分割して送れば20万円を超えても到着通知書が来ないと思ったら、合算されて申告漏れになりますよ。
国際郵便に関わる業務では、「到着通知書」という書類が2種類存在することを正確に理解しておく必要があります。混同しやすいため、現場での確認ミスが起きやすいポイントです。
1つ目は、課税価格が20万円以下の郵便物に対して送られる「外国から到着した郵便物の税関手続のお知らせ(税関様式C-5081)」です。これは価格が不明・法令許可品の疑いなどがある場合に、税関外郵出張所からはがき形式で名宛人へ簡易書留で届けられます。つまり価格が20万円以下でも、内容品の説明が不足していたり、他法令(食品衛生法・医薬品医療機器等法など)に引っかかる可能性があれば、このはがきは飛んできます。これが原則です。
2つ目は、課税価格が20万円を超える郵便物に対して、日本郵便株式会社から送られる「輸入(納税)申告を必要とする可能性がある国際郵便物のお知らせ(到着通知)」です。こちらは輸入申告が必要になるため、手続きの性質がまったく異なります。
この2種類は発行元が異なるという点が重要です。前者は税関外郵出張所、後者は日本郵便株式会社。つまり到着通知書が届いたときに「どちらから来たか」を最初に確認することが、その後の手続きルートを正しく選ぶための前提条件になります。
実務では「はがきが来たから郵便局に持って行けばいい」という認識で処理してしまうケースが見られますが、課税価格20万円超の案件では輸入(納税)申告が必要であり、郵便局窓口への持参だけでは完結しません。二種類をきちんと識別することが、業務品質の根幹です。
税関|6101 国際郵便物の通関手続の概要(カスタムスアンサー)
※課税価格による手続きの分岐や、はがきが届いた際の対応手順が詳細に記載されています。
到着通知書(税関様式C-5081)が届いたとき、多くの場合「書類を集めてから対応しよう」と後回しにしてしまいがちです。しかし、これには明確な期限があります。
税関の規定によれば、到着通知書(はがき)の日付の翌日から起算して1か月以内に輸入手続きが行われない郵便物については、国際郵便約款の規定により、原則として日本郵便から差出人に返送されます。これは関税法や国際郵便約款第66条・第67条・第99条に基づく取り扱いです。
1か月というのは、一見余裕があるように見えます。しかし実務では、インボイスを海外の荷送人へ再依頼したり、他法令(食品衛生法・薬機法など)の確認書類を省庁から取得したりするために、思いのほか時間がかかるケースがあります。特に食品や健康食品、動植物由来品などは複数の機関との調整が必要になるため注意が必要です。
もし1か月を超えそうな場合は、期限内に税関へ理由を申し出ることが必要です。具体的には、返信用はがきの受取人記載欄に理由を記載して郵送するか、電話やFAXで税関外郵出張所に連絡します。この手続きをしないまま期限を過ぎると、通知なしに返送が実行されてしまいます。痛いですね。
また、返送された郵便物を再度日本に送ってもらう場合には、再度の国際送料・梱包費が発生します。さらに、商業用途の貨物であれば取引先との信頼関係にも影響しかねません。「1か月以内に動く」または「動けない場合は事前に申し出る」が原則です。
税関|6107 外国から到着した郵便物の輸入手続の期限(カスタムスアンサー)
※1か月の保管期限と、延長手続きの具体的方法が公式に案内されています。
必要書類の提出方法は、①FAX、②郵送、③持参の3種類が受け付けられています。FAXで送る場合は、税関外郵出張所に事前に電話を入れたうえで、FAX送信表または書類の余白に「通知番号・名宛人氏名・電話番号・税関担当者名」を明記する必要があります。
最も多いのが「価格確認」のケースです。仕入書(インボイス)の金額と申告価格に乖離がある場合や、インボイスが添付されていない場合に照会が来ます。この場合は、発注書・振込明細・ECサイトの購入確認メール・クレジットカード明細など、価格の実証資料を用意して提出します。
通知番号などの必要事項が記載されていない書類を提出した場合、特定できず通関手続きが進みません。これが原因で保管期限に間に合わないケースもあります。書類提出時の記載漏れには十分注意が必要です。
東京税関|「外国から到着した郵便物の税関手続のお知らせ」(簡易書留)を受け取られた方へ
※照会事項の種類ごとに対応方法のリンクが整備されており、価格確認から各種法令対応まで網羅されています。
通関業務の現場で意外と見落とされやすいのが、「分割発送」による合算課税のルールです。これが盲点になっている案件は少なくありません。
関税法の規定に基づき、同一差出人から同一名宛人へ、同一時期に分割して送付された郵便物の課税価格は合算して計算されます(関税法基本通達)。たとえば、海外の仕入れ先から15万円分と8万円分に分けて2個口で発送してもらったとしても、課税価格は合計23万円とみなされ、20万円超として扱われます。
つまり分割して20万円以下に収めようとしても、税関側で合算されてしまうということです。これが原則です。
この合算ルールが発動すると、個々の荷物は20万円以下でも輸入(納税)申告が必要になるため、到着通知書が届きます。通関業者としては、依頼主から「分割で送ってもらったから問題ない」と言われても、合算される可能性を含めて確認することが重要です。
また、ミプロ(対日貿易投資交流促進協会)の資料によると、税関で個人輸入品と間違われた場合に、輸入者への到着通知が送られないまま通関されてしまうケースがあります。業務用(転売目的)の商品が個人輸入扱いで通関されると、その製品を国内で販売できなくなるリスクがあります。小包の外側やインボイスに「業務用」であることを明記しておくよう荷送人に依頼することが、現場での実践的な対策です。
ミプロ(一般財団法人対日貿易投資交流促進協会)|通関手続き:小口輸入の流れ
※国際郵便・国際宅配便・手荷物・貨物別の通関フローと合算課税の実務解説が詳しく掲載されています。
課税価格が20万円を超える郵便物の場合、輸入(納税)申告を行う選択肢は3つあります。①輸入者本人が自ら申告する、②日本郵便に委任する、③任意の通関業者に委任する、です。
日本郵便に委任する場合の手数料は、品目数2つまでの場合で6,600円(税込)、品目数6つまでで12,000円(税込)が目安とされています。この手数料以外に、関税・消費税等の税額自体が別途発生します。
一方、任意の通関業者に委任する場合は、業者によって料金が異なりますが、書類整備や他法令対応まで含めたサポートを受けられるケースもあります。これは使えそうです。
どの方法を選ぶかは「荷物の複雑さ」によって変わります。具体的には、他法令(食品衛生法・薬機法・輸入貿易管理令など)の許可・承認が必要な品目は、日本郵便への委任だけでは対応しきれない場合があります。この場合、専門の通関業者に依頼して他法令の手続きを並行して進める方が、保管期限内に確実に通関を完了させる上で有効です。
また、通関業者として依頼を受ける立場であれば、受任前に「到着通知書の日付」を必ず確認することが重要です。受任時点ですでに保管期限まで数日しかない、というケースも実際に起こります。受任と同時に期限の確認と、税関への状況報告を優先して動くことが、業務品質を守るための実践的な対応です。
| 委任先 | 手数料の目安 | 特徴・向いているケース |
|---|---|---|
| 日本郵便 | 6,600円〜12,000円(品目数による) | シンプルな一般品・他法令非該当品 |
| 任意の通関業者 | 業者により異なる(要見積) | 他法令対応が必要な品目・複雑案件 |
| 輸入者本人 | 手数料なし(税金・実費のみ) | 手続きに慣れている・書類が揃っている場合 |
なお、輸入者が課税に納得せず税金の納付を拒否した場合、荷物を受け取ることができません。課税額の決定は郵便局ではなく税関が行うため、課税内容への異議は税関外郵出張所に直接問い合わせる必要があります。この点は依頼主への事前説明として持っておくと、現場でのトラブル防止につながります。
税関|6101 国際郵便物の通関手続の概要(カスタムスアンサー)
※日本郵便への委任を含む、課税価格20万円超の郵便物に関する手続きフローが明記されています。