり、更新が必要です。
参考)営業許可のいらない食品とは?営業許可の概要や具体的な品目など…

営業許可を得るには「資格」「施設整備」「HACCPによる衛生管理」の3つの要素で定められた基準を満たす必要があります。食品衛生責任者の資格を持ち、基準を満たした営業施設を整備し、HACCPに沿った衛生管理を実施することが条件です。
参考)【2026年最新】食品販売の許可がいらないケースとは?項目ご…


小分け業については、乳、乳製品(固形物を除く)、清涼飲料水、液卵、酒類の小分けを行う際は製造業と同等の設備が必要なため、各製造業の許可取得が求められます。食中毒のリスクが高いためです。​

食品衛生法で届出のみで済む29業種とは

営業許可が不要で届出のみで営業可能な業種は29業種あります。これらは食品衛生上のリスクが低いと判断された業種です。
参考)届出だけで営業可能?今さら聞けない食品衛生法改正ポイント -…


主な届出対象業種は以下のとおりです。
参考)千葉市:食品衛生法改正後の食品営業の届出制度について



  • 米穀類販売業

  • 行商業

  • 冷凍・冷蔵倉庫業

  • 集団給食施設(1回20食程度以上)

  • 包装済み食品の販売業(温度管理が必要なもの)​

  • 合成樹脂製の器具・容器包装の製造・加工業​

  • 露店、仮設店舗等における飲食の提供(営業とみなされないもの、届出は任意)​

届出制度は令和3年6月1日に新設されました。それ以前は許可が不要だった業種も、リスクに応じて届出が必要になったケースがあります。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/11131500/000739154.pdf


届出のみで済む業種であっても、HACCPに沿った衛生管理の実施は求められます。届出を行う際には、必要な衛生基準を満たしていることを証明する必要があります。
調理機能を有する自動販売機のうち、自動洗浄装置等の危害防止機能がある屋内設置の機種は、例外的に営業届出の対象となります。一方、そうした高度な機能を有していない機種や屋外設置の機種は営業許可の対象です。​

通関業務における食品衛生法営業許可不要の実務上の注意点

通関業務従事者が食品輸入を扱う際、営業許可は不要ですが、検疫所での輸入届出と税関での輸入申告は別の手続きとして必要です。混同しないよう注意してください。
参考)https://www.digima-japan.com/knowhow/world/16811.php


輸入届出の流れは以下のとおりです。
参考)はじめての食品輸入マニュアル【手続きやルールを徹底解説】



  1. 輸入したい商品が輸入可能かどうか検疫所(食品監視課)に確認する​

  2. 問題なければ成分表や食品等輸入届出書を記載して提出する​

  3. 食品衛生監視員が届出内容と検査の必要性を審査する​

  4. 検査が不要な場合は、すぐに輸入手続きを進められる​

加工食品等で初めて輸入されるものは、製造者名の記載された商品説明、または輸入者が確認の上作成した書類が必要です。準備しておきましょう。​
輸入届出が不要なケースでも、税関へ輸入申告する際に「確認願」を提出するよう求められる場合があります。これは食品衛生法の輸入届出に該当しない貨物である旨を証明するためです。​
また、輸入業は営業許可不要ですが、輸入した食品を国内で販売する際は別途、販売業としての許可や届出が必要になる場合があります。常温長期保存の包装食品の販売なら不要ですが、温度管理が必要な包装食品の販売は届出対象です。販売形態によって要件が変わることを覚えておけばOKです。​
厚生労働省「食品等輸入手続について」では、輸入届出の詳細な手順や必要書類が確認できます
厚生労働省「営業届出が必要になる場合があります!」では、令和3年6月の法改正後の許可・届出制度の全体像が図解されています




平成30年食品衛生法等改正の解説: 逐条解説・段階施行対応版