控除要素とは計算方法・加算要素・課税価格決定の基本ポイント

通関業務で課税価格を決める際に重要な「控除要素」。仕入書価格から差し引ける費用を正確に把握していないと、不要な関税を払い続けることになります。控除要素の種類や計算方法、加算要素との違いを理解して、適切な申告ができていますか?

控除要素の計算と課税価格

輸入港到着後に控除要素を申告しなかったあなたは約3万円を無駄に払う

この記事のポイント
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控除要素とは

仕入書価格に含まれる輸入港到着後の費用や延払金利など、課税価格から減算できる費用

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控除の条件

費用の額が明確に区分されており、書類で証明できることが必須

⚠️
申告漏れのリスク

控除できる費用を見落とすと過大な関税・消費税を納付することになる

控除要素の定義と課税価格計算の基本

控除要素とは、輸入貨物の課税価格を決定する際に、仕入書価格(インボイス価格)から差し引くことができる費用を指します。課税価格は「現実支払価格+加算要素-控除要素」という計算式で求められます。現実支払価格とは、買手が売手に実際に支払う金額のことですね。


輸入貨物の関税額は課税価格に関税率をかけて算出されるため、控除要素を正確に把握することで適正な税額申告が可能になります。つまり控除できる費用を見落とすと、本来より高い関税を納めることになるということです。

控除要素を適用するには、その費用の額が明確に区分されていることが絶対条件となります。仕入書や契約書などの書類で金額を証明できない場合、控除は認められません。


参考)https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/kanzeihyouka/hyokajirei/hyokajirei4110012.pdf


控除要素の主な種類と具体例

控除要素には主に3つのカテゴリがあります。各費用について、どのような場合に控除できるのかを理解しておくことが重要です。


輸入港到着後の国内費用

延払金利

  • 代金を分割払いにした場合の金利​
  • 金利の額が商品価格と明確に区分され、書面で取り決めがある場合のみ控除できる​
  • 口頭での約束や、金額が不明確な場合は控除不可​

本邦で課される公課

  • 日本国内で課される関税や消費税
  • DDP条件でインボイス価格に含まれている場合に控除対象

控除が認められるのは、これらの費用が仕入書に明記されているか、別途書類で証明できる場合に限られます。


控除要素と加算要素の違いと判断基準

課税価格の計算では、控除要素とは逆に「加算要素」も存在します。両者を正確に区別することが、適正な申告の第一歩です。


加算要素の主な項目

判断のポイントは「輸入港到着の前か後か」という時点です。輸入港到着前の費用は基本的に加算要素、到着後の費用は控除要素となります。


ただし例外もあります。買付手数料は輸入港到着前の費用ですが、加算要素から除外されます。このような例外を見落とすと計算ミスにつながるため、関税定率法の規定を正確に理解する必要があります。

控除要素の計算ミスと申告漏れのリスク

控除要素の取り扱いを誤ると、過大な税負担や修正申告という事態を招きます。


実務では以下のようなミスが多く見られます。


控除額が不明確なケース
費用の額が明らかでない場合、控除することができません。例えば仕入書価格にDDP条件の国内費用が含まれていても、その内訳が書類で証明できなければ控除不可です。この場合、仕入書価格のまま申告することになり、結果的に過大納税となります。


書面での取り決めがないケース
延払金利を控除する場合、金利額が商品価格と区分され、かつ書面で取り決めがあることが必須条件です。口頭での合意や、契約書に明記がない場合は控除できません。この要件を満たしていないまま控除すると、後の税関検査で修正を求められるリスクがあります。

控除要素を見落としたまま申告すると、不要な関税・消費税を納付することになります。例えば課税価格100万円の貨物で、5万円の控除要素を申告漏れした場合、関税率10%なら5,000円、消費税分を含めると約6,500円の過大納税です。年間100件の輸入があれば約65万円の損失になります。

逆に控除できない費用を誤って控除すると、過少申告加算税延滞税のペナルティが発生します。適切な書類管理と、関税評価の知識を持つ通関士によるチェック体制が不可欠です。

控除要素を正確に申告するための実務ポイント

控除要素を適切に処理するには、輸入契約の段階から準備が必要です。


以下の実務ポイントを押さえておきましょう。


契約書と仕入書の記載を明確にする
DDP条件など、仕入書価格に輸入港到着後の費用が含まれる場合、契約書や仕入書に費用の内訳を明記してもらいます。「国内運賃:3万円」「据付費用:2万円」といった具体的な金額表示が必要です。


曖昧な記載では控除が認められません。



参考)자료실 – DSTC


輸入申告時の記載方法
控除要素がある場合、輸入申告書の「公制金額欄(60番)」に控除額を記載します。税関への説明資料として、費用の内訳を示した書類(仕入書、契約書、運賃明細等)を添付してください。


仕入税額控除との関係に注意
DDP条件で輸入した場合、売主が輸入者として消費税を納付するため、買主側では仕入税額控除ができない問題が発生します。事業者間取引では、DAP条件(買主が輸入手続きを行う条件)にするか、ACP(税関事務管理人)制度を活用する必要があります。どういうことでしょうか?​
輸入申告名義人でない事業者は、輸入消費税を仕入税額控除できないという原則があるためです。DDP条件では売主が輸入申告名義人となるため、買主は控除を受けられません。この税務上の不利益を避けるため、取引条件の選択は慎重に行う必要があります。


参考)輸入消費税の仕入税額控除ができるのは輸入申告名義人


関税評価に関する最新情報は、税関の公式サイトで確認できます。


関税評価用語等解説(税関)
こちらのページには、加算要素・控除要素の詳細な定義と事例が掲載されています。


また、日本関税協会が公開している関税評価の事例集も実務で役立ちます。


関税評価について(日本関税協会)
DDP条件での控除費用の具体例が、図解付きで説明されています。