事前教示回答書は3年で失効するのをご存知ですか?
税関の事前教示制度は、輸入を予定している貨物の関税率表上の所属区分や関税率などについて、輸入前に税関に照会し回答を受けられる制度です。この制度を利用すると、原価計算の確実性が高まり、輸入通関をスムーズに行えます。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1202_jr.htm
事前教示は原則として文書による照会を行い、税関から文書で回答を受ける形で実施されます。文書による事前教示回答書は、発出日から原則3年間の有効期限が設定され、その期間内は輸入申告の審査で回答内容が尊重されます。つまり3年間は安定した取扱いが保証されるということですね。
参考)https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/kanzeihyouka/index.htm
対象となる照会内容は、品目分類(HSコード)、原産地、関税評価、減免税の適用可否の4つです。これらを事前に確認できれば、通関時の不確実性を大幅に減らせます。
参考)https://www.customs.go.jp/tokyo/zei/jizenkyoji.htm
利用できるのは輸入者、輸出者、貨物の製法や性状を把握している利害関係者、そして代理人である通関士です。通関士だけでなく輸入者本人も直接利用できます。
参考)通関士をも救う!?事前教示制度の概要と利用方法を徹底解説! …
文書による事前教示の申請には、税関が指定する様式を使用する必要があります。ただしいきなり文書を送るのではなく、推奨される手順があります。
参考)関税事前教示の手順・方法(輸入前に関税率を調べる)│中国輸入…
まず電話で税関に問い合わせを行います。次にインターネット専用の「事前教示に関する照会書」で事前チェックを受けます。事前チェックの返信内容をもとに修正し、文書専用の照会書を作成して税関に郵送するという流れです。この手順を踏むことで、不備のない申請ができます。
見本などの提出が不要な場合は、インターネットを利用した申請も可能です。電子メールで本関に照会し、電話で確認すると迅速な対応が期待できます。本関の判断に税関官署が従う傾向があるためです。
申請には商品の詳細情報が必要です。品目の名称、HSコード、用途、成分、製造国などを正確に記載しなければなりません。不十分な事実関係での申請は、実際の輸入時に回答が尊重されないリスクがあります。
参考)通関トラブルを防ぐ「事前教示制度」の活用方法とは? - アラ…
申請手数料は基本的に無料です。ただし試料の送付費用や翻訳費などの実費は申請者負担となります。
参考)韓国のHSコード「事前教示(Advance Ruling/品…
最大のメリットは、輸入計画と販売計画を事前に立てられる点です。関税がどれくらいかかるのか、加算すべき評価はあるのか、特恵税率や減免税を利用できるのかが明確になり、関税の経費化を正確に行えます。
原価計算の確実性が高まることで、商談や契約時に有利な条件を提示できます。予想外の追加費用を防げるため、価格設定に自信を持って臨めるということですね。
通関手続きの効率化も大きな利点です。輸入申告時に貨物の税番や関税率が判明しているため、適正かつ迅速な申告が可能となり、結果として早期に貨物を受け取れます。通関時のトラブルや遅延のリスクも軽減されます。
さらに法的リスクの軽減効果もあります。製品が規制対象でないか、特別な手続きが必要でないかを事前に確認できるため、法律違反による問題を未然に防げます。
税関の公式カスタムスアンサーでは品目分類の事前教示制度について詳細な説明があります
事前教示回答書の有効期間は最長3年間です。この期間内であれば、評価申告や輸入申告の審査で回答内容が尊重されます。3年というのは、例えば2023年1月に回答を受けたなら2026年1月まで有効ということです。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1522_jr.htm
ただし有効期間内でも回答が尊重されなくなるケースがあります。照会内容と現品が異なるとき、有効期限を過ぎたとき、法令等の改正により取扱いが変わったとき、回答が法令等の適用を誤っているときです。つまり製品の仕様変更があると無効になるということですね。
製品の成分や製造工程が変更されると、事前教示の内容が無効になる可能性があるため注意が必要です。製造工程検討の段階での申請は避けるべきで、仕様が確定してから申請するのが原則です。
法律改正による取扱い変更も失効の原因となります。税制や関税制度の改正があった場合、以前の回答内容が適用されなくなることがあります。
回答内容はあくまで照会者が示した事実関係とその時点の法令に基づく判断です。実際の輸入貨物の事実関係が申告内容と異なれば、想定外の審査結果になる可能性があります。
参考)事前教示制度の概要について|記事一覧|貿易通関・税務・知財 …
手続きの煩雑さは最大のデメリットです。書面で事前に関税率等を確定させるため、税関側には絶対に正しい判断をしなければならないプレッシャーがあり、求められる資料や質問は通常の申告時より多くなります。場合によっては答えの出ない無限ループに陥る危険性もあります。
参考)事前教示のデメリット – 関税削減.com【HSコード分類事…
情報の公開リスクも考慮すべき点です。事前教示の回答内容は税関のホームページで公開されるため、企業秘密が漏れる恐れがあります。競争相手に情報を提供してしまう可能性や、特許出願手続きにおいて影響が出るケースもあります。ただし秘密事項については取り扱いの規定が存在します。
回答までに時間がかかる場合があります。複雑な規制が関わる場合や情報提供に誤りがある場合には、回答まで数週間かかることもあるため、余裕を持ったスケジュールが必要です。
税関の回答が必ずしも最終的ではないという点も理解しておくべきです。事前教示の回答は税関が提供できる最良の情報に基づくものですが、最終的な通関時には異なる判断が下される場合もあります。
正確な情報を税関に伝えることが非常に重要で、間違った情報を踏まえた回答では何らの意味もありません。弁護士など専門家への事前相談も検討すべきでしょう。
参考)事前教示制度~業務委託料の考え方~
事前教示制度は通関士の業務負担を軽減する効果があります。品目分類や原産地判定で迷うケースでも、事前に税関の見解を得ておけば、輸入申告時の判断に自信を持てます。
参考)通関士をも救う!?事前教示制度の概要と利用方法を徹底解説! …
通関審査の透明性向上にも貢献します。文書による事前教示の照会・回答内容は公開され、税関における取扱いの透明性が高まります。他の輸入者も同様の事例を参考にできるため、業界全体の通関実務が標準化されていきます。
参考)https://www.customs.go.jp/roo/origin/ippan.pdf
新製品を扱う商社や多品種少量輸入を行う事業者にとっては、制度活用が特に有効です。輸入コストの見積もりや価格設定が正確にできるようになり、ビジネスの予測可能性が高まります。
参考)事前教示制度とは?仕組みとメリット・申請方法を解説
税関のホームページでは、公開可能な事前教示回答の内容を検索できます。一般的品名、税番、貨物概要などで検索し、類似事例を参照できるため、自社の貨物がどのように分類されるか事前に目安をつけられます。
この検索機能が活用できますね。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/bunrui/index.htm
口頭での照会も可能ですが、口頭での回答は税関の審査で尊重されません。確実性を求めるなら文書による照会が必須です。
税関の事前教示回答(品目分類)データベースでは過去の回答事例を検索できます