地方税法改正による公示送達デジタル化と通関業務への影響

令和5年の地方税法改正で公示送達制度がデジタル化されました。通関業務従事者にとって、この改正は今後の税務手続きにどのような影響をもたらすのでしょうか?

地方税法改正による公示送達のデジタル化

公示送達は令和6年から完全ネット公開になります。

📋 公示送達制度改正の3つのポイント
🌐
インターネット公示が必須に

公示事項を不特定多数がオンラインで閲覧可能な状態に置く措置が義務化されました

📌
掲示場での掲示は選択制

地方公共団体の掲示場掲示または電子計算機の映像面表示のいずれかを選択できます

令和6年から順次適用

他法令における公示送達制度の見直し適用時期に合わせて実施されます

地方税法における公示送達制度の基本


公示送達は、納税者の住所や居所が不明な場合に、地方団体の長が送達すべき書類を保管し、その旨を公示することで送達を完了させる制度です。これまでは主に地方公共団体の掲示場に掲示する方法で行われていました。
参考)大阪市:市税条例の一部改正等について (…>市税について>市…


掲示開始から7日経過で送達完了です。
令和5年の地方税法改正では、この公示送達制度が大幅にデジタル化されました。具体的には、公示事項をインターネット上で不特定多数の者が閲覧できる状態に置く措置が必須となり、従来の掲示場での掲示は選択肢の一つとなりました。通関業務従事者が輸入関連の地方税(例えば軽油引取税など)で公示送達が必要になる場合、今後はオンラインで確認できるようになります。
参考)https://www.soumu.go.jp/main_content/000857419.pdf


総務省「令和5年度税制改正の大綱」
※公示送達制度の見直し詳細について、総務省の公式資料で確認できます

地方税法公示送達のデジタル化による実務変更点

デジタル化により、通関業務従事者は取引先企業の公示送達情報をオンラインで迅速に確認できるようになりました。従来は各自治体の掲示場まで出向く必要がありましたが、令和6年以降は自治体のホームページから直接アクセス可能です。
参考)https://www.city.otsu.lg.jp/material/files/group/129/2025032803.pdf


確認作業が大幅に効率化されます。
この変更により、輸入者や運送業者が税務上の問題を抱えている場合の早期発見が可能になります。通関業務では、取引先の信用調査において税務コンプライアンスの確認が重要ですが、公示送達情報がネット上で公開されることで、リスク管理の精度が向上します。ただし、個人情報保護の観点から、公示される情報は必要最小限に限定されています。
参考)令和5年度税制改正の大綱(6/10) : 財務省


地方税法改正と通関業務における納税管理人制度

通関業務において外国企業との取引では、納税管理人制度が重要な役割を果たします。外国企業が日本で地方税の納税義務を負う場合、出国後も適切な送達が必要になるためです。
参考)納税通知書の送達について|高浜町公式ホームページ

納税管理人の届出が必須になります。
公示送達のデジタル化により、外国企業が納税管理人を設置していない場合でも、公示送達がインターネット上で行われるため、本国からでも情報確認が可能になりました。通関業者は、取引先の外国企業に対して納税管理人制度と公示送達制度の両方を説明し、適切な税務コンプライアンス体制の構築を支援する必要があります。特に、継続的な輸入取引を行う外国企業には、納税管理人の設置を推奨することで、後々のトラブルを防止できます。

地方税法公示送達における掲示期間と効力発生

公示送達は掲示開始日から7日経過で効力が発生します。この期間は地方税法第20条の2第3項で明確に規定されており、改正後も変更はありません。
参考)地方税法 第20条の2 公示送達


7日間が重要な確認期間です。
通関業務従事者にとって、この7日間は取引先の税務状況を確認する猶予期間として活用できます。特に、新規の輸入者と取引を開始する際には、過去の公示送達記録がないかをオンラインで確認することで、リスク評価に役立ちます。令和6年以降は、各自治体のホームページで公示送達情報が公開されるため、定期的なモニタリングも容易になります。
参考)令和8年度から適用|刈谷市ホームページ


公示送達制度改正と通関業務でのリスク管理手法

通関業務では、輸入者の税務コンプライアンスが不十分な場合、税関検査の強化や通関遅延のリスクが高まります。公示送達情報のデジタル化により、取引先企業の税務リスクをリアルタイムで把握できるようになりました。​
定期的なオンライン確認が鍵です。
実務上の対策として、新規取引開始前に必ず複数の自治体の公示送達情報を確認することが推奨されます。また、継続取引先についても四半期ごとに確認を行うことで、早期にリスクを発見できます。公示送達が行われている企業は、住所不明や連絡不能の状態である可能性が高いため、取引の継続可否を慎重に判断する必要があります。通関業者向けのリスク管理ツールとして、複数自治体の公示送達情報を一括検索できるシステムの活用も検討すべきでしょう。
大阪市「市税条例の一部改正等について」
※公示送達のインターネット公示に関する自治体の具体的な実施方法が掲載されています




令和7年10月改訂 地方税取扱いの手引