通関手続きで保険証券がないまま放置していませんか?
一般的な損害保険会社では、保険証券の再発行に手数料は請求されません。
参考)https://faq-smp.sompo-japan.jp/other/faq_detail.html?id=200519amp;category=71905amp;page=710
東京海上日動、損保ジャパン、AXA損害保険など主要保険会社では、契約者本人からの依頼であれば無料で再発行手続きを受け付けています。ただし、手続きから証券到着までには約1~2週間を要するのが一般的です。
参考)保険証券とは?必要になる場面と紛失時の再発行手順について解説…
つまり無料でも時間はかかるということですね。
通関業務に携わる場合、この待機期間が貨物の引き取り遅延につながる可能性があります。特に輸入申告時には保険料明細書の提出が求められるため、証券の再発行を待つ間に貨物が港湾や空港で滞留し、保管料が発生するリスクがあります。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1107_jr.htm
一部の保険会社では再発行回数に制限を設けている場合や、特定条件下で有料となるケースも存在するため、契約時に確認しておくと安心です。
参考)保険証券とは?記載内容や必要な場面、紛失時の再発行の方法を解…
輸入申告の際、税関には保険料明細書の提出が法的に義務付けられています。
貨物海上保険に加入している場合、保険料は関税消費税の課税対象となるため、税関は正確な保険料額を把握する必要があります。保険証券またはそれに準ずる書類(DebitNoteや保険料明細書)がなければ、課税価格の算定ができず、輸入申告が受理されない事態に陥ります。
参考)輸入時の必要書類
保険料額が不明な場合でも申告自体は可能ですが、後日修正申告が必要になり、二度手間になります。
通関業務従事者は、インボイス、船荷証券(B/L)、包装明細書といった基本書類に加え、保険関連書類を確実に揃える責任があります。特に貨物海上保険証券は、輸出者がCIF条件で発行した場合に輸入者側で受け取る重要書類であり、紛失した場合の再発行手続きには時間がかかるため、日常的な書類管理が不可欠です。
保険証券の原本が手元にない場合、保険会社が発行するDebitNoteで通関手続きを進めることができます。
参考)https://www.marineinsurance.jp/insurance/marine/qa/application
DebitNoteとは、保険会社が保険料を請求する際に発行する英文の保険料請求書で、保険料の金額と対象貨物を明示した書類です。多くの保険会社では、オンラインシステムを通じて輸入者が自身のプリンターでDebitNoteを発券できる仕組みを提供しており、郵送を待つより迅速に対応できます。
通関時の代替書類として有効です。
ただし、税関によってはDebitNoteだけでなく、保険契約の存在を証明する追加資料(包括保険証明書や契約書のコピーなど)の提示を求められる場合があります。特にインボイス金額と保険料の整合性について説明を求められるケースでは、DebitNoteが差額の証明書類として機能します。
FOB条件で輸出者が運送・保険手配を代行した場合にも、輸出者からのDebitNoteで運賃や保険料を別途請求されることがあり、この場合も税関への説明資料として活用されます。
個別の貨物ごとに保険証券を発行せず、一定期間の全輸送を一括でカバーする包括保険契約を利用すれば、証券紛失リスクを大幅に軽減できます。
包括保険では、毎回個別の保険証券を発行する必要がなく、包括契約証明書とDebitNoteのみで通関申告を行えます。これにより、書類の枚数が減り、管理負担が軽減されるだけでなく、輸入申告をスムーズに進められる利点があります。
申告手続きの迅速化につながります。
さらに、包括保険契約では保険会社のオンラインシステムと連携し、輸入者が必要なときに必要な書類を即座に発券できる環境が整っています。これにより、従来の郵送待ちによる時間的ロスが解消され、貨物到着から引き取りまでのリードタイムを短縮できます。
通関業務の効率化を目指す企業にとって、包括保険への切り替えは検討する価値のある選択肢です。保険会社の担当者に相談し、自社の輸入頻度や貨物の種類に応じた最適なプランを選ぶことで、書類管理の煩雑さから解放されます。
保険証券の再発行手続きには、契約者本人からの申請が原則であり、本人確認書類の提出が求められます。
かんぽ生命やソニー生命などでは、契約者の実印と印鑑登録証明書(発行日から6カ月以内)の提出を必須としています。また、再発行する保険証券の記号番号が確認できる資料(契約内容のお知らせ、保険料領収証など)も準備する必要があります。
参考)保険証券再発行
本人確認は必須です。
貨物海上保険の場合、輸入者が契約者でないケースもあり、この場合は輸出者や保険契約者からの委任状が必要になることがあります。特に信用状(L/C)取引で第三者が保険証券を保有している場合、回収が困難なため、追約書(EndorsementまたはRider)を発行して内容訂正を行う手続きが取られます。
通関業務従事者としては、保険証券の管理責任者を明確にし、紛失時に迅速に再発行手続きを開始できる体制を整えておくことが重要です。社内で証券番号のリストを作成し、デジタルで保管しておけば、緊急時の対応がスムーズになります。
保険証券の再発行待ちで輸入申告が遅れると、港湾や空港での貨物保管料が日ごとに加算されます。
一般的な保税倉庫では、貨物到着後のフリータイム(無料保管期間)を過ぎると、1日あたり数千円から数万円の保管料が請求されます。特に大型貨物やコンテナ単位の輸入では、1週間の遅延で10万円以上のコストが発生するケースも珍しくありません。
遅延コストは予想以上です。
このリスクを回避するには、保険証券が手元に届く前にDebitNoteや包括保険証明書で先行して輸入申告を行う方法が有効です。税関に事前相談し、代替書類での申告を認めてもらえるか確認しておくと、万が一の紛失時にも慌てずに対応できます。
また、保険会社との契約時に、緊急時のDebitNote即日発行サービスの有無を確認し、オンライン発券システムの利用権限を事前に取得しておくと安心です。通関業務の現場では、書類不備による遅延が企業の信用問題に直結するため、予防的な対策が不可欠です。
税関公式サイト「輸入申告の際に必要な書類」で、保険料明細書の提出義務について詳しく確認できます
外航貨物海上保険の申し込みQ&Aで、DebitNoteの発券方法や包括保険のメリットが解説されています