クレーム意味フランス語|通関業務での誤解と正しい使い方

通関業務で使う「クレーム」はフランス語のcrèmeではなく英語のclaimが語源。貿易現場では苦情ではなく損害賠償請求の意味で使われます。誤解すると重大なトラブルに発展することをご存知ですか?

クレーム意味フランス語由来と通関業務

通関業務で「クレーム」を「フランス語のクリーム」だと思っていると、賠償請求を見逃して数十万円の損失を負います。


この記事のポイント
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クレームの語源は英語claim

フランス語crème(クリーム)ではなく、英語の「損害賠償請求」を意味する言葉

⚖️
通関・貿易での意味は「権利主張」

単なる苦情ではなく、契約不履行や損害に対する法的な補償要求

⚠️
誤解すると金銭的損失のリスク

運送クレーム・貿易クレームを見逃すと補償を受けられない可能性

クレームのフランス語crèmeと英語claimの違い


通関業務や貿易取引で使われる「クレーム」という言葉は、フランス語の「crème(クレーム)」とは全く関係ありません。フランス語の「crème」は生クリームやカスタードクリームなどの乳製品を指す言葉で、カフェ・クレーム(コーヒーにクリームを入れたもの)やクレーム・ブリュレ(焦がしたクリームのデザート)など、菓子や飲料の名称として使われています。


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一方、通関業務で使われる「クレーム」は英語の「claim」が語源です。この英語のclaimは、ラテン語の「clamare(叫ぶ)」から派生した言葉で、「要求する」「主張する」「権利を主張する」という意味を持ちます。つまり、フランス語の「クリーム」と英語の「権利主張」は、発音が似ているだけで意味は全く異なるということですね。


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日本で一般的に使われる「クレーム=苦情」という意味も、実は英語圏では通じません。英語で苦情を表すのは「complaint」であり、claimは「損害賠償請求」や「所有権の主張」を意味するため、空港の手荷物受取所が「baggage claim」と呼ばれるのもこの意味からです。


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フランス語と英語の違いを理解しておかないと、通関書類や貿易通信でのコミュニケーションエラーにつながります。特に通関業務従事者は、フランス語圏との取引でcrèmeとclaimを混同しないよう注意が必要です。


通関業務におけるクレーム(claim)の正確な意味

通関業務や貿易取引における「クレーム」は、単なる苦情ではなく法的な意味を持つ重要な概念です。貿易の文脈では、claimは「損害賠償請求をする」「(自信を持って権利や遺産などを)主張する」「(当然のこととして)要求する」という意味で使われます。


具体的には、被った損害を説明して、その損害に対して責任のある相手に補償を要求する行為を指します。例えば、機能に不備のある商品を購入した際に、製造者や販売者に不良品を正常な製品と交換してもらうための交渉や、輸入貨物が破損していた場合に運送会社へ補償を求める行為などが該当します。


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通関業務の現場では、この「クレーム」を正確に理解していないと重大なミスにつながります。というのも、貨物に損傷や破損が見受けられた場合、運送規約の免責条項などを理由に「こちらには非がない」と主張されることが多いためです。このとき、正式にクレーム(申し立て)を入れなければ、補償を受ける権利を失う可能性があります。


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損害賠償請求としてのclaimには時効があります。運送会社への申し立てや取引相手への契約不履行の指摘は、発見後速やかに行う必要があり、期限を過ぎると請求権が消滅するリスクがあるため注意が必要です。


クレーム(claim)が発生する3つのケースと対処法

貿易・通関業務において発生するクレームは、大きく分けて「運送クレーム」「貿易クレーム」「マーケットクレーム」の3種類に分類されます。


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運送クレームは、輸送時に積載していた荷物が傷ついたり破損したりした際、貨物の運送人に責任が認められる場合に、インポーターが航空会社や船会社に対して申し入れるものです。保管ミスによる商品の品質低下や、輸送時の乱暴な取り扱いによる商品の破損などが具体例として挙げられます。この場合、貨物到着後速やかに損傷の証拠写真を撮影し、運送会社に書面で通知することが原則です。
貿易クレームは、届いた品物の品質が異なっていたり不良品だったりした場合、または数量が不足している、梱包が予定されていたものと異なっているといった契約不履行が起きた場合に取引相手へ申し立てるものです。品質検査の結果を文書化し、サンプルとの相違点を明確にして取引相手に提示することが重要になります。
マーケットクレームは、市場価格の変動により損失が発生した場合に申し立てるもので、三つの中で最も立証が難しいタイプです。取引相手から「市場リスクは買主負担」と拒否されるケースも多く、契約書に価格変動リスクの負担について明記されていない場合は請求が困難になります。​
これらのクレームに備えるには、契約書に責任範囲と補償条件を明記しておくことが不可欠です。特に通関業務従事者は、輸入者に対してクレーム申し立ての期限や必要書類について事前に説明し、証拠保全の重要性を伝える役割を担っています。


通関業務でのクレーム誤用による実務トラブル事例

通関業務の現場では、「クレーム」の意味を誤解したことによる実務トラブルが少なくありません。最も多いのは、貨物の破損や不良を発見したにもかかわらず、単なる「苦情」として処理してしまい、正式な損害賠償請求(claim)の手続きを怠るケースです。


ある輸入業者は、通関後に検品した際に商品の一部が破損していることを発見しました。しかし、担当者が「クレーム」を単なる不満の表明だと捉え、運送会社に電話で伝えただけで書面による正式な申し立てを行いませんでした。その結果、運送会社は「正式な請求を受けていない」として補償を拒否し、数十万円の損失を被ることになりました。運送クレームは発見後すぐに書面で通知するのが基本です。

また、通関書類の不備によるトラブルも頻発しています。インボイスやパッキングリストに記載された数量・重量・単価の転記ミス、HSコード(税番)の誤りなどは、通関遅延だけでなく、後に取引相手からのクレーム(契約不履行の主張)につながる可能性があります。特に原産地証明書の不整合により、EPA税率(安価な関税)が適用できなかった場合、輸入者から通関業者に対して損害賠償請求が行われるケースもあります。

信用状(L/C)取引における貸渡し(Trust Receipt)の誤解も、法的トラブルに発展しやすい事例です。発行銀行が輸入貨物に対して譲渡担保権を設定しているにもかかわらず、輸入者が無断で第三者に転売してしまうと、銀行から輸入者に対して損害賠償請求が行われます。このようなトラブルを防ぐには、T/R(貸渡し)の法的性質を理解し、銀行との合意内容を厳守することが条件です。


参考)【論稿】輸入ユーザンスと発行依頼人(買主/輸入者)の倒産


通関業務従事者は、クレームの法的意味を正確に理解し、輸入者に対して適切なアドバイスを行う責任があります。特に貨物の損傷発見時には、証拠写真の撮影と書面による申し立てを速やかに行うよう指導することが、トラブル回避につながります。


クレームの語源と通関業務での独自の使われ方

クレーム(claim)という言葉の語源を辿ると、ラテン語の「clamare(叫ぶ)」に行き着きます。古代ローマでは、市場や公共の場で権利を主張する際に大声で叫んだことから、「clamare」が「主張する」「要求する」という意味を持つようになりました。この語源からも分かるように、claimは本来「強く主張する」という積極的な行為を指す言葉です。


英語のclaimは、この語源を受け継ぎ「~と主張する」「(所有権などの権利)を主張する」という意味で使われています。例えば、「He claims that he has nothing to do with it.(彼はそれとは無関係だと主張している)」のように、自分の立場を明確に表明する際に用いられます。

日本の通関業務における「クレーム」の使われ方は、英語圏や他の国とは異なる独自の発展を遂げています。一般の日本語では「苦情」という意味で使われることが多いのですが、貿易・通関の専門分野では「損害賠償請求」という本来の英語の意味に近い使い方がされています。


興味深いのは、韓国などアジアの貿易業界でも、日本と同様に「claim(클레임)」という言葉が使われている点です。韓国の貿易実務では、「market claim(マーケットクレーム)」のように、日本の貿易用語と共通する表現が見られます。これは、アジア地域での貿易実務が歴史的に共通の発展を遂げてきたことを示しています。


参考)GOING TO THE FLOW : 네이버 블로그

通関業務従事者にとって重要なのは、この言葉が持つ法的な重みを理解することです。単なる「不満の表明」ではなく「法的根拠に基づく補償要求」としてのclaimを正確に扱うことで、輸入者の権利を守り、不要な損失を防ぐことができます。語源を知ることで、この言葉の持つ本来の力強さと法的意義が理解できますね。


通関業務の現場では、claimという言葉を使う際に、その背景にある法的な意味と手続きの必要性を常に意識することが求められます。フランス語の「クリーム」との混同を避け、英語の「権利主張」という本来の意味を踏まえた対応が、プロフェッショナルとしての基本姿勢です。




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