ロイヤルティロイヤリティ違い意味と用語を通関業務で正しく使う

ロイヤルティとロイヤリティは発音が似ているため混同されがちですが、通関業務では全く異なる意味を持つ重要な用語です。一方は課税価格に影響し、もう一方は権利使用料として輸入コストを左右します。あなたは正しく使い分けられていますか?

ロイヤルティロイヤリティ違い

ロイヤルティ支払いを怠ると追徴課税される

3ポイントで理解するロイヤリティとロイヤルティ
📝
英語表記と意味

ロイヤリティ(Loyalty)は忠誠心や愛着、ロイヤルティ(Royalty)は特許権や商標権の使用料を意味する

💰
通関業務での重要性

ロイヤルティは課税価格への加算判断が必要で、条件を満たすと関税額に直接影響する

⚖️
加算要件の3つの条件

輸入貨物に係るもの、輸入取引をするために支払うもの、買手が直接または間接に支払うものの3条件すべてが必要

ロイヤリティとロイヤルティの英語表記と発音


ロイヤリティとロイヤルティは、英語表記も発音も異なる別の単語です。


参考)ロイヤリティとは?ロイヤルティとの違い、ビジネスにおける意味…

ロイヤリティは「Loyalty」と表記され、発音記号はlɔ́iəltiとなります。意味は忠誠心、帰属意識、コミットメントです。ビジネスシーンでは「顧客ロイヤリティ」や「従業員ロイヤリティ」という形で、ブランドや企業への愛着を表す際に使われます。

一方、ロイヤルティは「Royalty」と表記され、発音記号はrɔ́iəltiです。意味は権利、王族、特許権や商標権などの知的財産権の使用料を指します。通関業務では、このロイヤルティが課税価格に影響するため極めて重要です。


参考)ロイヤリティとは?ロイヤリティとの違いやそれを高めるメリット…


つまり基本です。


日本語では似た音になるため混同されやすいものの、通関書類や契約書では必ず「Royalty」という英語表記を確認することで、権利使用料を意味するロイヤルティであることを判別できます。LoyaltyとRoyaltyを区別せずに使うと、税関手続きで誤解を招く恐れがあります。


参考)ロイヤリティとは?ビジネスにおける意味、ロイヤルティとの違い…

ロイヤルティの通関業務における意味

ロイヤルティは、特許権意匠権商標権などの知的財産権を使用する対価として、権利所有者に支払う金額を指します。


通関業務では、このロイヤルティが輸入貨物の課税価格に加算されるかどうかの判断が必須です。関税定率法第4条第1項第4号により、一定の条件を満たすロイヤルティは、インボイス価格に含まれていなくても課税価格に加算しなければなりません。


参考)輸入申告時ロイヤルティは課税価格に加算?

加算が必要なのはどういうことでしょうか?
例えば、商標権者A社の子会社から商標付き商品を輸入し、買手がA社とライセンス契約を結んでロイヤルティを支払う場合、そのロイヤルティは課税価格に加算されます。また、売手の持つ特許製法を使った材料を含む商品を輸入し、ロイヤルティを支払わなければ輸入できない契約の場合も加算対象です。

ロイヤルティはインボイス価格に含まれないケースが大半なので、見落として申告すると事後調査で追徴課税となることが多いそうです。輸入者は契約内容を精査し、ロイヤルティの支払いがあれば通関業者に必ず伝える必要があります。


参考)ロイヤルティは輸入取引との関連があるかどうか


ロイヤルティ加算の3つの条件

ロイヤルティを課税価格に加算するには、関税定率法で定められた3つの条件すべてを満たす必要があります。

1つ目は「輸入貨物に係るもの」であることです。これは、輸入する商品が商標を付したものである、特許製法で製造された材料を含む、意匠権の対象となるデザインを使用しているなど、輸入貨物と知的財産権に関連性がある場合を指します。


参考)https://www.semanticscholar.org/paper/1295c1ce7d9b4936acd6de9fa923f330455f83b3


2つ目は「輸入貨物の輸入取引をするために支払われるもの」です。通達では「買手が当該対価を特許権者等に支払わなければ、実質的に当該輸入貨物に係る輸入取引を行うことができないこととなる又は行われないこととなるもの」と規定されています。つまり、ロイヤルティを払わないと輸入取引が成立しない関係にあることが条件です。


3つ目は「買手により直接または間接に支払われるもの」であることです。ライセンサーが売手と同一でも第三者でも、所在国や特殊関係の有無にかかわらず、買手が支払う限り該当します。

3つが条件です。


判断は売買契約やライセンス契約の内容、取引実態などを総合的に考慮して行います。1つでも条件を満たさなければ、ロイヤルティは課税価格に加算されません。


ロイヤルティ加算が不要なケース

すべてのロイヤルティが課税価格に加算されるわけではなく、条件を満たさない場合は加算不要です。


代表的な例として、買手が親会社である商標権者と「ロイヤルティ契約」を結び、グループに属することで得られる無形の経済的利益の対価として支払うケースがあります。この場合、商標を使用するか否か、製品を輸入するか国内調達するかに関わらず一定額を支払う契約であれば、ロイヤルティは輸入取引をするために支払う費用ではないと認められます。

加算不要ということですね。


また、ライセンサーと製造者の関係性が認められず、ライセンス契約が製造者に直接行使できない場合も加算対象外です。つまり、ロイヤルティの支払いが売手と買手の輸入取引に影響しない状況では、課税価格に加算しません。


参考)https://www.semanticscholar.org/paper/42b30fa202627b51cd0177bdecd66988a729e3b1


さらに、買手が仕入先を商標権者の指示によらず自由に指定でき、売手がロイヤルティ支払いを関知していない場合も加算不要です。売手と商標権者の間に特殊関係や下請関係がなく、売手が商標の使用許諾を受けていない事実があれば、商標権者は輸入取引に関与していないと判断されます。

横浜税関の事前照会回答では、このような条件下で支払われるロイヤルティは課税価格に算入されないと明示されています。輸入者は契約の実態を正確に把握し、加算の要否を適切に判断する必要があります。

ロイヤリティとエンゲージメントの違い

ロイヤリティとエンゲージメントは、どちらも顧客や従業員との関係性を表す用語ですが、意味は異なります。


参考)ロイヤリティとは?ビジネスでの意味やロイヤルティとの違い・メ…

ロイヤリティは、組織やブランドに対する忠誠心や愛着のことです。例えば、顧客が他の選択肢がある中でも特定のブランドを選び続ける行動がロイヤリティに該当します。感情的なつながりに基づく概念であり、長期的な関係性を重視します。


参考)スマレビ HR ONLINE


一方、エンゲージメントは行動や関与の度合いを測るものです。顧客がどれだけ積極的に企業の商品やサービスに関わっているか、従業員がどれだけ仕事に熱意を持って取り組んでいるかを示します。

違いは明確です。


ロイヤリティには、自発的で積極的な行動から受動的に近い妥協的な行動まで5つの思考段階があります。同等の選択肢が市場に存在しない場合、顧客は選ばされているだけでロイヤリティが生まれにくくなります。また、時間的・金銭的犠牲や発生リスクを理由とした妥協的選択も、真のロイヤリティとは言えません。

企業がロイヤリティを高めるには、単なる習慣化や惰性による選択ではなく、顧客が本当に価値を感じて自発的に選ぶ状況を作ることが重要です。

税関のロイヤルティ加算に関する事前照会回答(横浜税関の公式見解)
元通関士による実務的なロイヤルティ課税価格加算の解説




ロイヤリティ 5ml