米国向け小口貨物でも関税申告が必須になったため、通関業務の処理件数が約2倍に急増しています。
デミニミス制度(De Minimis Rule)は、一定金額以下の輸入品について関税・消費税を免除する少額貨物優遇制度です。これは1930年関税法321条に基づく米国の制度で、輸入申告額が800ドル以下の商品については関税の支払いが免除され、簡素化された通関手続きで輸入が可能でした。
参考)https://www.dhl.com/discover/ja-jp/logistics-advice/import-export-advice/us-de-minimis
つまり免税と手続き簡素化の二重メリットです。
この制度の主な目的は、小口貨物の通関費用削減と通関時間の短縮にありました。特に越境EC事業者にとって、この制度は米国市場参入の重要な足がかりとなっていたのです。従来は詳細な原産地証明や品目分類が不要で、通関時間の短縮により迅速な配送が実現されていました。
参考)【2025年最新】デミニミス廃止で変わる米国貿易ルール|日本…
日本の場合、課税価格の合計が1万円以下の輸入貨物には関税と消費税がかかりません。個人輸入の場合は特例があり、1万6666円まで免税になります。ただし酒類、たばこ、香水などはこのルールの対象外となる点に注意が必要です。YouTube
参考)デミニマスルールとは?初心者にもわかりやすく解説【2025年…
2025年7月30日、トランプ大統領は800ドル以下の低価値貨物に対する免税措置を停止する大統領令に署名しました。この決定により、2025年8月29日から施行され、従来免税の対象となっていた800ドル以下の輸入品は課税の対象となり、原産国に応じて関税が適用されることになったのです。
参考)米国、低価値貨物に対する免税措置(デミニミス)を停止
当初2027年7月1日予定が大幅前倒しです。
この前倒し廃止の背景には、TemuやSHEINといった中国系大手販売業者がこの制度を悪用し、不当な優位性を得ているとの批判が強まっていたことがあります。米国税関・国境保護局(CBP)によると、デミニミス制度を利用して通関した件数は、2022年の約6億8500万件から2024年には約13億6000万件へと倍増していました。
参考)お知らせ詳細
安価な中国製品が大量に流入することで、米国企業の競争力が低下する可能性を政府が懸念したことも廃止の理由です。下院歳入委員会は5月13日に2027年7月1日までに全商業貨物からの制度恒久廃止を含む法案を承認していましたが、トランプ政権はさらに前倒しで実施したのです。
参考)米国デミニミス制度廃止の衝撃(1)越境ECビジネスにもたらす…
DHLの公式解説ページでは、デミニミス制度廃止の詳細と影響について詳しく説明されています。
デミニミス制度廃止により、通関業務従事者は深刻な業務負荷の増加に直面しています。小額貨物にも関税計算が必要となったことで、通関士や通関システムへの負荷が急増し、処理件数の増大により申告エラーや遅延のリスクも高まっています。
参考)デミニミス・ルール撤廃がもたらす越境EC市場の地殻変動
現場のオペレーションに緊張が走っています。
具体的には、従来デミニミス制度適用の場合は不要だった詳細な書類準備が、少額貨物でも一般商業貨物と同等に必要になりました。これには正確なHSコード(品目分類番号)の分類、原産国証明、インボイスの詳細記載などが含まれます。
参考)米国デミニミス制度廃止の衝撃(2)コンプライアンス対応の必要…
通関拒否のリスクも増加しています。主なリスクとして、(1)不十分な通関書類、(2)HTSコードの誤分類、(3)通関拒否、(4)顧客への追加費用発生が挙げられます。これらを回避するには、通関業者の輸出前チェックを通じた書類整備や、専門知識を活用したコード分類の正確性確保が不可欠です。
参考)米国デミニミス制度廃止の衝撃(3)品質やブランド力がカギ
米国向け郵便物については、日本郵便が一時引受停止を発表しました。具体的には、「個人間の贈答品で内容品価格が100ドルを超えるもの」「消費を目的とする販売品」を包有する米国宛て郵便物(小形包装物、小包、EMS)が対象となっています。
参考)お知らせ - 日本郵便
JETROの詳細レポートでは、越境ECビジネスへの影響と対応策について実務的な情報が提供されています。
日本でも少額輸入品への免税制度の見直しが進行中です。財務省は2025年5月時点で、少額の輸入品への関税や消費税を免除する制度「デミニミスルール」を見直し、消費税を課税する方向で検討に入りました。
参考)https://www.talpkeyboard.com/entry/2025/05/16/115635
少なくとも撤廃の方向性で議論中です。
この見直しの背景には、TemuやSHEINなど中国発のインターネット通販サイトがこの制度を利用して低価格商品の販売を増やしており、海外と国内の事業者の競争条件を平等にする狙いがあります。免税によって税収が減り、郵便インフラも国家が支え、国内産業が衰退するという構造的な負担が生じていたのです。
現在の日本の制度では、1万円未満の個人輸入品については関税・消費税が免除されています。しかし制度見直しにより、この免税枠が廃止または縮小される可能性が高まっています。米国の動きは日本においても例外ではなく、デミニミスルールに対応する少額貨物に対する免税制度は少なくとも撤廃の方向性で議論されているようです。
参考)https://www.amt-law.com/asset/pdf/bulletins5_pdf/250912.pdf
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EUは既に2021年に22ユーロの免税枠を廃止し、すべてのEC輸入品が課税対象となっています。日本もこの国際的な流れに追随する形で制度改正が進む見通しです。
デミニミス制度廃止に対応するため、通関業務従事者は複数の対策を講じる必要があります。
最も重要なのは書類管理体制の強化です。正確かつ記入漏れのない書類を作成することで、通関手続きがスムーズになります。具体的には、監査用にデジタルファイルを保管し、通信の記録も一緒に保管することが推奨されます。
参考)https://www.fedex.com/ja-jp/small-business/adapt-innovate/de-minimis-foreign-trade-policy-small-business-guide.html
HSコード管理の正確性が成否を分けます。
HSコードの正確な分類も不可欠です。税関が関税およびその他の税金を正確に判断できるように、貨物が正しく分類されていることを確認してください。すべての品目について関税率を確認し、先月をコピーしないようにすることが重要です。
参考)ポスト・デミニマスの世界における米国郵便貨物の通関方法|Cu…
許可を受けた通関業者との提携により、規制変更に関する最新情報を入手し、規制を確実に遵守できます。通関業者の専門知識を活用してHTSコードの誤分類を回避し、輸出前チェックを通じて書類を整備することで、通関拒否のリスクを大幅に減らせます。
原産国の特定にも注意が必要です。デミニミスの対象となるかどうかは、商品の原産国によって決まる場合があります。貨物の仕向地におけるルールに注意し、中国とともに適用される相互関税やその他の重要な規制を監視することが求められます。
参考)【JETROに聞く「デミニミスルール適用停止」の影響】米国向…
DDPとDDUの選択も戦略的判断が必要です。クーリエ(DHL、FedEx、UPS)ではDDP(関税込み)とDDU(関税未払い)の両方に対応可能ですが、DDPの場合は各社が関税立替や通関業務に伴う追加手数料を請求します。DDUの場合は受取人が関税を負担するため、顧客との事前調整が重要になります。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000030646.html
JETROのコンプライアンス対応ガイドでは、具体的な対応手順とベストプラクティスが紹介されています。