管理医療機器リカバリーウェアの通関と輸入手続きの要点

管理医療機器に分類されるリカバリーウェアを輸入する際、通関業従事者が押さえるべき薬機法手続きや書類とは何か。クラスII認証から偽造品リスクまで、実務で役立つ知識を解説します。あなたは正しく対応できていますか?

管理医療機器リカバリーウェアの通関・輸入手続きの要点

「ウェアだから衣類として普通に通関できる」と思っていると、薬機法違反で貨物が全量差し止められます。


📋 この記事の3ポイントまとめ
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管理医療機器(クラスII)は衣類扱いにならない

コラントッテRESNOのようなリカバリーウェアはクラスIIに分類され、薬機法の規制対象。「衣類」として輸入申告すると関税法第70条違反につながる。

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通関時には3種の書類提示が必須

製造販売業許可証の写し・製造販売認証書の写し・外国製造業者登録証の写しを税関に提出しなければ輸入許可が下りない。

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偽造品リスクが急増中──関税法第69条の11で没収

2026年3月、BAKUNEシリーズの偽造品に対する輸入差止申立てが東京税関で受理。知的財産侵害物品として全税関で没収対象となった。


管理医療機器リカバリーウェアとは何か:クラス分類と法的位置づけ

リカバリーウェアという言葉は、いまやスポーツ・健康市場で広く使われています。しかし通関業務の現場では、「ウェア=衣類」と単純に判断してしまうケースが後を絶ちません。実際には、製品の効能効果の表示内容や機能によって、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の規制対象となるかどうかが大きく変わります。


リカバリーウェアの法的区分を理解するうえで欠かせないのが、医療機器のクラス分類です。クラスⅠは「一般医療機器」と呼ばれ、不具合が生じても人体へのリスクが極めて低いもので、PMDAへの届出のみで販売できます。たとえば救急絆創膏や医療用ガーゼがこれにあたります。2022年10月に厚生労働省が新設した「家庭用遠赤外線血行促進用衣」の区分(コード71105001)は、このクラスⅠに相当し、BAKUNEシリーズ(TENTIAL社)などが代表的な製品です。


クラスⅡは「管理医療機器」です。不具合が生じた場合の人体へのリスクが比較的低いもので、電子体温計や家庭用電気マッサージ器などが該当します。そしてリカバリーウェア分野では、コラントッテのRESNOシリーズが「家庭用永久磁石磁気治療器」としてこのクラスⅡに認証されています。つまり管理医療機器のリカバリーウェアです。


クラスⅡの場合、第三者認証機関による認証が必要という点が、クラスⅠの届出制と決定的に異なります。コラントッテはISO13485の認証も取得しており、品質管理体制の面でもより厳格な基準が求められています。通関業従事者がまず確認すべきは、対象の貨物がクラスⅠ(届出制)なのかクラスⅡ(第三者認証)なのかという点です。


クラスⅡが条件です。業者から提示された書類に「認証番号」が記載されているかどうか、最初のチェックポイントとして記憶しておきましょう。


PMDAの医療機器クラス分類解説(管理医療機器の定義と認証プロセス)


管理医療機器リカバリーウェアの輸入に必要な許可と事前手続き

管理医療機器(クラスⅡ)の輸入は、一般貨物とはまったく異なる事前準備が必要です。まず知っておくべきは、輸入者(製造販売業者)が業許可を取得していることが、通関の前提条件であるという事実です。許可がなければ、製品が港に着いていても通関できません。


製造販売業許可について整理しましょう。クラスⅡ(管理医療機器)のリカバリーウェアを輸入販売する場合、第二種医療機器製造販売業許可(または第一種)が必要です。この許可は、事業所所在地を管轄する都道府県薬務主管課(都道府県知事)に申請します。申請にあたっては、品質管理方法(GQP省令への適合)、製造販売後安全管理方法(GVP省令への適合)、そして総括製造販売責任者(常任雇用・資格要件あり)の選任が条件となります。


次に、製品が海外の製造所で作られている場合は、外国製造業者登録の取得も必須となります。これはPMDAに申請し、厚生労働大臣の権限で登録されるものです。日本国内の製造業者登録に相当する制度で、外国の製造所が品質管理体制をクリアしているかどうかが審査されます。外国製造所から直接日本の市場に出荷することは認められておらず、必ず日本国内の製造所(保管場所)を経由して市場出荷判定を受ける必要があります。


さらに品目ごとの製造販売認証も必要です。クラスⅡは第三者認証機関による認証が必要であり、認証基準がある品目については認証書の発行を受けてから輸入することが前提です。つまり「製品が完成したから輸入しよう」ではなく、「認証・許可を取得したうえで輸入する」が正しい手順の流れです。


2024年の日本の医療機器輸入金額は3兆6,056億円(前年比8.5%増)にのぼり、国内生産金額2兆6,642億円を大きく超えています。それだけ医療機器の輸入量は多いにもかかわらず、事前手続きの複雑さから書類不備が起きやすいのが現状です。これは使えそうです。


鈴与:医療機器を輸入する際に押さえておきたいポイント(許可の種類・クラス別要件を詳解)


管理医療機器リカバリーウェアの通関申告で必要な書類と税関確認の流れ

許可・認証の取得が整ったら、いよいよ通関申告の段階です。ここで通関業従事者が確実に把握しておくべきは、輸入申告時に税関へ提示が求められる書類の種類です。関税法第70条の規定に基づき、税関は薬機法上の許可・承認等を受けているかどうかを輸入申告の場で確認します。


提示が求められる書類は以下の3点です。まず「医薬品等製造販売業許可証(写し)」、次に「医薬品等製造販売認証書(写し)または届書(写し)」、そして「外国製造業者登録証(写し)」です。これらを事前に輸入者から受け取り、通関業者通関業法に基づく許可を持つ者)が税関に提出することになります。


ここで注意が必要な点があります。「輸入申告における代理人」と「通関業務を行う通関業者」は、法的に明確に区別されています。製造販売業者自身が輸入申告の代理人として名称を申告書に記載する場合でも、実際の通関業務(申告の代理)を業として行う者は、通関業法第3条に基づく通関業の許可を受けた通関業者でなければなりません。この点を混同すると通関業法違反となるため、役割分担の確認が原則です。


また、書類の内容確認も重要です。認証番号が認証書と申告品目の情報と一致しているか、製造販売業許可の種類(第一種・第二種・第三種)が申告する医療機器のクラスに対応しているかを照合します。クラスⅡ(管理医療機器)であれば、第三種(クラスⅠのみ対応)では許可の範囲外となるため、書類の確認不足が差し止めの原因になりかねません。


関税法第70条が条件です。このルールに基づき、書類が整っていなければ輸入許可は下りないと理解したうえで、依頼主への書類収集依頼を早期に行うことが実務上の鉄則と言えます。


税関:医薬品医療機器等法に基づく輸入規制の税関における確認内容(カスタムスアンサー)


リカバリーウェア市場拡大で高まる偽造品リスク──通関業従事者が知るべき関税法第69条の11

リカバリーウェア市場は急速に拡大しています。それに伴い、偽造品や模倣品の輸入リスクも無視できなくなっています。2026年3月16日、TENTIAL社は東京税関に対して、同社のリカバリーウェア「BAKUNE」シリーズ一部商品の偽造品(模倣品)に対する輸入差止申立てが受理されたと発表しました。この受理により、全国の税関において没収など取締りの対象に追加されています。


知的財産侵害物品は、関税法第69条の11により輸入してはならない貨物と明確に定められています。商標権意匠権著作権などを侵害する物品は税関で没収されます。通関業従事者にとってこれが重要なのは、意図せず偽造品の輸入通関を担うリスクがあるからです。


実務上の確認ポイントとして、まず製品に記載されている製造販売届出番号または認証番号を、厚生労働省の医療機器情報システム(JMDN等)で照合することが有効です。次に、輸入者から提示された認証書が本物かどうか、発行機関名・認証番号・製品名が一致しているかを確認します。また、2次流通サイト(フリマアプリ・ECサイト等)経由の荷物には特に注意が必要です。TENTIAL社の発表でも「2次流通サイトやECサイト等において偽造品が流通している」と明示されており、輸入経路の透明性確認が求められます。


痛いですね。偽造品を通関してしまった場合、通関業者は関税法違反の問題に巻き込まれる可能性があり、業務上の信頼も大きく損なわれます。TENTIAL社の件のように、主要ブランドの偽造品差し止めは今後も増える見通しであるため、今のうちに確認フローを整備しておくことが重要です。


TENTIAL:偽造「BAKUNE」リカバリーウェアに対する輸入差止申立ての受理について(PR TIMES)


管理医療機器リカバリーウェアの輸入で通関業従事者だけが気づける「表示義務」の落とし穴

ここからは、検索上位の記事ではほとんど取り上げられていない、通関業従事者の視点ならではの重要論点です。それは「表示義務」と「ラベル確認」の問題です。


薬機法では、医療機器として販売するために、製品に対して法定の表示が義務づけられています。具体的には、製品に日本語で「名称」「製造販売業者名・住所」「製造番号または製造記号」「重量・容量・個数」「用途に応じた注意事項」などの表示が必要です。そして管理医療機器(クラスⅡ)の場合は、加えて「認証番号」の表示が求められます。


通関の段階でこの表示義務を確認することは、形式的には輸入者の責任領域ですが、通関業従事者が貨物の書類を見る段階でラベルサンプルや商品仕様書を照合しておくと、後のトラブルを未然に防げます。たとえば海外製の製品に認証番号の記載がない、あるいは日本語表示がまったくない状態で到着した場合は、国内での「製造業登録」を経た包装・表示作業が必要となります。


この「包装・表示・保管」を輸入後に国内で行う場合は、医療機器製造業登録が別途必要です。輸入者がこの登録を持っているかどうかを確認し忘れると、輸入許可後の国内流通が止まるという事態が発生します。輸入許可が下りた時点で安心してしまうのがよくあるパターンで、「輸入できた=流通できる」ではないということです。


つまり製造業登録の有無が条件です。輸入依頼を受けた段階で、製造販売業許可証だけでなく、製造業登録証(包装・表示・保管用)の写しも合わせて収集するよう依頼主に伝えることで、後工程のトラブルを回避できます。リカバリーウェアはウェア(衣類)の見た目をしていても、管理医療機器であれば医療機器としての流通ルールが全面的に適用されます。見た目に惑わされないことが、通関業従事者としての専門性の発揮どころです。


JETRO:医療機器の輸入手続き(日本)─製造販売業許可・製造業登録・承認申請の全体像