密輸 1970 キャスト史実から見る海女と税関の攻防

1970年代の韓国で実際に起きた海女による密輸事件を題材にした映画『密輸 1970』。キム・ヘスやヨム・ジョンアら豪華キャストが演じる海女たちと税関職員の攻防には、通関業務に携わる私たちにとって見逃せない史実が隠されています。税関検査の盲点や密輸手口の巧妙さを知ることで、現代の通関業務にどう活かせるのでしょうか?

密輸1970キャスト史実

実は海女による密輸は税関職員でも見抜けない。


この記事のポイント
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実在した海洋密輸の手口

1970年代の韓国では、海女が海底から密輸品を引き上げる手法が実際に使われ、税関の目を巧みにすり抜けていた

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豪華キャストによる再現

キム・ヘス、ヨム・ジョンア、チョ・インソンら実力派俳優が、密輸に関わる海女・密輸王・税関職員の駆け引きをリアルに演じる

⚖️
通関業務への教訓

映画から学ぶ密輸手口の巧妙さと、現代の通関業務における検査体制強化のヒント

密輸 1970 キャストの配役と史実の関係


映画『密輸 1970』の主演キャストは、韓国映画界を代表する実力派俳優たちです。チュンジャ役のキム・ヘスは『国家が破産する日』で知られ、頭が切れる奔放な海女を演じています。相棒のジンスク役ヨム・ジョンアは「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」で人気を博し、責任感の強いリーダー格の海女を好演しました。


参考)密輸 1970 - Wikipedia

密輸王クォン役にはチョ・インソン(『モガディシュ 脱出までの14日間』)、チンピラのドリ役にパク・ジョンミン(『ただ悪より救いたまえ』)、税関のジャンチュン係長役にキム・ジョンス(『工作 黒金星と呼ばれた男』)が起用されています。注目の若手コ・ミンシ(『The Witch 魔女』)は、港町の喫茶店で働く情報通オップン役で青龍映画賞新人女優賞を受賞しました。

つまり実力派揃いです。

この配役の背景には、1970年代に実際に韓国の沖合で行われていた海洋密輸という史実があります。海女たちが金塊などの密輸品を海底から引き上げるという手法は、当時実際に使われていた犯罪手口でした。映画はこの史実に着想を得て、海女と密輸王、税関職員が入り乱れる痛快なクライムアクションとして描かれています。

参考)
密輸 1970


韓国で500万人超の動員を記録し、青龍映画賞で最優秀作品賞、助演男優賞、新人女優賞、音楽賞を受賞した本作は、キャストの演技力と史実の重みが融合した作品といえます。

密輸 1970 における海女の潜水技術と密輸手口


映画の舞台となる1970年代半ばの韓国・クンチョン漁村では、海女たちが日々海に潜って海産物を採取していました。しかし化学工場の廃棄物によって海が汚染され、収穫物が腐ってしまい失業の危機に直面します。

参考)
Prime Video 韓国映画「密輸 1970」あらすじ【…


そこでリーダーのジンスクは、仲間の生活を守るため海底から密輸品を引き上げる仕事を請け負うことを決意しました。具体的な手口は、密輸王が海に密輸品を投げ入れて税関を通過した後、海女たちがその地点に潜って海底から引き上げるというものです。この方法なら通関
検査を物理的に回避できます。


参考)海女アクションが見物!映画「密輸 1970」とは?

海女の潜水能力が鍵です。

映画では、海女たちが抜群のチームワークで海底50メートル離れた地点にあるカバンを回収するシーンも描かれています。また、税関職員との海中での対決シーンでは、海女が税関係長を岩の小さな穴に誘導して身動きを取れなくさせ、窒息死させるという緊迫した場面もあります。

参考)
ネタバレ全開研究『密輸 1970』~海女たちはどのようにして…


通関業務を怠った貨物は「密輸」となり、関税法109条で罰則を受けますが、海底引き上げという手法は通関手続き自体を迂回する巧妙な犯罪でした。現代の通関業務従事者にとって、このような物理的な検査回避手段への対策は依然として重要な課題といえます。

通関業務の基本と密輸の定義について詳しく解説した記事

密輸 1970 税関職員の摘発技術と限界

映画に登場する税関のジャンチュン係長(キム・ジョンス)は、密輸グループの摘発に執念を燃やす人物として描かれています。実際の税関職員は、麻薬探知犬の訓練や門型金属探知機によるボディチェック、X線検査などで密輸品の発見に努めています。


参考)密輸犯は逃さない!税関職員が見抜いた驚きの密輸方法|THE突…

税関職員が密輸犯を見抜く際、重要なのは乗客の「緊張した様子」や「不自然な行動」を目視で確認することです。密輸を企てる人は突然現れた税関職員に驚いたり緊張したりするため、他の旅行客の中で目立つといいます。また、海外で使用した違法薬物の成分が荷物に付着しているケースもあり、探知犬が反応することもあります。

限界もあります。

しかし海女による海底引き上げという手法は、税関の検査場を一切通過しないため、従来の摘発技術では対応できませんでした。映画では、ジンスク率いる海女チームが作業中に税関の摘発に遭い、ジンスクは刑務所送りになる一方、チュンジャは逃亡に成功しています。

税関職員として15年以上勤務すると、
通関士試験で2科目の免除を受けられる制度がありますが、経験だけでは対応できない新しい密輸手口も存在します。現代では、偽ブランド品の差し止め件数が前年比2割増の1万2000件を超えるなど、税関は常に密輸との戦いを続けています。


参考)通関士と税関職員の違いは?各試験免除できる?向いている人の特…

麻薬探知犬の訓練と認定試験について解説した財務省税関のページ

密輸 1970 キャストが演じる人間関係と裏切り

映画の核心は、キム・ヘス演じるチュンジャとヨム・ジョンア演じるジンスクの友情と裏切りの物語です。最初の密輸作業で税関に摘発された際、ジンスクは刑務所送りになりましたが、チュンジャだけが逃亡しました。ジンスクは、チュンジャが報奨金欲しさに通報したと信じ込み、2年間恨み続けます。

真実は別でした。

2年後、ソウルから戻ったチュンジャは出所したジンスクに新たな密輸の話を持ちかけますが、ジンスクは不信感から拒否します。しかしオッチョクという仲間の足の手術費が必要な状況になり、ジンスクは条件付きで参加を決意しました。

実際に密告したのはチンピラのドリだったことが後に判明し、2人は涙を流して和解します。この展開は、通関業務における情報提供者の信頼性確認の重要性を示唆しています。税関職員は密輸情報を得る際、情報源の動機や信憑性を慎重に見極める必要があります。

映画のクライマックスでは、チュンジャとジンスクがオップン(コ・ミンシ)の協力を得て、ドリとジャンチュン係長を懲らしめる作戦を実行します。ドリは密輸王クォンへの不満から襲撃して殺害し、オップンはジャンチュン係長に暴行を受けるなど、登場人物の思惑が複雑に絡み合います。

密輸 1970 から学ぶ現代通関業務への示唆


映画『密輸 1970』が描く1970年代の密輸手口は、現代の通関業務従事者にとって重要な教訓を含んでいます。海底引き上げという物理的な検査回避手段は、通常の通関手続きでは発見できないため、より広範な監視体制が必要です。

現代の税関では、AIS(船舶自動識別装置)メッセージを分析して不正な洋上積み替え行為を識別する技術が開発されています。また、
ブロックチェーン技術を活用した国境を越えたノンストップ通関システムも研究されており、データの完全性と追跡可能性を確保する取り組みが進んでいます。


参考)https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmars.2018.00240/pdf


技術進化が鍵です。


税関の取締部門は、検査場ではできない方法で密輸を摘発する精鋭部隊として、空港内のあらゆる場所を抜き打ちで巡回し、不審な従業員や乗客の動きを監視しています。関西万博開催中はテロ関連物資の密輸入阻止を目的に検査を強化しており、実際に拳銃を持ち込もうとした男を摘発した事例もあります。


通関業務従事者としては、映画に登場する海女の巧妙な手口を知ることで、単なる書類審査だけでなく、物流の全体像を把握する視点が重要だと理解できます。密輸対策には、従来の検査手法に加え、情報分析と多層的な監視体制の構築が不可欠です。


通関業務の実務経験を活かした取り組みについて紹介した東京税関の資料(PDF)




密輸 1970