事前審査の申告をしても「アスファルト」の品目次第では関税ゼロどころか約3%の課税が追加され、後から修正申告で数十万円の追徴を受けるケースがあります。
「事前審査制度」という言葉は、通関業務の文脈と公共工事の文脈でまったく異なる制度を指します。これが混同の原因です。
税関が運用する事前教示制度(関税法第7条第3項)は、輸入予定貨物の関税分類や関税率について、輸入申告前に文書で照会し、文書回答を受ける制度です。 一方、国土交通省が整備したアスファルト混合物事前審査制度は、アスファルト混合所から出荷される混合物の品質を第三者機関が事前に認定し、工事ごとの試験練りを省略できる制度です。 管轄が「税関」か「地方整備局」かという根本的な違いがあります。 customs.go(https://www.customs.go.jp/zeikan/pamphlet/panphlet_bunrui.pdf)
通関業従事者が直接関与するのは前者、つまり税関の事前教示制度です。後者は施工会社・道路建設業者の業務であり、通関士証書の業務範囲外の話になります。結論は「制度名が同じでも管轄と対象が全然違う」です。
アスファルト輸入案件を担当する際にこの2つを混同すると、申告根拠の説明ができなくなり、審査官に対して不必要な疑義を持たれるリスクがあります。事前教示回答書(税関様式C第1000号)の有無だけを実務上の確認軸にしてください。 kanzei.or(https://www.kanzei.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/20260324.pdf)
アスファルトの輸入で最もトラブルが多いのが、HS番号の選択ミスです。厳しいところですね。
まず大前提として、アスファルトは第27類「鉱物性燃料及び鉱物油並びにこれらの蒸留物、歴青物質並びに鉱物性ろう」に分類されます。 具体的には以下のように分かれます。 tsukanshi(https://tsukanshi.com/hscode/chapter/27/)
tsukanshi(https://tsukanshi.com/hscode/code/4635/)
問題は「混合物かどうか」という判断です。2713番と2715番では税率区分が変わることがあり、輸出国で製造された「アスファルト系防水材」や「カットバックアスファルト」が2715番に該当するケースを2713番で申告してしまう事例があります。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/data/27r.pdf)
実務上の確認ポイントを整理します。
kanzei.or(https://www.kanzei.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/20260324.pdf)
石油アスファルト(2713.20)は関税定率法上、基本税率が無税またはWTO税率で3%前後に設定されているケースがあります。 申告番号を一つ間違えるだけで、数十トン単位の輸入では数十万円単位の税額差が生じます。これは使えそうです。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tariff/2022_01_01/data/j_27.htm)
事前教示制度は、輸入者にとって最も強力な「後から課税トラブルにならないための保険」です。 手順は次のとおりです。 customs.go(https://www.customs.go.jp/zeikan/pamphlet/panphlet_bunrui.pdf)
【ステップ1】照会書の作成
税関様式C第1000号(文書照会書)に、商品名・成分・用途・製造方法・仕様書等を添付して管轄税関へ提出します。アスファルト系貨物の場合、成分配合比やメーカーの技術仕様書(SDS)が重要な添付資料です。
【ステップ2】対象外貨物に注意
以下に該当する貨物は事前教示の対象外です。 kanzei.or(https://www.kanzei.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/20260324.pdf)
つまり「入港後に申告しながら並行して教示を求める」は認められません。事前、が原則です。
【ステップ3】回答内容の確認と有効活用
回答には原則として3年間の有効期間があります。同一商品の反復輸入であれば、一度取得した回答書を継続的に利用できます。ただし仕様変更があった場合は再照会が必要で、古い回答書をそのまま使い続けると、審査官から仕様変更の説明を求められる場面が出てきます。
回答書は輸入申告書の根拠資料として保存しておくことが原則です。
通関業者が「アスファルト混合物事前審査制度」に注目すべき場面があります。それは輸入したアスファルト原料が国内で混合処理され、公共工事向けに納入されるケースです。意外ですね。
国土交通省の制度では、アスファルト混合所が審査機関の認定を取得すると、工事ごとの試験練りが省略されます。 この認定を受けた混合所に原料アスファルトを納入している輸入業者がいる場合、通関業者としても次の点を認識しておく必要があります。 dohkenkyo.or(https://www.dohkenkyo.or.jp/nintei/index.htm)
ktr.mlit.go(https://www.ktr.mlit.go.jp/gijyutu/gijyutu00000080.html)
つまり、輸入通関業者が「品質認定のスケジュール」を意識しておくと、荷主との信頼関係が格段に向上します。「通関だけやっておけばいい」という考え方を超えた付加価値が提供できます。これが条件です。
実際に北陸地整や関東地整など各地方整備局がアスファルト混合物事前審査委員会を設置して審査業務を行っており、対応する輸入原料の品質基準も地域によって細かく異なります。 cbr.mlit.go(https://www.cbr.mlit.go.jp/kikaku/asphalt/index.htm)
輸入申告時に審査官が税番に疑義を持った場合、品目分類協議(関税法基本通達7-22)に移行します。 この協議中は許可が下りず、保税地域での保管が続き、保管料が日次で発生します。 kanzei.or(https://www.kanzei.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/20260324.pdf)
品目分類協議に発展しやすいアスファルト系貨物の特徴をまとめると。
関税率表解説(第27類注釈)では、「歴青質材料を含有する岩石は第25類の頁岩及び砂岩類として分類」される場合があることが示されています。 同じ「アスファルト」という言葉がインボイスにあっても、形態と加工度によって分類が大きく変わるということですね。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/index.htm)
対策は一つです。疑義が生じそうな貨物については、輸入申告前に文書による事前教示を取得しておくことです。これにより、万が一協議に発展しても「事前教示回答書に基づき申告」という根拠が明確に示せます。事前教示の文書回答は、審査官への説明において非常に大きな説得力を持ちます。
税関の事前教示申請窓口は各税関の業務部通関総括部門が担当しており、大阪税関であれば06-6576-3313が問い合わせ先です。 まず口頭で相談し、文書照会が必要と判断されれば書面申請に移行するのが実務上スムーズなフローです。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1108_jr.htm)
アスファルト関連貨物は一見シンプルに見えますが、形態・用途・配合の違いによって複数の類にまたがる可能性がある「分類リスクの高い品目」のひとつです。事前教示制度を使いこなせる通関業者こそが、荷主から長く信頼される存在になれます。
参考資料:アスファルト関連貨物の関税率表第27類の分類解説(税関)
関税率表解説 第27類(税関公式PDF)
参考資料:アスファルト混合物事前審査制度の仕組み・認定手続き(国土交通省 関東地方整備局)
アスファルト混合物事前審査制度 | 関東地方整備局 技術情報
参考資料:事前教示制度(品目分類)の基礎と実務(日本関税協会)
品目分類について(日本関税協会)