HSコード6桁の意味と関税・通関への活用と注意点

HSコード6桁は国際貿易の要となる世界共通の品目番号です。正確に理解しないと追徴課税や通関トラブルに直結します。あなたは本当にHSコード6桁を正しく使えていますか?

HSコード6桁の基本から関税・通関への正しい活用法と誤分類リスク

HSコードの6桁が「世界共通」だからといって、同じコードをどの国でも使い回せると思っていると、関税率が変わって余計なコストが発生します。


この記事でわかること:HSコード6桁の全体像
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HSコード6桁とは何か?

160カ国以上が使う世界共通の品目分類番号。上2桁=類、上4桁=項、上6桁=号という構造で、関税率・通関・原産地規則のすべてに直結します。

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誤分類の法的・金銭的リスク

HSコードを間違えると追徴課税(差額+加算税10〜15%+延滞税最大年率14.6%)が過去5年分にわたって発生し、悪質と判断された場合は刑事罰(最大3,000万円以下の罰金)も。

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EPA/FTAと事前教示制度の活用法

正確なHSコード6桁があれば、EPA/FTAで関税ゼロも実現可能。さらに税関の「事前教示制度(無料)」を使えば申告前にコードを確定でき、通関リスクをゼロに近づけられます。


HSコード6桁の基本構造と「号」までの意味を理解する

HSコードとは「商品の名称及び分類についての統一システム(Harmonized Commodity Description and Coding System)」に基づく番号で、略してHS番号とも呼ばれます。現在、令和6年4月時点で日本を含む160カ国・地域が加盟しており、国際貿易において事実上の世界共通言語として機能しています。


6桁という数字には明確な意味があります。上2桁が「類(Chapter)」、上4桁が「項(Heading)」、上6桁が「号(Sub-heading)」という3層構造になっています。わかりやすく言うと、「類」が大きな棚、「項」がその棚の引き出し、「号」がその引き出しの中のさらに細かい仕切りのイメージです。


具体例を見てみましょう。りんごのHSコード「0808.10」であれば、「08」が類(果実・ナッツ類)、「0808」が項(りんご・梨など)、「0808.10」が号(りんご)を意味します。このように6桁まで決まれば、世界中どこの税関でも「これはりんごだ」と共通認識できる仕組みです。


項(Heading)の数は全体で1,227、号(Sub-heading)の数は5,611あります。HS品目表は、商品を21の「部(Section)」に大分類し、96の「類(Chapter)」に中分類した上で、項・号で細分化する階層構造です。これは東京ドーム5個分のロッカールームに5,611個の収納スペースがある、というイメージに近い規模感です。


6桁が世界共通なのに対し、日本では7桁目以降に国内独自の番号が追加されます。輸入申告では「実行関税率表」で管理される9桁(HSコード6桁+国内細分3桁)、輸出申告では「輸出統計品目表」で管理される9桁を使います。つまり、6桁が共通の土台です。


参考:税関公式サイト「品目分類とHSコード」の構造解説
https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/bunrui_hs.htm


HSコード6桁の正しい調べ方と実行関税率表の使い方

HSコード6桁を調べる方法は、大きく分けて3つあります。これが基本です。


まず最もよく使われるのが、税関のウェブサイトで提供されている「輸出統計品目表(輸出の場合)」や「実行関税率表(輸入の場合)」を利用する方法です。どちらも無料で公開されており、品名キーワードで検索できます。実行関税率表は、関税率・WTO譲許税率・EPA税率がすべて一覧化されているため、関税コストの試算にも直接役立ちます。


次に、税関の「品目分類キーワード検索システム」を活用する方法があります。統計品目番号の上位2桁・4桁・6桁・全9桁のいずれでも絞り込めるため、分類の幅を段階的に確認できます。


3つ目は、後述する「事前教示制度」を使って税関に直接照会する方法です。自分で調べた結果に確信が持てないときに最も確実な手段です。


調べる際に重要なのが「通則(解釈に関するルール)」の理解です。品目分類は「通則1〜6」というルールに沿って行われます。通則1で部・類の注釈を確認し、通則2〜6で複合材・混合品・セット品などの特殊ケースを判断します。素材・用途・機能のどれを優先するかで分類先が変わることがあるため、表面的な品名だけで判断すると誤分類のリスクが生まれます。


意外に見落とされやすいのが「輸出と輸入でHSコードが異なるケースがある」という点です。6桁目まではどちらも共通ですが、7桁目以降の国内細分コードは輸出統計品目表と輸入統計品目表(実行関税率表)では必ずしも一致しません。「輸出申告で使ったコードをそのまま輸入申告にも使う」という誤りは、実際の現場でよく起きるミスの一つです。


参考:税関「統計品目番号の調べ方」公式ページ
https://www.customs.go.jp/toukei/sankou/howto/hs.htm


HSコード6桁の誤分類が引き起こす追徴課税と法的ペナルティの実態

誤ったHSコードで申告することのリスクは、想像以上に深刻です。痛いですね。


金銭的なペナルティから見てみましょう。本来より低い関税率のHSコードで申告し(過少申告)、後から発覚した場合、差額の関税に加えて「過少申告加算税(差額の10〜15%)」と「延滞税(最大年率14.6%)」が課されます。しかも税関の事後調査は申告日から遡って最大5年間分を対象にするため、長年にわたって誤ったコードを使い続けていた場合、累積額は非常に大きくなります。


実際のトラブル事例として、あるJETROの報告(2013年)では、それまで0%の関税率が適用されていたHSコードが税関に誤りを指摘され、新たなコードでは5%の関税が課せられた上、過去分まで遡って数百万円規模の追徴課税を受けたケースが紹介されています。


さらに深刻なのが法的リスクです。関税法の規定では、故意に関税を免れようとした場合、「10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金、またはその両方」という厳しい刑事罰が定められています(財務省税関研修所テキストより)。


米国ではより積極的に摘発されており、HSコードの誤分類(意図的なものを含む)に対し数千万ドル規模の制裁金が課されたケースも報告されています。国際的にHSコードへの審査が厳格化されている流れを踏まえると、「うっかりミス」という言い訳が通用しない場面が増えています。


金額だけでなく「時間」のコストも発生します。関税申告のやり直し、修正申告の手続き、税関との交渉などが重なると、担当者の工数が数十時間単位で失われることもあります。


参考:HSコードの誤記とその法的リスクについての解説
https://aog-partners.com/hscodenogokitosonohoutekirisuku/


HSコード6桁を活かしたEPA・FTA関税削減の実務ポイント

HSコード6桁を正しく特定できると、もう一つの大きなメリットが生まれます。それがEPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)を活用した関税削減です。


EPAやFTAでは、通常のMFN税率(最恵国税率)より低い特恵税率、場合によっては完全な関税ゼロが適用されます。例えば、EU域内から日本にセーターを輸入する場合、通常関税では約9.1〜10.9%かかりますが、日EU EPAが適用されれば0%になります。貿易規模が大きいほど、この差は莫大なコスト削減につながります。


ただし、EPA/FTAを利用するには「原産地証明」が必要で、この証明書に記載するHSコードは輸入相手国の6桁コードでなければなりません。ここで問題が起きやすいのが、輸出国と輸入国でHSコードの解釈が一致しないケースです。ある食品メーカーの事例では、原産地証明書に記載したHSコードとインボイスのHSコードに相違があったため、FTAの特恵関税が適用されなかった、という実例があります。


しかも、EPAの原産地規則の多くは「関税分類変更基準(CTC)」に基づいており、「材料のHSコードと完成品のHSコードが特定の桁で変わっていること」が原産地の証明条件になります。つまり、HSコード6桁を正確に把握していないと、EPAが使えるかどうかの判断そのものができないわけです。これは使えそうです。


実務では以下の3ステップで確認する流れが推奨されています。



  • ✅ JETRO・税関の実行関税率表でHSコード6桁を確定させる

  • ✅ 輸入国のEPA/FTA税率をJETROの「世界の関税率・関税撤廃スケジュール」で確認する

  • ✅ 原産地証明書(特定原産地証明書)の発給を日本商工会議所に申請し、HSコードを記載する


参考:JETROのEPA活用メリットと実務解説(PDF)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/biz/seminar/2024/1fdf02b9c6ac9d19/0719_JETRO.pdf


HSコード6桁は5年ごとに改正される:HS2022対応の盲点

ここはあまり知られていない、実務上の重要なポイントです。


HSコードは「HS条約」に基づいており、世界税関機構(WCO)が約5年ごとに改正を行います。直近では2022年1月1日に「HS2022」が発効し、日本でも関税定率法等の法令が改正されました。次の改正はHS2027が予定されており、現在WCOで審議が進んでいます。


HS2022の改正では、電子タバコ・スマートフォン・廃棄物関連品目など現代の貿易実態に合わせた項・号の新設・変更・統合が行われました。例えば生きた馬は、HS2002/2007では「010110」でしたが、HS2012以降では「010121」に変更されています。このような改正が発生すると、従来使っていたHSコードが「存在しないコード」になる場合があります。


つまり古いHSコードを確認せずに使い続けると申告エラーになりかねない、ということです。


特に注意が必要なのが、自社の商品マスターやシステムです。長く取引している商品は「以前から使っているHSコードだから大丈夫」と思い込んで見直しが行われず、改正後もそのまま旧コードで申告し続けてしまうケースがあります。「HS6桁が同じだから」と輸出入で同じマスタを参照することも、申告エラーの大きな原因になると指摘されています。


改正への対応として有効なのが、改正時期ごとに「税関の実行関税率表」を再確認し、自社の商品マスターとのズレを洗い出すことです。改正内容は税関の公式サイトで一覧できるため、年に一度の棚卸し作業として取り入れておくことが現場では推奨されています。


参考:税関「HS2022改正について」公式ページ
https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/classification/hs2022.html


HSコード6桁の誤りをゼロにする「事前教示制度」の正しい使い方

HSコードに自信が持てないとき、最も確実で、かつ無料で使える公的手段があります。税関の「事前教示制度」です。


事前教示制度とは、輸入申告の前に税関に対して、輸入予定貨物の関税分類(税番)や関税率などについて文書で照会し、税関から文書で回答を受けられる制度です。回答を受けた内容は通関時のエビデンスとして有効であり、「税関から承認を得たコードで申告した」という事実が、後のトラブルに対する法的な盾になります。


手続きは、オンラインまたは書面で最寄りの税関(関税鑑査官部門)に申請します。申請には商品の仕様書・原材料・使用目的などの説明資料を添付することが推奨されています。回答までの期間は一般的に数週間程度です。


この制度のメリットは金銭的なリスク回避だけではありません。事前に税番・税率が確定することで、輸入計画や原価計算を確実な数字のもとで立てられるようになります。また、通関時に税関の担当者によって判断が変わる「解釈のブレ」も防げます。EPAの特恵税率を適用するために輸入国の税関に事前照会する仕組みも各国に存在しており、重要な貿易取引では積極的に活用されています。


なお、事前教示制度による回答には一定の有効期間があり、HSコードの改正があった場合は再照会が必要になります。申請件数に対して税関のリソースが限られているため、余裕を持って早めに申請することが実務上のコツです。


































確認方法 コスト 確実性 主な用途
実行関税率表(税関HP) 無料 自社での一次調査
JETRO貿易相談 無料 中〜高 分類の参考・EPA確認
事前教示制度(税関) 無料 最高 申告前の最終確定
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参考:東京税関「事前教示制度について」
https://www.customs.go.jp/tokyo/zei/jizenkyoji.htm