課税物件とは何か|通関士が知るべき確定時期と適用法令の原則

課税物件とは関税が課される輸入貨物のことで、通関業務に携わる方にとって課税要件の基本知識です。課税物件の確定時期や適用法令には原則と例外があり、実務で間違えると申告ミスや税額計算の誤りにつながります。通関士試験でも頻出のこのテーマ、あなたは正確に理解していますか?

課税物件とは何か

蔵入承認を受けた貨物を輸入申告時に課税すると違法になります。


この記事のポイント
📦
課税物件の定義

関税が課される輸入貨物を指し、課税要件の「何に課税するか」を明確にする概念

確定時期の原則と例外

原則は輸入申告の時だが、蔵入承認・場外作業など9つの例外パターンが存在

⚖️
適用法令の決定

課税物件確定時期により適用する関税率や税法が決まり、税額計算に直結する

課税物件の基本的な意味

課税物件とは、関税法における課税要件の一つで、関税が課される対象となる貨物のことを指します。課税要件には「誰が」(納税義務者)、「何に」(課税物件)、「どこで」(課税地)、「いくら」(課税標準)、「どのように」(税率)という5つの要素がありますが、課税物件はこのうち「何に課税するか」を明確にする概念です。

具体的には、我が国に輸入される外国貨物が課税物件となります。


つまり課税物件です。


輸入貨物に対して関税を課す際、どの時点における貨物の性質や数量を基準にするかを定める必要があるため、課税物件の確定時期という考え方が重要になります。


参考)「課税物件確定の時期」の理解のしかた


この概念を正しく理解していないと、輸入申告のタイミングを誤ったり、適用すべき関税率を間違えたりするリスクがあります。通関業務に携わる方は、課税物件とその確定時期を正確に把握することで、適正な通関手続きと税額計算が可能になります。


参考)無関係とはいわせない!総務が知るべき関税の基礎 第12回:課…

課税物件確定時期の原則

関税法では、課税物件の確定時期の原則を「輸入申告の時」と定めています。これは、輸入者が輸入する意思を具体的に表示するタイミングを基準とする考え方です。


参考)関税法第4条(課税物件の確定の時)の理解について


輸入申告の時が課税物件確定時期となることで、その時点における貨物の性質・数量・価格に基づいて関税が課されます。例えば、保税地域に貨物を搬入した後、検査前に一部が損傷した場合でも、輸入申告時の状態で課税されるということですね。

また、適用される法令(関税率や税法の規定)は「輸入申告の日」の法令が適用されます。課税物件確定時期が「時」であるのに対し、適用法令は「日」である点に注意が必要です。この原則を理解しておけば、法改正のタイミングで関税率が変わる場合でも、正しい税率を適用できます。


参考)課税物件の確定時期と適用法令


課税物件に含まれない少額免税の例外

課税価格の合計額が1万円以下の輸入貨物については、関税及び消費税が免除される少額免税制度が適用されます。これは「デミニミスルール」と呼ばれ、「法は仔細なことにこだわらない」という考えに基づく制度です。


ただし、少額免税制度にも例外があります。革製のバッグや革靴など一部の品目は、1万円以下であっても免税の対象外となり、通常通り関税が課されます。また、酒類やたばこなど消費税以外の内国消費税(酒税・たばこ税等)が課される貨物も免税されません。


参考)中国からアクセサリー用パーツを輸入・販売


1申告に係る輸入貨物の課税価格の合計で判断されるため、1つのインボイスを分割して申告した場合は、そのインボイス記載のすべての貨物を合計した金額で免税可否が決まります。


知ってると得しますね。


個人使用目的で海外小売店から購入した貨物の場合は、16,666円以下まで免税枠が拡大されます。


参考)経営相談室 > エラー


課税物件と関税率表の関係

輸入貨物に適用される関税率は、関税率表(HSコード)に基づいて決定されます。関税率表は全21部・97類に分類され、各貨物の性質や用途によって細かく区分されています。


参考)https://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/

課税物件の性質を正確に判断することは、正しいHSコードの選定に直結します。例えば、同じ「革製品」でも、革製バッグは第42類、革靴は第64類に分類され、それぞれ異なる関税率が適用されます。分類を間違えると、本来より高い関税を支払ったり、逆に過少申告として追徴されたりする可能性があります。


通関士試験でも、課税物件の分類と関税率表の関係は頻出テーマです。実務では、貨物の材質・用途・加工度合いなどを総合的に判断してHSコードを決定します。判断に迷う場合は、税関の事前教示制度を活用することで、輸入前に正しい分類と関税率を確認できます。


参考)Redirecting...

関税率表解説・分類例規|税関
各類の詳細な分類基準と具体例が掲載されており、HSコード判定の際の公式参考資料として活用できます。


課税物件確定における通関士の実務上の注意点

通関業務では、課税物件確定時期を誤ると申告ミスや税額計算の誤りが発生します。特に、原則である「輸入申告の時」だけでなく、9つの例外規定を正確に把握しておく必要があります。


参考)https://ameblo.jp/rlvvisole/entry-12397584433.html


例えば、蔵入承認を受けた貨物は「蔵入承認の時」が課税物件確定時期となりますが、適用法令は「輸入申告の日」です。この時期と日のズレを理解していないと、長期間保税蔵置場に置かれた貨物を輸入する際、承認時と申告時で関税率が変わっていた場合に誤った税率を適用してしまいます。


参考)課税物件の確定時期の特有の例外規定


保税運送中に貨物が亡失した場合は、亡失の時が課税物件確定時期となります。


これは例外です。


一方、蔵入承認を受けた貨物が保税蔵置場内で亡失した場合は、蔵入承認の時が課税物件確定時期のままです。このような細かい違いは試験でも頻出で、実務でも混同しやすいポイントとなっています。


通関業者として、依頼者に正確な納期と税額を伝えるためには、課税物件確定時期と適用法令の関係を正しく理解し、個々の貨物の状況に応じて適切に判断することが求められます。定期的に関税法の改正情報をチェックし、最新の法令知識を維持することも重要です。


貨物に税金を課すための課税要件の1つ「課税物件」の概念を正しく理解しよう|フォーサイト
通関士試験対策の観点から、課税物件確定時期の原則と例外を体系的に解説しています。