JASTPROコードの更新を3年間忘れると、翌月に自動抹消されて申告業務が全てストップします。
NACCSとは「Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System」の略称で、日本語では「輸出入・港湾関連情報処理システム」と呼ばれます。税関への輸出入申告をはじめ、船会社・航空会社・倉庫業者・銀行など、貿易に関わる民間業務まで含めてオンラインで一元処理できるシステムです。これが導入される以前は、紙ベースで膨大な書類を各機関に個別提出する必要があり、1件の通関に数日かかることも珍しくありませんでした。
NACCSの登場で状況は一変しました。現在は、書類審査のみで許可が下りる区分1の案件であれば申告から数分で輸入許可が下りるケースもあるほど、手続きが迅速化されています。ただし、このシステムを使うためには、申告者を正確に識別するための「コード」が不可欠です。このコードの体系が複数あることが、実務担当者の混乱を招きやすいポイントでもあります。
NACCSで使われる主なコードは以下の3種類に整理できます。
- 通関業者コード(3桁の数字):通関業の免許を持つ事業者に税関から付与されるコードです。通関業免許を取得した際に税関から払い出される3桁の数字で、自社通関(通関業免許を持たない輸出入者が自分で申告する場合)は「999」を入力します。
- 利用者コード(5桁):NACCSシステム上の事業所単位の識別コードです。「V1XXX」のような形式で、法人ごとに取得します。外為法関連業務を行う場合はこのコード体系が通関申告用とは異なる点に注意が必要です。
- 輸出入者コード(12桁の英数字):JASTPROコードまたは税関発給コードとも呼ばれます。輸出入者を特定するために申告書の輸出入者符号欄に入力するコードです。
つまりNACCSです。3種類のコードがそれぞれ異なる役割を担っており、状況に応じて使い分けが必要となります。
NACCS掲示板:通関業・自社通関のシステム設定について(NACCS公式PDF)
NACCSのシステム設定を行う際、「通関業者コード」の入力欄で最もよくある疑問が「自分の会社はどのコードを入れればいいのか」というものです。これが実は非常にシンプルで、2パターンに分かれます。
通関業の免許を持っている事業者は、免許取得時に税関から付与された3桁の数字を入力します。このコードがわからない場合は、管轄税関の通関業監督官に問い合わせることで確認できます。一方、通関業の免許を持たずに自社で輸出入申告を行う「自社通関」の場合は、「999」という固定の数字を入力します。
この「999」という数字に深い意味はなく、「通関業者ではない申告者」を示す予約コードとして機能しています。意外ですね。ただし、自社通関ができる条件がある点には注意が必要です。自社通関の場合は通関業の許可も通関士資格も不要ですが、自社の輸出入貨物に限定されており、他社の貨物の申告を代理で行うことはできません。
また、通関業者コードとは別に、外為法関連業務(安全保障貿易管理に関する輸出入)をNACCS上で行う場合は、別途「申請者コード」の取得が必要になります。既にNACCSを通常の通関業務で利用している通関業者であっても、外為法業務の代理申請を行うには「V1YYYF0A」の形式で別途申請者コードを取得しなければなりません。通常の通関業の利用者コードとは異なるコード体系であるため、見落としがちなポイントです。
| 申告者の種別 | 入力コード | 補足 |
|---|---|---|
| 通関業者 | 税関付与の3桁数字 | 免許取得時に付与 |
| 自社通関事業者 | 999(固定) | 通関業免許不要 |
| 外為法関連業務の代理申請者 | V1YYYF0A形式 | 別途申請が必要 |
コードの種別が条件です。間違えると申告がエラーになるため、自社がどのカテゴリに該当するかを最初に確認しておくことが重要です。
経済産業省:NACCS外為法関連業務について(代理申請者コードの詳細)
輸出入者コードの一つであるJASTPROコード(日本輸出入者標準コード)は、1983年から発給が始まった歴史あるコードです。一般財団法人 日本貿易関係手続簡易化協会(JASTPRO)が有料で発給・管理を行っており、NACCSの輸出入申告書における「輸出入者符号」の欄で使用します。
継続的に輸出入申告を行う企業がJASTPROコードを取得するメリットは具体的にいくつか挙げられます。まず、NACCS申告時に企業の英文名称や住所が自動補完されるため、入力ミスや同名企業との取り違えが防げます。さらに、口座振替による関税・消費税の電子納付、輸入時から最長3ヶ月の納付期限延長(銀行・保険会社の担保が条件)、包括審査制度の適用、海上保険の包括保険適用、そして輸入申告の簡易申告制度など、貿易実務を効率化する制度へのアクセスが可能になります。これは使えそうです。
ただし、JASTPROコードには有効期限があります。これが重大な落とし穴になり得ます。登録日から36ヶ月(3年)で満了し、更新手続きがなければ期間満了の翌月に自動的にシステムから抹消されます。更新手数料は4,400円(税込)で3年ごとに必要です。
問題は、更新を忘れてコードが抹消された場合です。JASTPROコードが抹消されると、自社通関としての申告関連業務が全て行えなくなります。さらに深刻なのは、抹消から1年以上が経過してしまうと、同一コードでの再登録ができなくなる点です。この場合は新しいコードを新規取得するしか選択肢がなく、手数料も別途かかります。1年以上経過すると再登録不可が条件です。
更新案内はJASTPROから登録メールアドレス宛てと郵送のハガキで、満了3ヶ月前から届きます。まずメールとハガキの受信環境を定期的に確認しておくことが、この落とし穴を回避するための最も簡単な対策です。
JASTPRO:コードの再登録について(再登録条件・手数料の詳細)
2017年10月のNACCS更改は、通関実務に大きな変化をもたらしました。それまではJASTPROコードまたは税関発給コードがNACCS申告に必須でしたが、この更改以降、法人番号を持つ法人については、マイナンバー制度の「法人番号」をNACCSの輸出入者符号欄に入力することで申告が可能になったのです。
これにより「JASTPROコードはもう不要ではないか」という誤解が広がりました。しかし実際には、法人番号だけでNACCS申告を行うと、企業の英文名称や英文住所・電話番号などの情報が自動補完されません。これらは申告書に必要な情報であるため、全て手入力することになります。継続的に申告を行う企業にとって、この手間は累積すると大きなロスタイムになります。
JASTPROコードを取得したうえで、法人番号との「紐付け登録」を行っておくと、法人番号で申告した際にもシステムが自動で英文情報を補完してくれます。このため、頻繁に輸出入申告を行う法人は、法人番号を取得していてもJASTPROコードの維持が実務上は合理的な選択です。つまり、法人番号があっても登録メリットがあるということです。
また、税関発給コードとJASTPROコードの主な違いもあわせて把握しておくと便利です。税関発給コードは登録料・更新手数料が無料ですが、2017年10月以降は法人番号を持つ法人への新規発給が停止されており、現在は個人・個人事業主が主な対象です。一方、JASTPROコードは有料ですが、継続的な輸出入を行う法人には前述の利便性から依然として推奨されています。
| 項目 | JASTPROコード | 税関発給コード |
|---|---|---|
| 発給機関 | JASTPRO(有料) | 税関(無料) |
| 対象 | 企業・個人 | 主に個人・個人事業主 |
| 海外仕向人・仕出人の登録 | 不可 | 可 |
| 英文情報の自動補完 | 可(紐付け登録で対応) | 可 |
| 法人への新規発給 | 継続中 | 2017年10月以降停止 |
どちらが適切かは取引形態次第です。
ジェトロ:輸出入者符号取得のメリット(JASTPROコードと税関発給コードの比較解説)
NACCSの通関業者コードや輸出入者コードをめぐる実務トラブルは、初心者にとって見えにくいところで発生しがちです。よくある問題を把握しておくことで、現場での対応速度が上がります。
最も多いトラブルの一つが「JASTPROコードの更新忘れによる申告停止」です。コードが抹消された状態では自社通関の申告関連業務が一切行えなくなります。同一コードの再登録には9,900円(税込)の手数料がかかり、再登録完了までの間は申告が止まります。貨物の引き取りが遅れれば、倉庫保管料や船会社のデマレージ(貨物滞留料)が発生するリスクもあります。痛いですね。
もう一つ見落とされがちなトラブルが「複数のコードが同一NACCSアカウントで重複登録できない」という制約です。JASTPROコードと税関発給コードの両方を保有している場合でも、NACCSに登録できるのはどちらか一方だけです。これを知らずに両方取得しても、NACCS上では片方しか使えないという状況が生まれます。
さらに、外為法関連業務(安全保障輸出管理)を通関業者が代理で行う場合、電子ライセンスの番号と通関業者の5桁のNACCS利用者コードをセットで入力する必要があります。ライセンス保有者(荷主)がNACCS上で通関業者に指定権限を付与する「通関業者指定」の手続きを経ないと、代理申請ができません。この手続きを省略したまま申告しようとしてエラーが出るケースが現場では散見されます。
これらのリスク管理として、社内の輸出入担当者とシステム担当者が定期的にコードの有効期限・登録状況を確認するフローを組み込んでおくことが現実的な対策です。JASTPROのマイページでは登録状況をオンラインで確認できるため、カレンダーに3年ごとの更新アラートを設定しておくだけでも大半のトラブルは防げます。更新忘れ防止が基本です。
JASTPRO:登録期間の更新手続きページ(更新タイミングと手順の確認に)
通関業者がNACCSを使って輸入申告を行う場合、現場では以下のような流れで業務が進みます。まず荷主(輸入者)からインボイス、パッキングリスト、船荷証券(B/L)などの書類を受領し、これらをもとにNACCS上で輸入申告データを作成します。申告データには品目分類(HSコード)、課税価格、原産地、申告者情報(輸出入者コード)などが含まれます。
申告データを税関に送信すると、審査結果として「区分1(書類審査不要・即時許可)」「区分2(書類審査)」「区分3(貨物検査)」のいずれかが通知されます。区分1であれば申告から数分で輸入許可が下りることもあり、これがNACCS導入の大きな恩恵です。
ここで一般にあまり語られない注意点があります。それは「申告区分は同一品でも毎回変わる可能性がある」という点です。区分の振り分けはランダム要素を含むシステム判定と、申告者のリスクプロファイル(過去の申告履歴や企業のAEO認定有無など)を組み合わせて行われます。つまり、同じ商品を継続的に輸入していても、毎回区分1になるとは限りません。通関士が「いつもと同じだから大丈夫」と思い込んで書類準備を怠ると、区分2や区分3になったとき対応が遅れる原因になります。
また、申告内容に誤りがあった場合の「修正申告」もNACCS上で行いますが、輸入許可が下りた後の修正は「更正の請求」または「修正申告」として別途手続きが必要になり、場合によっては延滞税や過少申告加算税が発生します。申告の正確性が最重要です。
通関業者として法令を遵守し、正確なNACCS申告を続けることが、荷主との信頼関係と自社のビジネス基盤を守ることに直結します。コードの管理も申告の精度も、どちらも欠かせない要素です。
SNCW:NACCSとACP通関・業務効率化の裏側をプロが紹介(輸入申告フローの詳細解説)

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