通関業者に輸入手続きを委託しても、あなたが納税義務者のままです。
納税義務者とは、関税や消費税を納める義務がある者を指します。関税法第6条では「貨物を輸入する者」が納税義務者であると規定されています。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1103_jr.htm
この「貨物を輸入する者」とは、輸入取引により輸入される貨物について、原則として仕入書(インボイス)または船荷証券に記載されている荷受人のことです。つまり輸入取引の買手が納税義務者ということですね。
ただし、この取扱いは輸入取引(売買契約)に基づき作成された仕入書等にその買手が荷受人として記載されることを前提としたものです。輸入取引に関与しない者が荷受人として記載されている場合、その者は「貨物を輸入する者」にはなりません。
実務上、通関業務を通関業者に委託して輸入貨物を引き取る場合でも、納税義務者はその通関業者ではなく、通関業務を委託した者(輸入者)となります。
これが原則です。
参考)No.6133 輸入する貨物の納税義務者|国税庁
また、外国から到着した貨物が輸入申告される前に転売された場合は、その転得者が「貨物を輸入する者」となります。
つまり転売があれば納税義務者も移転するわけです。
輸入貨物の納税義務者は、その貨物を保税地域から引き取る者です。そして、この貨物を保税地域から引き取る者とは、輸入申告者のことを指します。
通常の輸入手続きの中で輸入される貨物の納税義務者は、その貨物の仕入書に記載されている荷受人となります。インボイスに記載された荷受人が基本ということですね。
参考)「原則的納税義務者」・「特別納税義務者」とは? - 通関士の…
輸入取引の場合の納税義務者は、国内取引の場合のように事業者に限定されません。また、事業者免税点制度などの規定も設けられていません。
つまり個人であっても、法人であっても、免税事業者であっても、輸入すれば納税義務が発生します。
国内取引とは大きく異なる点です。
消費税においても同様で、輸入する貨物については、その貨物を保税地域から引き取る時に消費税が課税されます。輸入時に必ず納税義務が生じるということです。
納税義務者には「原則的納税義務者」と「特別納税義務者」の2つの区分があります。原則的納税義務者は先述の通り「貨物を輸入する者」です。
特別納税義務者は、さらに「連帯納税義務者」と「例外的納税義務者」に分かれます。連帯納税義務者は原則的納税義務者と連帯して納税義務を負う者のことです。
参考)https://tgg.jugani-japan.com/tsujike/2023/09/custom15/
例外的納税義務者には、保税地域や保税運送の許可・承認を受けた者が納税義務者となる場合、外国貨物を使用・消費した者が納税義務者となる場合などがあります。
これらは特殊なケースです。
また、関税関係法令で輸入申告者の資格が限定されている場合は、その限定された者が「貨物を輸入する者」となります。特定の品目や条件で申告者が限定されるケースですね。
例外的納税義務者として、定められた用途以外に外国貨物を使用した者が納税義務者となる場合や、その他の者が納税義務者となる場合も規定されています。つまり違反行為があれば使用者が納税義務を負うわけです。
通関業者は輸入者から委任を受けて、輸入者を代理して輸入貨物の通関業を行っているに過ぎません。したがって通関業者が納税義務者になることは通常はありません。
参考)通関業者の補完的納税義務について
しかし、一定の条件下では通関業者が輸入者と連帯して納税義務を負うことがあります。これを「通関業者の補完的納税義務」と呼びます。
具体的には、輸入の許可または輸入許可前引き取り承認を受けて引き取られた貨物について納付された関税に不足額があった場合で、輸入者とされた者の所在が明らかでないときや、その者が通関業者に対し委託した貨物を明らかにできないときに発生します。つまり輸入者が責任を果たせない場合ということです。
総合保税地域における貨物の管理者に対しても、連帯納税義務が規定されています。
管理者として責任があるわけですね。
納税義務者を正確に把握していないと、予期せぬ納税請求を受けたり、税関とのトラブルに発展したりするリスクがあります。委託した通関業者に任せきりにせず、自分が納税義務者であることを認識しておくことが大切です。
通関業法では、通関業者はその業務の適正な運営を図ることにより、関税の申告納付その他貨物の通関に関する手続きの適正かつ迅速な実施を確保することを目的としています。
通関業者の役割は明確です。
そのため、通関業者が輸入者の居所が不明だったり、委託したものを明らかにできない場合は、連帯責任を負うことになります。これは通関業者としての責任ということですね。
実務では、通関業務を委託する際に、委託契約の内容を明確にしておく必要があります。誰が納税義務者なのか、通関業者がどこまで責任を負うのかを契約書で確認しましょう。
また、インボイスの荷受人欄には、実際に貨物を輸入する者(買手)の名前を正確に記載することが重要です。記載ミスがあると納税義務者の認定に影響します。
輸入申告前に貨物が転売された場合、転得者が納税義務者となるため、転売の事実を税関に適切に申告する必要があります。
申告漏れは後々のトラブルの原因です。
保税地域での貨物の取扱いや、用途外使用にも注意が必要です。不正使用や用途違反があれば、例外的納税義務者として追加の納税義務を負うことになります。
違反行為は絶対に避けましょう。
税関の事後調査で納税不足が判明した場合、修正申告や更正処分を受けることになります。納税義務者として、輸入後も一定期間は書類を保管し、調査に対応できる体制を整えておくことが重要です。
税関公式サイトのカスタムスアンサー1103番では、関税の納税義務者について詳しく解説されています
国税庁のタックスアンサーNo.6133では、消費税における輸入貨物の納税義務者について確認できます