到着予定日まで余裕があると思ったら、実はフリータイム超過で1日ごとに数万円の追加請求が届きます。
アライバルノーティス(Arrival Notice/略称:A/N)とは、貨物を積んだ船が輸入港に到着する前に、船会社またはその代理店(フォワーダー)が荷受人に対して発行する「貨物到着案内書」のことです。日本語では「到着通知」または「到着案内」とも呼ばれます。
この書類が重要なのは、単なる「お知らせ」ではないからです。アライバルノーティスには、入港予定日・貨物の搬入先・コンテナ番号・B/L番号といった基本情報に加えて、海上運賃・THC(ターミナルハンドリングチャージ)・D/O Fee(デリバリーオーダー発行手数料)などの費用明細が記載されています。
つまりアライバルノーティスは請求書も兼ねています。
さらに、輸入申告の際に税関へ提出する「輸入地までの輸送費を証明する書類」としての役割も持っています。この運賃額は関税の計算基礎にも影響するため、関税担当者にとっては特に注意が必要な書類です。申告内容に不備があれば輸入許可が下りず、貨物を引き取れなくなるリスクがあります。
アライバルノーティスは欠かせない書類だ、と覚えておけばOKです。
| 記載項目 | 内容・意味 |
|---|---|
| SHIPPER / CONSIGNEE | 輸出者 / 輸入者の名称 |
| NOTIFY PARTY | アライバルノーティスの送付先(通知先) |
| ETA(到着予定日) | 本船が日本港に到着する予定日 |
| B/L No. / Container No. | 船荷証券番号 / コンテナ識別番号 |
| Freight & Charges | 海上運賃・各種手数料の明細 |
| PLACE OF DELIVERY | 貨物の搬入先(CYまたはCFS) |
| D/O交換先 | デリバリーオーダーを発行する船会社名 |
参考資料:アライバルノーティスの記載項目と貨物引き取りの流れを詳細に解説しています。
アライバルノーティス(貨物到着案内)とは? 特徴から発行手順 - OTS JAPAN
「アライバルノーティスはいつ届くのか」という問いに対する答えは、実は輸送手段によって大きく異なります。これは多くの輸入担当者が意外と把握していない点です。
海上貨物の場合、アライバルノーティスは本船が出港してから日数が経過したのち、港への入港予定日の1〜2日前に送られてくるのが一般的です。船のスケジュールは直前まで確定しないことが多いため、ほとんどの場合は入港前日になってから届きます。中国や東南アジア発の貨物の場合、航海日数が数日〜2週間程度あるため、出港後しばらくしてから届く計算になります。アジア域内の近距離航路であれば、出港から3〜5日程度で到着するケースもあります。
航空貨物の場合は注意が必要です。航空便は飛行時間が非常に短く(東京〜上海なら約3時間)、書類を郵送している時間的余裕がありません。そのため、アライバルノーティスそのものが発行されず、メールや電話による到着案内に置き換わることが多いのが実態です。紙のA/Nを待っていると、貨物はすでに空港に着いているのに引き取り手続きを始めていない、という事態になりかねません。
航空貨物ではA/Nを待つのは禁物です。
また、週末や祝日を挟む場合も注意が必要です。船会社・代理店の営業日の都合で、週末に出港した船のA/Nは翌営業日(月曜日)まで発行されないケースがあります。月曜日にA/Nが届いて、水曜日が入港予定日……という状況になると、通関手続きを急ピッチで進める必要が出てきます。
参考資料:アライバルノーティスの発行タイミングと、貨物到着から引き取りまでの流れを確認できます。
アライバルノーティスはいつ届く?輸入時の貨物引取りについて - 物流手帖
アライバルノーティスを受け取った後にやるべきことは、想像以上にスピードが求められます。なぜなら、貨物が港に到着した翌日からフリータイム(無料保管期間)のカウントが始まるからです。このフリータイムは一般的に5〜14日間程度に設定されており、船会社によって異なります。超過した場合は「デマレージ」と呼ばれる追加保管料が1日単位で課されます。
結論はフリータイム内に全手続きを終えることです。
具体的な手順は以下の流れで進めます。
ここで特に関税に関心がある方へ補足したいのが、A/Nに記載された運賃額が輸入申告の課税価格(CIF価格)に影響するという点です。海上運賃(Ocean Freight)が「着払い(Freight Collect)」の場合、その金額がA/Nに明記されます。この運賃額は、税関への申告時に「輸入地到着までの輸送費」として課税価格に加算されるため、関税・消費税の算出に直接関わります。金額が誤っていた場合は修正が必要になり、手続きが遅延します。
これは知っておくと損をしない情報ですね。
参考資料:輸入時の通関手順・フリータイム・デマレージについてJETROが詳しく解説しています。
輸入貨物の到着から引き取りまでの手続き:日本 - JETRO(日本貿易振興機構)
「貨物の到着予定日が近いのにA/Nが届かない」というのは、輸入担当者が最もよく直面するトラブルのひとつです。しかし慌てる前に、原因を順番に確認すればほとんどのケースで解決できます。
原因の確認が先です。
原因①:B/LのNotify Party欄の記載が違う
アライバルノーティスは、船荷証券(B/L)の「NOTIFY PARTY(ノーティファイ・パーティー)」欄に記載された連絡先に送付されます。輸入者(Consignee)と通知先(Notify Party)が異なる場合があり、会社によっては通関業者やフォワーダーをNotify Partyに指定しているケースも多くあります。そのため、「自分のところに届かないけど、実はフォワーダーにはすでに届いていた」という状況が発生します。まずB/Lのこの欄を確認してください。
原因②:FAXやメールアドレスが古い情報になっている
船会社はB/Lに記載された送付先(FAX番号またはメールアドレス)にA/Nを送ります。会社の移転・部署変更・メールアドレスの変更などで送付先が古いままになっていると、当然届きません。輸出者に対して最新の連絡先をB/Lに記載してもらうよう依頼するのが重要です。
原因③:本船の到着が遅延している
船のスケジュールは天候・港湾混雑・運航上の変更などにより頻繁にずれます。到着が遅れれば、A/Nの発行も後ろ倒しになります。この場合は、輸出者に問い合わせるか、船会社の運航スケジュール(バーチャルスチームシップ等)を確認して現状を把握します。
対処の優先順位をまとめると以下の通りです。
A/Nが届かないまま時間が過ぎると、D/Oの取得が遅れ、フリータイムを超過してデマレージが発生するリスクが高まります。フリータイムは一般的に7〜14日間ですが、LCL(混載貨物)の場合は3〜5営業日と短めに設定されていることもあります。1日の遅れが数千円〜数万円の追加費用につながることも珍しくありません。
フリータイムには必ず期限があります。
参考資料:アライバルノーティスが届かない場合の対応手順とNotify Party欄の確認方法を解説しています。
アライバルノーティスが届かない場合 - 貿易実務の情報サイト
ここまで説明してきた内容を踏まえると、A/Nのトラブルの多くは「事前の準備不足」によるものだということが見えてきます。特に関税コストに影響するケースでは、受け取りが1日遅れるだけで通関が翌日以降にずれ込み、デマレージも加算されて思わぬ出費を招きます。輸入担当者として知っておくべき実務上の備えについて、ここで整理します。
ポイント①:出港前にShipping Adviceを活用する
輸出者から「出港しました」という連絡とともに受け取る「Shipping Advice(船積案内)」は、A/Nが届くより前に情報を把握できる貴重な手段です。この中に船名・航海番号・出港日・予定ETA(到着予定日)が記載されているため、A/Nが届く前から通関準備を進められます。Shipping Adviceを受け取ったタイミングで、フォワーダーへ事前連絡を入れておくと動きがスムーズです。
早めの準備が原則です。
ポイント②:B/Lを入手したらNotify Party欄を必ず確認する
B/Lが手元に届いた段階で、Notify Partyが自社または自社指定のフォワーダーになっているかを確認します。記載が間違っている場合は、早急に輸出者へ修正(リバイス)を依頼してください。B/Lのスペルミスや連絡先の誤りは、修正に時間がかかることがあり、通関全体のスケジュールを狂わせます。
ポイント③:フォワーダーとの連携を強化する
多くの輸入業務ではフォワーダーが通関を代行しますが、そのフォワーダーがA/Nを受け取った後に輸入者への連絡が遅れるケースもあります。事前に「A/Nが届いたらすぐに共有してほしい」と依頼しておくことが重要です。最近はShippioのようなクラウド型物流プラットフォームを使って、複数の関係者が同時にA/Nの情報をリアルタイムで確認できる環境を整えている企業も増えています。
ポイント④:フリータイムと搬入確認番号を把握しておく
A/Nが届いた時点で、必ずフリータイムの起算日と期間を確認します。貨物がNACC(輸出入・港湾関連情報処理システム)に搬入確認番号とともに登録された時点からフリータイムがスタートします。LCL貨物の場合はCFS(コンテナフレイトステーション)への搬入完了が起算点になるため、FCL(フルコンテナ)と混同しないよう注意が必要です。
以下に、タイプ別のフリータイム目安をまとめました。
| 貨物タイプ | フリータイムの目安 | 超過時の費用 |
|---|---|---|
| FCL(フルコンテナ) | 7〜14日間(船会社により異なる) | 1日ごとにデマレージが発生 |
| LCL(混載貨物) | 3〜5営業日(CFS搬入後から) | CFS保管料が日割りで加算 |
| リーファーコンテナ | 短め(冷凍設備維持コストのため) | 通常コンテナより割高になることが多い |
デマレージは日が経つごとに単価が上がる仕組みを採用している船会社も多く、10日を超えると1日あたりの料金が初期の2〜3倍になるケースもあります。フリータイムは期限がある、という認識は絶対に外せません。
これは知っておくと時間もお金も大きく節約できます。
参考資料:フリータイム・デマレージ・ディテンションの違いと費用の計算方法を詳しく解説しています。
フリータイム、デマレージ、ディテンション それぞれの特徴や違いについて詳しく解説 - OTS JAPAN