通関業者でも、荷主の申告内容に偽りがあれば同罪に問われます。

無許可輸入とは、輸入の許可(関税法第67条)を受けるべき貨物について、正規の許可を取得せずに貨物を国内に持ち込む行為を指します 。具体的には、①許可なく貨物を輸入した場合、②税関申告・検査の際に偽った申告・証明をした場合、または偽の書類を提出して輸入した場合が該当します 。通関士・通関業者の立場からは、輸入者から受け取った書類の正確性を確認する義務があり、これを怠ると間接的な責任を問われる可能性があります。 aog-partners(https://aog-partners.com/kanzeiwomanugarerunadonotumioyobikyokawoukenaideyusyutunyusurunadonotuminituite/)
関税法67条では、輸出入には必ず税関長の許可が必要と定められています。これが原則です。
この「許可」はただの行政手続きではなく、国内への物品流入をコントロールするための根幹となる仕組みです。輸入禁制品(麻薬・銃器・偽造品など)のチェックから始まり、他法令(薬機法・植物防疫法・食品衛生法など)の遵守確認もすべてこの許可申請プロセスの中で行われます 。通関実務では「他法令確認」と呼ばれる作業がありますが、これを飛ばした場合は関税法違反と他法令違反の両方が成立することがあります。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BC%B8%E5%85%A5%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E8%B2%A8%E7%89%A9)
なお、関税法70条により、他法令の証明が義務付けられており、輸出入申告の際に関係省庁の許可証・承認書を提示できない状態で通関しようとすると、申告段階で既遂となる場合があります 。申告が受理されてから問題が発覚するケースも多く、事後調査のリスクが常に存在します。 note(https://note.com/hn_stc_nightmare/n/nec3aeb5f012e)
関税法111条1項が定める罰則の内容を正確に把握しておくことは、通関業者にとって必須の知識です 。 aog-partners(https://aog-partners.com/kanzeiwomanugarerunadonotumioyobikyokawoukenaideyusyutunyusurunadonotuminituite/)
| 違反行為 | 懲役刑 | 罰金刑 | 特例 |
|---|---|---|---|
| 無許可輸出入(関税法111条) | 5年以下 | 1,000万円以下 | 貨物価格×5倍が1,000万円超の場合は価格の5倍まで |
| 関税ほ脱(関税法110条) | 10年以下 | 1,000万円以下 | 同上 |
| 偽申告・偽書類(関税法111条2項) | 5年以下 | 1,000万円以下 | 同上 |
罰金の「貨物価格×5倍」規定は、特に高額貨物の密輸で大きな意味を持ちます。例えば1,000万円相当の貨物を無許可輸入した場合、罰金上限は通常の1,000万円を超えて5,000万円まで引き上がります。痛いですね。
さらに、懲役刑と罰金刑は「併科」される場合があります。つまり、懲役5年を受けながら同時に数千万円の罰金を支払う判決も、法律上は可能ということです 。これは一般に思われている「どちらかが科される」という認識とは異なります。 aog-partners(https://aog-partners.com/kanzeiwomanugarerunadonotumioyobikyokawoukenaideyusyutunyusurunadonotuminituite/)
税関|関税法の罰条(財務省・税関公式サイト:罰則規定の一覧)
税関の公式ページでは、関税法の違反行為別に罰条が一覧化されています。通関実務の参考として確認しておくことをおすすめします。
「荷主が嘘をついていた」では済まないのが通関業者の立場です。これが基本です。
関税法110条の注釈には、通関業者が偽りの行為により関税ほ脱・無許可輸入に関与した場合は「通関業者も同様に処罰される」と明記されています 。通関業者は申告代理者として、荷主から提供された情報を確認・精査する義務を負います。この義務を怠った場合、共犯または幇助と判断されうる余地があります。 aog-partners(https://aog-partners.com/kanzeiwomanugarerunadonotumioyobikyokawoukenaideyusyutunyusurunadonotuminituite/)
具体的にリスクが高まる場面は以下のとおりです。
- 📋 荷主から渡された他法令許可証の有効期限・記載内容を確認せず申告した場合
- 📦 貨物の品目分類(HSコード)を荷主の指定通りにそのまま入力し、申告内容と実物が乖離していた場合
- 📑 書類の偽造に気付かなかったが、状況から気付くべき「過失」が認められた場合
通関業者が問われるのは、刑事責任だけではありません。通関業法に基づく行政処分(通関業の登録取消・業務停止)も並行して発動される可能性があります。1件の申告ミスが、事業そのものを失うリスクにつながります 。 fefta-fa(https://fefta-fa.com/column/1852/)
有森FA法律事務所|関税を免れる等の罪、及び許可を受けないで輸出入する等の罪(通関士資格保有弁護士による解説)
上記ページでは、通関業者を含む処罰対象者の範囲について、法律専門家による解説が掲載されています。関税法110条の注釈部分は特に参照価値があります。
外為法(外国為替及び外国貿易法)違反は、輸出規制の文脈で語られることが多いですが、輸入においても適用される条項があります。意外ですね。
例えば、金地金の密輸入を行った場合、関税法111条の無許可輸入罪と同時に、消費税法64条の消費税ほ脱罪、さらに地方税法の地方消費税ほ脱罪が成立します 。このように1つの輸入行為が複数の法律違反を同時に構成するケースは「観念的競合」または「牽連犯」として処理され、最も重い刑が適用されますが、行政処分は各法律ごとに独立して発動されることがあります。 ynu.repo.nii.ac(https://ynu.repo.nii.ac.jp/record/12129/files/31-1_5.pdf)
外為法違反が問われる主な輸入関連ケースを整理すると。
- 🔴 輸入承認が必要な規制品(武器技術・核関連・特定化学品など)を承認なしで輸入
- 🟡 経済制裁対象国・地域からの物品を無申告で輸入
- 🟠 外為法の「輸入承認」と関税法の「輸入許可」を混同し、どちらも取得せずに通関申告
外為法違反の場合、違反者は荷主・輸入者であり、通関業者ではないケースが多いです。ただし、規制品と知りながら申告手続きに協力した場合には共犯として問われる可能性があります 。「疑わしい場合に黙って進める」という判断が、最大のリスク要因です。 meti.go(https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/01_seido/02_jigo/download/20200830_jigoshinsajiannokeikoujirei.pdf)
経済産業省|違反原因・貨物の傾向と違反原因別事例(PDF:実際の違反事例と傾向が詳しく掲載)
「申告が通れば終わり」という認識は危険です。税関には事後調査権があり、輸入許可後であっても調査・是正処分が可能です。
税関の事後調査は、税関長の権限に基づき、輸入許可から数年後でも実施されることがあります。特に高額貨物・規制品目・頻繁に輸入する荷主に対しては、定期的なモニタリングが行われています。調査の端緒としては、他の輸入者の摘発情報、税関インテリジェンス、そして内部通報(取引先・元従業員からの情報提供)が挙げられます。
通関業者の視点で注目すべき点は、荷主の過去の違反歴です。過去に是正指導・行政処分を受けた荷主の案件を受任する場合、通関業者側も税関から注目されるリスクがあります。「問題のある荷主の案件を受ける」という行為自体が、業務上の善管注意義務(通関業法に基づく)に反するとみなされる可能性があります。
実際の対策として有効なのは以下の3点です。
- ✅ 荷主の信用確認:初めての取引先に対してはDuns番号・企業登記情報・過去の輸入実績を確認する
- ✅ 書類の真正性チェック:他法令許可証の発行機関・有効期限・記載内容をシステムまたは官公庁サイトで照合する
- ✅ 疑義案件のエスカレーション規定:社内で「怪しいと感じたらすぐ上長に報告する」ルールを文書化する
リスク管理が条件です。「言われたとおりにやった」では通用しない時代に入っています。
CISTEC(安全保障貿易情報センター)|自主管理で違反が見つかったら(発覚後の対応手順と自主申告のメリット)
上記のページでは、社内監査で違反が発覚した場合の経産省への自主報告手順と、自主申告が量刑軽減に繋がる根拠についても解説されています。有事の際の初動対応として参考になります。
| リスクの種類 | 発生根拠 | 結果 |
| ------ | -------- | ----------------- |
| 輸入不許可 | 関税法71条 | 通関業務の停止・荷主への賠償リスク |
| 刑事責任 | 不競法21条2項 | 懲役・罰金(知情犯として) |
| 行政処分 | 通関業法 | 業許可の停止・取消 |
| 民事賠償 | 不競法3条・4条 | 競争事業者からの損害賠償請求 |