向精神薬一覧厚生労働省指定の輸入通関実務

向精神薬の一覧と厚生労働省指定品目を確認し、通関業務従事者が知っておくべき輸入手続きや記録保管義務を解説します。自己治療目的でも数量超過で違法になることをご存知ですか?

向精神薬一覧厚生労働省指定と通関実務

第3種向精神薬は記録義務がないから安心、と思っていませんか?

📋 この記事でわかること
💊
向精神薬の種類分類

第1種から第3種までの厚生労働省指定品目と規制内容

📝
通関時の手続き要件

輸入時に必要な届出書類と証明書の準備方法

⚠️
通関従事者の注意点

記録保管義務と違反時の罰則リスク

向精神薬一覧と第1種から第3種の分類基準


向精神薬は、麻薬及び向精神薬取締法により第1種、第2種、第3種の3段階に分類されています。この分類は薬物の依存性や乱用リスクの程度に基づいて設定されており、通関業務従事者はこの区分を正確に把握しなければなりません。
参考)https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/dl/kouseishinyaku_02.pdf


第1種向精神薬には、メチルフェニデート(リタリン、コンサータ)、モダフィニル(モディオダール)、セコバルビタール(アイオナール)などが指定されています。これらは中枢興奮作用や強力な催眠鎮静作用を持つため、最も厳格な管理が求められます。
参考)向精神薬一覧

輸入時の規制が最も厳しい分類です。
第2種向精神薬には、フルニトラゼパム(サイレース、ロヒプノール)、ペンタゾシン(ソセゴン)、アモバルビタール(イソミタール)など、催眠鎮静薬や鎮痛薬が含まれます。これらは第1種ほどではないものの、依存形成のリスクが高いため、譲受・譲渡の記録義務が課されています。
第3種向精神薬は最も広範で、トリアゾラム(ハルシオン)、ブロチゾラム(レンドルミン)、ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)など、一般的な抗不安薬や睡眠薬の多くが該当します。マジンドール(サノレックス)などの食欲抑制剤も含まれます。

向精神薬輸入時の通関手続きと必要書類

向精神薬を業として輸入する場合、厚生局に業務届を提出し、麻薬等原料輸入業者業務届受理証明書を取得する必要があります。この証明書は通関時に税関へ提示する必須書類となり、常に保管しておかなければなりません。
参考)https://www.fedex.com/content/dam/fedex/apac-asia-pacific/pdfs/IMP-DRUG.pdf


特定麻薬向精神薬原料を輸入する場合は、業務届受理証明書に加えて、輸入の都度、厚生局受理印が押印された麻薬等原料輸入届を提出する必要があります。届出は別記第39号様式で行い、厚生局の受理印を押した届出書の副本が返戻されるため、これを通関証明書として使用します。
参考)https://www.ncd.mhlw.go.jp/dl_data/material/report.pdf


通関前に必ず準備しておくべき書類です。
業以外での輸入、つまり個人が自己の治療目的で向精神薬を輸入する場合も、各原料に定められた量を超える場合には厚生局受理印付きの麻薬等原料輸入届が必要です。定められた量以下であれば届出は不要ですが、厚生局の受付印が必要になる場合があります。​
携帯輸入の場合、自己の疾病治療のために特に必要であることを証明する書類を出入国時に携帯することが求められます。ただし、知人に託したり郵便で送ったりすることはできず、患者本人が携帯して出入国する場合のみ認められます。
参考)医療用麻薬・覚醒剤原料・向精神薬を携帯して海外へ渡航する際の…

厚生労働省「薬局における向精神薬取扱いの手引」では、向精神薬の種類別規制と記録方法が詳細に記載されています

向精神薬輸入の記録義務と2年間保存ルール

第1種及び第2種向精神薬を譲り受け、譲り渡し、または廃棄したときは、品名(販売名)、数量、年月日、相手方の営業所等の名称を記録し、記録の日から2年間保存しなければなりません。
参考)https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/hokeniryo/r0507_tebiki_kousei__2


2年間の保存が法律で義務付けられています。
記録の様式は、帳簿、カード、伝票など、必要事項が記載されていればどのような形式でも構いません。相手方が特定の者に限られている場合は、一覧表を作成してそこへ記載する方法も認められています。
参考)https://www.pref.chiba.lg.jp/yakumu/yakubutsu/mayaku/toriatsukai/documents/24kouseisin2.pdf


第3種向精神薬については法律上の記録義務はありませんが、在庫管理の観点から譲受について記録し、伝票を整理して管理することが望ましいとされています。通関業務従事者がこの区別を理解していないと、第3種だからと記録を一切取らず、後の立入検査で指導を受けるリスクがあります。
通関時に提出した業務届受理証明書の副本は、立入検査の際に提示を求められるため大切に保管しておく必要があります。業務廃止時には、業務廃止届を提出すると同時に業務届副本と業務届受理証明書を返納しなければなりません。​

向精神薬通関業務における違反リスクと罰則

向精神薬の不正輸入や手続き違反には、厳しい罰則が設定されています。向精神薬の輸入・輸出・製造については5年以下の懲役、営利目的の場合は7年以下の懲役となり、200万円以下の罰金が併科されることもあります。
参考)麻薬及び向精神薬取締法違反

営利目的なら最大7年の懲役です。
記録義務違反の場合、20万円以下の罰金が科されます。通関業務従事者が記録を怠った場合、たとえ第1種や第2種の向精神薬であっても、この罰則の対象となります。​
処方箋の偽造・変造を見逃した場合も重大です。偽造された向精神薬処方箋により向精神薬を交付した場合、向精神薬事故届を速やかに管轄の保健所等に提出しなければなりません。他人の印章を使用して文書を偽造した者は3月以上5年以下の懲役、偽造文書を行使した者も同様の刑罰が科されます。​
税関で止められた場合、麻薬及び向精神薬取締法の「輸入」は既遂となりますが、関税法の「輸入」は未遂となります。つまり、通関手続き中に発覚しても、法律上は輸入行為が完了したと見なされるため、通関業務従事者は事前の書類確認を徹底する必要があります。​
厚生労働省「病院・診療所における向精神薬取扱いの手引」には、向精神薬の種類別一覧と譲受・譲渡の記録方法が掲載されています

向精神薬の自己治療目的輸入における数量制限の盲点

通関業務従事者が見落としやすいのが、自己治療目的での向精神薬携帯輸入における数量制限です。患者本人が疾病治療のために向精神薬を携帯して出入国する場合、一定量以下であれば手続き不要とされていますが、その「一定量」を超えた場合、入国時に厳格な手続きが必要になります。
参考)麻薬、向精神薬及び医薬品である覚醒剤原料の携帯輸出入許可申請…

数量超過は違法行為になります。
注射剤以外の向精神薬については、携帯する総量が表に示す量以下であれば手続き不要ですが、量を超える場合は入国時に必要な手続きを踏まなければなりません。この「表に示す量」は向精神薬の種類ごとに異なるため、通関業務従事者は事前に確認する必要があります。​
2020年4月1日から覚醒剤原料の携帯輸出入が可能になりましたが、これも医師の処方がある場合に限られます。海外から日本へ向精神薬を持ち込む場合、上記手続き以外に別途手続き(薬監証明)が必要な場合があるため、厚生局や税関への事前確認が不可欠です。​
向精神薬の処方制限も近年強化されています。2018年度の診療報酬改定では、向精神薬の多剤投与制限が強化され、種類数の厳格化や処方日数制限が設けられました。外来レセプトの61.8%、調剤レセプトの57.0%で催眠鎮静薬・抗不安薬のみの処方が行われており、投与期間22日以上の処方が8割超を占めています。
参考)向精神薬の処方制限を2018年度改定で強化、薬剤種類数に加え…

通関時にこれらの処方内容を確認し、不自然に大量の向精神薬が持ち込まれていないかをチェックすることも、通関業務従事者の重要な役割です。特にベンゾジアゼピン系向精神薬は、承認用量の範囲内であっても長期連用により薬物依存が生じるため、輸入数量と処方日数の整合性を確認する必要があります。​




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