保険料込み価格とは意味や計算方法

通関業務において課税価格の算出に欠かせない保険料込み価格。CIFやCIPといったインコタームズとの関係、実務での計算方法、申告時の注意点まで、知らないと損するポイントを網羅的に解説します。あなたの申告は本当に正しいですか?

保険料込み価格の意味と計算方法

保険料不明のまま申告すると加算税リスクあり

この記事のポイント
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保険料込み価格の定義

CIF・CIP条件における運賃・保険料を含めた取引価格の仕組みと課税価格への影響

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計算方法と実務処理

保険料不明時の対応、110%付保の慣習、通関申告時の加算要素の正しい扱い方

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インコタームズとの関係

CIFとCIPの保険範囲の違い、2020年改訂による補償内容変更の実務への影響

保険料込み価格の基本的な意味

保険料込み価格とは、インコタームズにおけるCIF(Cost, Insurance and Freight)やCIP(Carriage and Insurance Paid to)条件で使用される取引価格を指します。FOB価格(本船渡し価格)に運賃と保険料を加算した金額が契約価格として設定されるのが特徴です。


通関業務では、この保険料込み価格が課税価格の算出に直接影響します。


参考)https://www.customs.go.jp/koujigaku/hokenryofumei.htm


日本の関税定率法第4条第1項第1号により、輸入港到着までの運賃・保険料は課税価格に含める必要があるためです。CIF条件やCIP条件で輸入する場合、売買契約に基づいて輸出者が横浜港などの到着港まで付保することとなり、実際支払価格に既に運賃・保険料が含まれています。


したがって別途の加算は不要です。


ただし買主が自己負担で追加保険に加入した場合、その追加保険料は課税価格に加算しなければなりません。実務では保険を二重に手配するケースもあるため、契約条件と実際の保険手配状況の確認が重要になります。つまり契約書だけでなく実際の保険証券の内容まで確認する必要があるということですね。


参考)대문관세법인 공식블로그 : 네이버 블로그

通関業務従事者にとって保険料込み価格の理解は、正確な課税価格算出と適切な申告のために必須の知識です。


参考)「通常要すると認められる」運賃や保険料 1


保険料込み価格におけるCIFとCIPの違い

CIFとCIPは似た条件ですが、適用される輸送手段と保険内容に明確な違いがあります。CIFは海上輸送に限定される条件であり、売主が指定の輸出港まで貨物を運び、運賃と保険を手配します。一方CIPは海上輸送以外の陸上輸送や航空輸送など多様な輸送手段に対応できる条件です。


インコタームズ2020の改訂により、両者の保険補償範囲に重要な変更がありました。


参考)【2020年版】インコタームズ(貿易条件)とは?2010年版…


CIF条件では従来通り最低ランクのICC-(C)約款(協会貨物約款C条件)での保険が適用されますが、CIP条件では全13種類をカバーするICC-(A)約款の適用が義務化されています。これにより売主側の保険料負担は増加しましたが、買主はより手厚い補償を受けられるようになりました。


補償範囲が広がったということですね。


この変更はインコタームズ2010から続けている取引では特に注意が必要です。CIP条件で計算していた保険料を最新の条件で計算し直さないと、実際の保険料と申告額に差異が生じる可能性があります。通関業務従事者は、契約がどちらの条件に基づいているか、またインコタームズのどの版を使用しているかを確認することが求められます。

保険料込み価格の計算方法と実務対応

保険料込み価格の計算では、保険金額の設定方法を理解することが第一歩です。一般的にCIF価格の110%が付保対象金額となります。この10%の上乗せは期待利益分を考慮したもので、貿易実務における標準的な慣習です。


参考)輸入における価格および取引条件の決定方法:日本


具体例で見てみましょう。


CIF横浜港渡し価格が100万円の場合、保険金額は110万円(100万円×110%)で設定されます。保険料率が0.5%(50銭)で戦争危険とストライキ危険を含む条件なら、実際の保険料は110万円×0.5%=5,500円となります。この金額が課税価格に含まれることになります。

CFR(Cost and Freight、運賃込み)条件で輸入する場合は、CFR価格に保険料を加算してCIF価格を算出し、さらに10%を加算した額で付保するのが通常です。

例えばCFR価格が90万円で保険料が5,000円なら、CIF価格は905,000円、付保金額は995,500円(905,000円×110%)となります。


実務でよく直面するのが、輸入申告時に保険料の額が不明なケースです。予定保険や包括保険を利用している場合、時間的な問題で保険料が算出されていないことがあります。このような場合、関税定率法基本通達4-8(4)ハにより、輸入申告実績に基づき税関長が公示する「通常要すると認められる保険料の額」を申告することが認められています。


参考)https://www.customs.go.jp/koujigaku/unchintokureitekiyou.htm


これは救済措置ということですね。


なお従前は保険料不明時にC&F価格の1%を保険料として申告する取扱いがありましたが、この措置は既に廃止されています。現在は税関長が公示する額を使用するか、実際の保険料が判明するまで待つ必要があります。運賃特例が適用される輸入貨物については、税関長が公示する運賃及び保険料の額を申告することも可能です。


保険料込み価格と課税価格の関係

課税価格の算出において、保険料込み価格は中心的な役割を果たします。日本では物品の卸売価格に運賃と保険料を加算したCIF価格が課税標準となるため、仕入書価格に運賃・保険料が含まれていない場合は加算が必要です。


参考)輸入通関における現実支払価格算定のための加算費用と控除費用:…


保険料として課税価格に算入するのは、原則として輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に関して実際に要した保険料です。


参考)保険料と課税価格について

輸入港到着後の保険料(国内運送に係る保険料など)は課税価格に算入されません。ただしこれらの費用が現実支払価格や輸入港までの保険料に含まれており、その額が明らかでない場合は、貨物輸入にあたって支払った保険料の総額を課税価格に加算する必要があります。

意外ですね。


重要なポイントとして、輸入貨物に保険が付されていない場合、実際に支払われていない保険料を見積もって課税価格に含める必要はありません。あくまで実際に付保された保険についてのみ、その保険料を課税価格に算入します。


通関業務従事者は、契約条件を確認し、実際にどの範囲の保険が付されているかを正確に把握することが求められます。


保険金額の算定基準として、CFR条件の場合はCFR価格に保険料を加算してCIF価格を求め、これに期待利益分10%を加算した額で付保するという計算式を覚えておくと実務で役立ちます。海上保険は日本での貨物の最終目的地まで通しで付保することが推奨されています。


保険料込み価格申告時の注意点と対策

輸入申告における保険料の扱いには、実務上の注意点がいくつかあります。最も重要なのは、保険料が課税価格に含まれるべきケースで漏れなく申告することです。輸入貨物について本邦の輸入港に到着するまでの運送に関して保険が付されている場合、当該保険に係る費用は課税価格に含める必要があります。


付保されている輸入貨物の輸入申告に際しては、価格や運賃の中に保険料が既に含まれている場合を除き、保険料の額を申告することが必須です。

これは必須ですということですね。


保険料が不明な場合の対応として、税関長が公示する「通常要すると認められる保険料の額」を申告する方法があります。この公示額は暦年の輸入申告実績に基づき関税局長が毎年決定し、税関長に通知されます。予定保険や包括保険を利用している場合で申告時に保険料が確定していないときは、この制度を活用できます。


運賃特例が適用される輸入貨物については、別途「通常要すると認められる運賃及び保険料の額」が公示されています。該当する貨物を扱う際は、この特例措置の利用も検討しましょう。

実務でのリスク回避策として、保険証券や保険料の支払証明書類を輸入申告前に入手しておくことが推奨されます。


損害保険会社またはその代理店から見積書を入手し、正確な保険料を把握しておけば、申告時の不確実性を減らせます。契約条件がCIFやCIPの場合でも、輸出者が手配した保険の内容を確認し、買主側で追加保険を手配していないか社内でチェックする体制を整えると安心です。


厳しいところですね。



保険料の二重計上や計上漏れは修正申告更正のリスクにつながるため、契約書・インボイス・保険証券の三点セットで保険料の扱いを確認する習慣をつけることが重要です。