第三者認証機関と医療機器の通関で知る輸入規制の要点

医療機器の輸入通関において第三者認証機関の役割を正しく理解していますか?認証区分の見落としが通関遅延や輸入禁止につながるリスクを、通関業従事者向けにわかりやすく解説します。

第三者認証機関と医療機器の輸入通関における規制の要点

第三者認証機関の認証を取得していても、薬機法上の輸入手続きが別途必要なケースが全体の約7割に上り、認証だけで通関できると思い込むと通関差し止めになります。


この記事のポイント3つ
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第三者認証機関とは何か

医療機器の安全性・有効性を審査する登録認証機関の役割と、PMDAによる承認との違いを整理します。

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通関業務への直接的な影響

認証区分ごとに必要な書類が異なり、クラス分類の確認ミスが輸入差し止めや罰則につながるリスクがあります。

実務で使えるチェックポイント

輸入時に確認すべき認証番号・区分・期限の照合手順と、見落としやすいポイントを具体的に紹介します。


第三者認証機関とは何か:医療機器のクラス分類と審査の仕組み

医療機器の輸入通関を担う上で、まず押さえておくべきなのが「第三者認証機関」という概念です。日本では薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に基づき、医療機器はそのリスクレベルに応じてクラスⅠからクラスⅣの4段階に分類されています。


クラスⅠは不具合が生じても人体への影響がほとんどない一般医療機器(例:舌圧子、ピンセット)です。クラスⅡは不具合が生じても生命への危険が低い管理医療機器(例:家庭用電気マッサージ器、電子血圧計)にあたります。クラスⅢとクラスⅣは高度管理医療機器と呼ばれ、人体への影響が大きいもの(例:透析器、心臓ペースメーカー)が該当します。


つまりクラスで必要な手続きが変わります。


第三者認証機関(正式名称:登録認証機関)が審査・認証を行うのは、主にクラスⅡの管理医療機器と一部のクラスⅢ高度管理医療機器です。国内では現在、一般財団法人医療機器センター(MDIC)や一般財団法人化学物質評価研究機構(CERI)など、厚生労働大臣が登録した複数の機関が認証業務を行っています。


これが基本です。


一方、クラスⅢおよびクラスⅣの大部分、さらに新規性の高い医療機器については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)による承認審査が必要になります。第三者認証と国(PMDA)承認は、対象品目も審査プロセスも全く異なる制度です。この区別を曖昧にしたまま輸入申告を進めることが、通関現場での最大のリスクの一つになっています。


通関業務を行う立場から見ると、輸入しようとする医療機器が「第三者認証取得済み」であることと、「輸入販売できる状態にある」こととは必ずしもイコールではありません。認証機関の認証番号があるからといって、輸入手続き上の書類が全部そろっているわけではない点は、業務の根幹として理解しておく必要があります。


厚生労働省:医療機器の登録認証機関制度について(クラス分類と認証制度の概要)


第三者認証機関の認証番号を通関書類で確認する方法と注意点

通関の実務では、医療機器の輸入申告を行う際に「薬監証明」や「輸入確認証」などの書類が必要になるケースがあります。第三者認証機関による認証品であっても、薬機法第23条の2の23に基づく手続きが必要な場合があり、認証書のコピーを提出するだけで話が終わるわけではありません。


確認すべき書類は複数あります。


具体的に確認すべきポイントとしては、まず「認証番号」の形式があります。第三者認証機関が発行した認証番号は「〇〇認証(認証番号)」という形式で記載されており、これが輸入申告時の品目確認に直結します。次に「認証の有効期限」です。医療機器の第三者認証には有効期間(通常3年)が設けられており、期限切れの認証書では輸入が認められません。


さらに重要なのが「認証品目の範囲」です。一つの認証書に複数の品目が含まれている場合、輸入しようとする製品が認証範囲内に入っているかどうかを品目ごとに照合する必要があります。「この認証書があればどれでも輸入できる」という解釈は誤りで、品目ごとの確認が原則です。


意外ですね。


さらに、外国製造業者(Foreign Manufacturer)として登録されているかどうかの確認も欠かせません。日本に医療機器を輸出する外国企業は、薬機法に基づき外国製造業者の認定(または登録)を取得している必要があります。この登録が存在しない場合、たとえ第三者認証取得済みの製品であっても、正規の輸入販売ルートを通じていない可能性があるため、通関業者として荷主に対して確認を求めることが重要です。


通関業者が自ら「薬機法的に問題ないか」を最終判断する立場にはありませんが、書類の整合性確認を通じて不備を早期に発見することは、荷主保護と法令遵守の両面から意義があります。荷主から「認証書は持っている」と言われた際も、上記の3点(番号・有効期限・品目範囲)を確認する習慣をつけるだけで、通関差し止めリスクを大幅に減らすことができます。


PMDA(医薬品医療機器総合機構):医療機器の審査・認証制度の概要(外国製造業者登録・認定の説明あり)


第三者認証機関の認証と薬機法上の輸入販売業許可の関係:通関業従事者が見落としやすい二重チェックの必要性

医療機器の輸入通関において、第三者認証の有無とは別に確認しなければならない重要な要件があります。それが「輸入販売業の許可」です。薬機法では、医療機器を業として輸入し販売するためには、高度管理医療機器等販売業・貸与業の許可(クラスⅢ・Ⅳ)または管理医療機器販売業・貸与業の届出(クラスⅡ)が必要です。


許可と認証は別物です。


つまり、第三者認証機関から認証を取得した製品であっても、輸入販売を行う事業者側がこれらの許可・届出を取得していなければ、薬機法違反になります。通関業従事者の立場からは、輸入申告書類の中に「高度管理医療機器等販売業許可証のコピー」「管理医療機器販売業届出書のコピー」などが含まれているかどうかを確認することが、業務上のリスク回避につながります。


なお、薬機法第24条に違反した場合(無許可での医療機器販売)、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。荷主がこの状況に陥ることは、通関業者にとっても手続き全体の遅延や差し止めという形で直接影響してきます。厳しいところですね。


実務上、通関業者が輸入者の許可証を確認する義務は直接的には定められていませんが、輸入申告の正確性という観点から、荷主に対して「販売業許可の有無」を事前確認の項目に加えることは合理的な対応といえます。特に初めて取引する荷主から医療機器の輸入依頼を受けた際には、このチェックを標準化しておくことが重要です。


具体的な実務フローとしては、①品目のクラス分類を確認する → ②第三者認証または国承認の有無を確認する → ③輸入販売業の許可・届出の有無を確認する、という3ステップを標準化することが推奨されます。この流れを一枚のチェックシートにまとめておくと、担当者ごとの確認漏れを防ぐ効果があります。


厚生労働省:医療機器の販売業・貸与業に関するQ&A(許可・届出の要件と違反時の罰則)


第三者認証機関による認証品でも輸入禁止になる条件:通関業従事者が知るべき薬機法の適用除外と例外規定

第三者認証機関の認証を取得した医療機器であれば輸入できる、という認識は不完全です。実際には、認証済み製品であっても輸入が認められないケース、または追加の手続きが必要なケースが複数存在します。


これは意外なポイントです。


まず挙げられるのが「個人輸入」との混同です。個人輸入の枠組みで医療機器を持ち込む場合には薬機法の適用が異なりますが、業者(法人・個人事業主)が輸入する場合には薬機法の制限が完全に適用されます。荷主が「個人でも使うから問題ない」と主張するケースがありますが、業として輸入・販売する以上、クラスⅡ以上の医療機器には必ず認証または承認が必要です。


次に、「未承認医療機器」に関する問題があります。日本国内では第三者認証の対象とされていないクラスⅡ品目(認証基準が存在しない新規性の高い製品)は、たとえ海外で同等の認証を取得していても、日本では第三者認証機関による審査を受けることができず、PMDAによる承認審査が必要になります。外国製認証書を日本の認証書と同等に扱ってしまうミスは、現場で時折見られるものです。


さらに、「基準不適合品」の問題も重要です。第三者認証機関が認証した製品であっても、その後に薬機法上の基準改正が行われた場合、旧基準で認証された製品は日本国内での販売が制限されることがあります。最新の認証基準(薬事法施行規則や薬機法関連告示)の改正情報をフォローしておくことが、通関業務の品質維持には不可欠です。


このような例外規定の存在は、「書類がそろっていれば大丈夫」という判断基準の危うさを示しています。書類の「内容」まで踏み込んで確認する視点が、通関業従事者の専門性を高める上で重要な鍵になります。


厚生労働省:未承認医療機器の輸入・使用に関する注意喚起ページ


第三者認証機関と医療機器通関の実務チェックリスト:現場で今すぐ使える確認手順と情報収集の方法

通関業務の現場では、医療機器の輸入依頼が来た時点でいくつかの確認アクションを迅速に行う必要があります。ここでは実務に直結するチェックリストと、情報収集に役立つ公的なデータベースを整理します。


まず使えるのが「医療機器届出・承認・認証情報データベース(JMDN検索)」です。


厚生労働省が公開している医療機器の届出・承認・認証情報は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のウェブサイト上で検索できます。「医療機器の承認・認証・届出情報」の検索ページを使えば、品目名または認証番号から製品の認証状況、認証機関名、有効期限などを確認できます。


これは使えそうです。


通関業従事者が実務で活用できる確認フローとしては以下の手順が効果的です。


| ステップ | 確認内容 | 確認先 |
|---|---|---|
| ① | 医療機器か否かの判断 | 薬機法第2条の定義・厚労省通知 |
| ② | クラス分類の確認 | PMDA医療機器分類データベース |
| ③ | 第三者認証または承認の確認 | PMDA承認・認証情報検索 |
| ④ | 認証番号・有効期限の照合 | 認証書原本とPMDAデータの照合 |
| ⑤ | 輸入販売業許可・届出の確認 | 荷主への書類提出依頼 |
| ⑥ | 外国製造業者認定・登録の確認 | 荷主または製造業者への確認 |


このフローを最初の問い合わせ段階で実施することで、輸入申告後に発覚する書類不備や通関差し止めのリスクを大幅に低減できます。特にステップ④の「認証番号の照合」を怠るケースが多く、荷主から提出された書類の認証番号とPMDAデータベース上の情報が一致しないケースも稀にあります。


また、医療機器の輸入に関してはHSコード(関税分類番号)の選定も重要な要素です。医療機器は主にHS第9018類から第9022類に分類されますが、品目によっては他の類に分類されるケースもあり、クラス分類と関税分類が必ずしも一致しない点にも注意が必要です。誤ったHSコードでの申告は、事後的な修正申告加算税のリスクにつながります。


さらに、経済産業省の「輸入貿易管理令」との関係も見落とせません。一部の医療機器は輸入承認が必要な品目に指定されている場合があり、薬機法上の手続きに加えて貿易管理上の手続きも並行して確認することが実務上の鉄則です。


PMDA(医薬品医療機器総合機構):医療機器の承認・認証・届出情報検索(認証番号の照合に直接使用できる公式データベース)